305話
前話で章が終わったのに登場人物紹介書いてなかった…。
と言う訳で1つ前に載せ、今話から王国編になりまっす。
「今、情報が入りまして、パトリシア王女殿下達がフーリガン近辺で襲われたそうです。」
『!?』
「なのでガイウスさん、ゴーガンさん。すみませんが僕は救出しに向かわせて頂きますね。」
「そうか…殿下が滞在中、それなりに近しい間柄となった由、本来であれば俺も向かうべきなのだろうが…他貴族から何言われるか分かったものではない。今の時間ですら、騒ぎ立てる位には時間を持て余している様だからな。長期間離れるなぞ(色んな意味で)到底許しては貰えまい。」
「残念だけど、僕達もそろそろ戻る事にするよ。」
ガイウスとゴーガンが少しだけ目を伏せ、残念そうな表情を浮かべる。
トラブルの原因になるとして引き下がったが、内心ではストレス発散と知り合いを助けたいとの想いが交錯。
馬鹿にされないを目的に得たはずの立場が、まさか自らの首を絞める結果になるとは…的な考えも併せ持っている。
「分かりました。エルマとイルマとジークはアウラの案内をお願いね。」
「凛。アウラの案内はエルマとイルマで十分だ、僕も一緒に行こう。」
「ジークが行くなら俺も行かない訳にはいかないな。シャルル達はどうする?」
「「勿論一緒に行かせて頂きます。」」
「ボクも行くよー!」
「私も。」
「オレも…と言いたいところだが、既に過剰戦力だしな。午前中行けなかった商都にでも行ってくるわ。」
「分かった。それじゃ皆、午後も頑張ろう。」
凛の激励に、各々が返事。
彼と同行するのはジーク、骸、シャルルとシャルロット、美羽、雫。
火燐と別れ、ガイウスとゴーガンもでは…と席を立った。
因みに、ジークフリートは案内中にアウラからちょっかいを出されるのを恐れての立候補。
それを見透かされてか、ホッと胸を撫で下ろす彼をアウラがジト目で。
何とも言えない顔のエルマと微苦笑のイルマが見ている事に気付けないでいる。
王都からサルーンへパトリシア達が南下した際は、急いでだった。
それに比例してフーリガンを通り過ぎるまでの時間も短かく、又当時から実力者であったアンジェリーナが先んじて蹴散らした為に事なきを得た。(尚、本人1行はフーリガンを迂回、後に姉から聞いて驚いていたが)
しかし戻る時は速度がゆっくり。
最大戦力であるアンジェリーナはおらず、しかも入念に準備を重ねた状態でフーリガンサイドは待ち構えていたらしい。
気付いたパトリシア達は慌てて迂回しようとするも、フーリガンにいる者達からすれば想定の範囲内。
次々に応援が押し寄せ、そう時間が経たずして窮地に追い込まれていく。
「はぁっ!くっ、倒しても倒してもキリがない。押されているのはこっちだし、このままだと不味いな…。」
自前の細剣で襲撃者の腹部を刺し、辺りを見回しながら独り言ちるのはライアン。
普段はおちゃらけた彼だが、これでも王国唯一の黒鉄級冒険者。
既に40人以上の者を倒しているのだが、他の5人の護衛達は銀級から金級の腕前。
アンジェリーナと共に向かった者達も似たような感じ。
ただ、襲撃者の数の多さは如何ともしがたく、押される一方。
インキュバスでもある彼は、禁じ手である魅了を選択肢に入れ、しかし人目の多さを理由に断念。
瞑目し、頭を振る。
「最悪パトリシア様を連れてでも…って、え?」
「うわぁぁぁぁ!」
自分や従者を犠牲に、主を逃がす。
そう決意を新たにするライアンの前を横切る、襲撃者と思しき男性。
悲鳴を上げながら左から右へと吹き飛んで行くとの光景に、彼だけでなく敵味方全員が驚いた様相に。
「ライアン。お前程の男がこんな奴らに遅れを取るんじゃねぇよ。」
今の1撃はアレックスの蹴りによるものだった。
火之迦具土…ではなくアズリールラージソードを肩に担ぎ、左足をゆっくり下ろす彼に注目が集まる。
「アレックス皇子殿下!?それに凛君や美羽ちゃんまで!助けに来てくれたのかい?」
その彼の後ろには凛と美羽の姿もあり、ライアンのテンションが急上昇。
もうダメかも知れない…と諦め掛けただけに、喜びも一入だったに違いない。
「ああ。だが詳しい話は後だ。パティ!いつまで馬車の中に引っ込んでやがる!!」
「え…アレク?」
「そうだ、俺だ!こんな場所、さっさと離れるぞ!早く出て来い!」
「アレクーーーーー!!」
アレックスの呼び掛けに応える、第2王女パトリシア。
恐る恐る顔を覗かせ、愛しい人の名前を叫び、馬車から飛び出した彼女。
道中何回か襲撃者らが立ち塞がるも凛と美羽によって弾かれ、やがて勢いそのままに胸へと飛び込む。
こうして、数々の障害(?)を経てアレックスの下に辿り着いたパトリシア。
焦り、不安、恐怖、無力感、息苦しさでいっぱいだった彼女は解放されたとの喜びで感情が溢れ、泣き始めてしまう。
「…ぐすっ。夢じゃない、アレクが…アレクが来てくれた。」
「まぁ、なんだ。どうして泣いてるのかまでは分からんが…取り敢えず、お前さんがやりたい様にしてくれ。」
「うん、分かった…。」
左手の大剣はそのままに、アレックスは苦笑い且つ反対の手でパトリシアを宥める。
まさか彼がアイシャ達からボディタッチ等のスキンシップが行われる様になったとは露知らず、胸部分をギュッと掴むパトリシア。
特に抵抗する素振りを見せない事に若干疑問を抱きつつ、それでも得た折角の機会。
アレックスの背中へ手を回し、優しく抱き締めた。
2分後
戦闘を終えた凛と美羽が、アレックス達との合流を果たす。
その傍らには多数の屍の山(※気を失っているだけで生きてます)を築き上げ、平然と歩く彼らに王族関係者がドン引きしたのはさて置き。
気付いたアレックスが左手でパトリシアの背中をポンポンと叩き、戦闘が終わった旨を告げる。
促されるまま、パトリシアはゆっくりとアレックスから離れ、凛達の方を向いた。
「…皆、私のせいでごめんなさい。」
「いえいえ。ですがこのままここにいたら(フーリガンから)また応援が来るでしょうし、ひとまず僕の屋敷へ避難しましょう。」
「分かった…。」
「ライアン達もそれで良いか?」
「僕達護衛や付き人は王女殿下と行動を共にが常だからね。どこへだって付いて行くさ。」
歯をキランと光らせるライアンの主張は尤も、とばかりにパトリシアの従者らが首肯。
その中にはアンジェリーナの者達も混ざっており、パトリシアからすれば姉が申し訳ない…との気持ちが含まれ、肩身が狭い思い。
凛の「では、参りましょうか」との言葉に大分救われ、彼が来た時に用いたであろうポータルを、アレックス先導で通り抜けて行く。
「戻ったぞー。」
アレックスが帰還。
王都へ向かう際に使った馬車は美羽が無限収納へ直した為、彼の次にパトリシアが左右をキョロキョロしながら姿を見せたとの構図だ。
「アレク様、お帰りなさいませですわ。」
「…え?アレク…様?」
「お兄ちゃんお帰りなさーい。」
「…え?お兄ちゃん?」
先頭でポータルを抜けたアレックスに続き、パトリシアが周りを窺いながら出て来るまでは良かったものの、アイシャとティナがそれぞれ走って来る様に目が点。
からの、徐々に険しい顔付きへ。
『お帰りなさいませ、アレックス様。』
そしてトドメ。
以前配下にした赤髪の孤人2人(姉妹でクレハとシュリ)にフラム達、ラニ達がメイド服姿で登場。
「ちょっとアレク!?これは一体どう言う事なの!?」
「あー…うん。色々あったんだよ、色々…。」
頭を下げる彼女らにパトリシアは居ても立ってもいられず、アレックスに追及。
憤慨しながら詰め寄る幼馴染に、アレックスからすれば気まずいとしか言いようがなかった。
それから、簡単ではあるが状況を説明。
まさか少し見ない間に15人も婚約者(候補含む)が出来たと知り、崩れ落ちるパトリシア。
結婚するのは自分だと思い込んでいただけに、相応の衝撃を受けたとも。
少し離れた位置にいるライアンは口笛を吹き、(沢山の綺麗所に囲まれているとの意味で)アレックスを褒めるも苦い顔で返された。
「しばらく会わない内にアレクが神金級の聖人と言うのになってて、アイシャとティナは金級と魔銀級。クレハとシュリはまだしも、他の配下達は全員当たり前の様に神金級…か。触りだけをお願いしたとは言え、目眩がしそうだわ。」
場所を玄関からダイニングに移した一同。
先程の馴れ初め、今度は近況について語られたパトリシアのリアクションがコレ。
溜め息混じりに、しかも疲れた表情で話す彼女だが…ロゼの事が気に入ったのだろう。
手招きの後に自身の太ももの上に座らせ、ストレス発散込みで頭を撫でまくっていた。
当人は撫でられるのが好きな為か気持ち良さそうにしており、ライアン達護衛や付き人らはパトリシアの矛盾した行為に呆然。
或いは、強い魔物だと分かっていながら、ロゼの可愛らしさには勝てなかったとも。
(ティナちゃんだったか、まさかマリア君にこんな綺麗な娘がいたなんてね…で、そのティナちゃん。今回初めて会ったはずなのに、真っ直ぐ僕の事を見ている…はっ!?まさか僕に気が?
いやいや、いくら可愛くてもマリア君の娘だし、聞けばアレックス皇子殿下の嫁になるそうじゃないか。修羅場は勘弁…いや、もしかすると?でも…。)
からのライアン。
マリアの想い人、兼亡き夫に似ていると憚らない彼女が話す人物である彼。
見定める意味でティナは彼をじっと焦点を定め、当人は当人で益体もない事を考え、心裡で勘違いや葛藤をし続けるのだった。
狐人姉妹は旧ゆるじあではアヤカとアヤネだった子達です。
ただ似た名前との意味で既にアルラウネ3姉妹がいるので、赤にちなんだ名前に変更しました(苦笑)




