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ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
王国の街サルーンとの交流

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58話

その後、暁達は襲い掛かるオーガ達を倒しながら南へ向かう事しばし。

1行は集落の中央部分に到達。


集落の中央には、一際豪華な造りと言うか、ちょっとした屋敷と見紛(みまが)う建物が。

屋敷内に、今回の最大の標的であるオーガキングが鎮座。


そんなオーガキングが住まう屋敷の周りを、オーガキングの側近である4体のグレーターオーガが守護。


そのグレーターオーガは、オーガが進化して魔銀級の強さとなったものだ。

身長がトロールと同じ位にまで伸び、彼の種族以上に力が強大化。


しかも側近でとの表れなのだろう。

4体共銀色に輝く軽装を纏い、腰にはバスタードソードを()いていた。


凛達の進行方向にいたグレーターオーガが彼らの存在に気付き、敵が来たを兼ね、大呼(たいこ)

その叫び声を聞き、残りの3体が集まって来た。


その間、暁達はアイコンタクトや軽い頷きにてやり取り。

旭は南へ駆け抜け、月夜は東、小夜は西に進路を変える。


途中、グレーターオーガ達が旭に攻撃を仕掛けようとするも、紅葉の颯と圷(2本の鉄扇)での妨害により中止せざるを得ない状況に。


邪魔された腹いせに睨むが、我関せずとばかりに歩き続ける暁と紅葉。

そんな彼ら少し手前の位置で、凛達は止まる。


「藍火と玄は、紅葉達がどう動くのかをしっかりと観察する事。見るのも勉強の1つだよ。」


「分かったっす!」


「うん!」


そう言って、凛達は暁と紅葉、それと集落の中で一際豪華な造りをしている家の守りに就いている者達に視線を向ける。




分散した後、月夜は道中に現れたオーガとトロールを()ぎ払い、東側へ。

開けた空間に辿り着き、近い順にオーガ1体、オーガ2体にトロール1体、グレーターオーガがいるのを把握。


問題があるとすれば、彼女は一応地下足袋(じかたび)の様なものを履いてはいるのだが、流石に気配を消すのが難しかった点だろうか。

そこそこ遠かった為に力を入れて走ったのも、割と目的地に近い個体の断末魔が悪い意味で影響し、到着次第待ち構えていたオーガの攻撃対象となった。


オーガは既に棍棒を振りかぶっており、月夜の姿を見て同族?と一瞬だけ驚いたものの、すぐに仲間でないと判断。

両手で持つ棍棒を勢い良く振り下ろした。


少し右に移動する形で月夜が攻撃を避けるや、ほんの少しではあるが地面が陥没。

破砕音や衝撃が辺りに響いた。


全力を込めたオーガの一撃を終える、(すなわ)ち大きな隙が生じると言う事。

それを月夜が見逃すはずがなく、彼女は即座にオーガの後ろへ周り、背中から薙刀を突き刺した。

刃は大きく貫通し、胸の大分前の位置に来た辺りで一気に引き抜く。

致命傷を受けたオーガは盛大に血を吐き、両膝を突いてゆっくりと倒れた。


すると100メートル程先にいたオーガ2体とトロールが、よくも仲間をと言わんばかりに吼え、3体同時に走り出す。

月夜とのを距離を一気に詰めた彼らは、多方面から得物(えもの)を駆使した攻撃を行う。


月夜はオーガ達から放たれた攻撃を斜めに構えた槍で防ぎ、時間差でのトロールの打撃をバックステップで避ける。


それからしばしの間、月夜は3体による連携攻撃を仕掛けられ、槍で受けたり避けたりして(さば)き、反撃の隙を窺う。


すると突然、月夜の後ろからフッと差す影が。

嫌な予感がした彼女は、咄嗟(とっさ)に前方斜め上方向へ跳躍。


直後、月夜のいた場所へグレーターオーガによる強烈な1撃が叩き込まれた。


その衝撃は凄まじく、轟音と共に地面が大きく抉れた挙げ句、たまたまそこにいたトロールが巻き添えを食らう。

近くにいたオーガ達は、まさか味方が被害を受ける等と露にも思わなかったのだろう。

物凄く驚き、自身を襲う突風を防ぐ目的なのか腕で顔を覆う。




オーガ達の防御行為は、月夜にとってチャンスそのもの。

彼らの背後に着地した後も体勢は続き、今の内にと持っている槍をオーガへ投擲(とうてき)

槍はオーガのど真ん中に当たり、オーガは短い声と共に死亡。


相方であるオーガが前方に倒れ、既に息絶えたトロールを目の当たりにし、「お前のせいでやられてしまったじゃないか」と言わんばかりの視線と声を、生き残りのオーガがグレーターオーガに向ける。


当のグレーターオーガは一瞬苦い顔を浮かべるも、短い咆哮と共に駆け出し、棍棒による右薙ぎを敢行。

月夜はそれをひらりと(かわ)し、横目でオーガをチラ見。

当のオーガは目を開き、盛大に固まっていた。


どうやら、グレーターオーガは詫びるどころか開き直り、「お前達が上手く足止めをしなかったせい」みたいな事を伝達。

つまりは八つ当たり以外の何物でもなく、受けた側のオーガは怒りを通り越し、呆気に取られたとの流れに。


その隙に月夜は槍を回収、再びグレーターオーガとの戦いに臨む。

しばらくして、我に返ったオーガも参戦…するのだが、月夜だけでなくグレーターオーガも対象としたものだった。

これにグレーターオーガが腹を立て、月夜そっちのけで仲間割れをし始める。


どうでも良い事だが、この場所に配置されたグレーターオーガは自尊心が高く、協調性に欠けるとして側近になれなかった者だ。

それを本人(?)は面白く思っておらず、いつかオーガキングを倒してトップになるのだと息巻いている。


オーガの集落は近辺になく、同族のよしみで在籍しているものの、行動が無茶苦茶と言うか軽くやりたい放題。

自ずと浮いた存在に。

それでも幸いと言うか、仲間に危害を加える事が今までなく、敵とまではいかなかった…が、どうやら今回ので見切りがついたらしい。


最終的に、オーガとグレーターオーガは手四つの状態へ。

呆れる月夜から視線を外し、力比べに夢中となっていた。


しかしここは戦いの場。

見苦しい喧嘩を見に来た訳ではないと割り切った月夜は、その場で横に1回転。

身体強化+遠心力を乗せた一撃を見舞い、2体纏めて両断。


戦闘終了後、何とも後味の悪い決末に月夜が深く溜め息をついたのは言うまでもない。




小夜も月夜と同様、オーガやトロールを片付けながら集落の西側に向かう。

到着後、木の影に隠れながら様子を探り、オーガとトロールが2体ずつ巡回しているのを把捉(はそく)

ゆっくり、そしてなるべく足音を立てず静かに移動を開始する。


旭や月夜と同じオーガでありながら、小夜は身長2メートル程とやや小柄。

又、距離が他のメンバーより短く、狭い歩幅で走ったのも気付かれにくい要因となった。


小夜は隙を見てオーガの背後へ回り込み、踏み込むと同時に左右の手に持った短槍を勢い良くオーガへ突き入れる。

胸の2箇所に穴を空けられたのが致命傷となり、オーガは前方へ。

倒れる音を耳にしたトロールが重い体を揺らしながら走って来るが開戦の合図となった。


小夜はピクピクと動くオーガの上に乗り、短槍を抜いた内の1本をトロールに投擲。

持っている棍棒で短槍を弾くも、続けて放たれた短槍にトロールは対応が遅れ、左手を前にやる形で防御。


掌を貫通との形で短槍は止まるものの、()うに小夜は駆け出し済み。

前方へ跳んだ彼女が、追撃とばかりにドロップキックを仕掛ける。

短槍の石突き部分に小夜の足が当たり、短槍は押しやられるまま真っ直ぐトロールの喉のすぐ下の部位に、しかも深々と突き刺さる。


ヒュー…と声にならない声を上げるトロールへ刺さる短槍。

地に足を付けたばかりのそれを小夜が両手で掴み、鎖骨部分に両足を乗せて一気に引っぱり出す。

小夜は短槍を手にした状態で華麗に着地。

逆に短槍を引き抜かれた反動でトロールが数歩下がり、ゆっくりと倒れていった。




近くで足音がするを皮切りに、小夜が視線をトロールから残りのオーガとトロールへ。

2体は(うな)り声を上げながら小夜に連続攻撃を仕掛け、サイドステップやバックステップで彼女は回避。


2対1での攻防を()いられ、合間を見て弾かれた短槍の回収には成功。

ただ不意打ちならまだしも、正面からぶつかるには膂力(りょりょく)も経験も小夜には足りない。

魔力操作も不得意な彼女は、少しでも補えればとの思いで攻撃に重きを置くも、やはり防ぎ切れずダメージを重ねてしまう。


今もオーガの攻撃を左の短槍で受け、反撃とばかりに右の短槍を突き出すがトロールに防がれ、隣にいるオーガによって蹴り飛ばされた。

20メートル程吹き飛んだ小夜は背中から木に打ち付けられ、「カハッ…」と肺の中の空気を強制的に吐き出し、前方へ。

地に()す彼女を前に、勝利を確信したオーガとトロール。

口角が上がり、悠然と歩き始める。


向こうが余裕を持つに至ったおかげでか、右手の短槍を杖代わりに立ち上がれた小夜。

左の手の甲で口元に付いた血を拭い、決意に満ちた表情で駆け出した。


しかし先程と違い、攻撃よりも防御を主体としたものへ変更。

攻勢に出たのは最初だけで、決して無理をしない戦い方にシフト。

加えて、苦手な身体強化まで施して。


オーガ達は攻撃が当たらない事に苛立ち、同士討ちが目立ちギスギスした雰囲気に。

やがてオーガが放った右薙ぎ攻撃を避けた小夜が足払いで転ばせ、すぐ近くにいたトロールと衝突。

2体は(もつ)れる様にして倒れ、下敷きとなったトロールが文句を言い、それにオーガが反論するとの構図へ。


小夜は今ならいけると踏み、その場で跳躍。

右手に持った短槍を、真下にいるオーガ達へ向けて思いっきり投げ飛ばした。


それに気付いたトロールはオーガを掴み、あろう事か盾代わりに。

短槍はオーガの腹部を突き破りはしたものの、トロールにまで届かず、彼を起き上がらせてしまう。


トロールは反撃へ移ろうと、少し離れた場所に放り出した棍棒目掛け走り出す。

その動きは遅く、小夜から見たら隙だらけも隙だらけ。

トロールの後ろへ迫り、左に持つ短槍を横薙ぎに払い、両足の腱を切断。


体勢が崩れたのを見計らい、首に短槍を突き刺す形で致命傷を与えるのだった。

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