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ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
世界周遊~アウドニア王国編~

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306話

「…んで、どうしてパティ達は進む速度が遅かったんだ?再会した時も元気がなかった風に見えたしよ。」


ある程度落ち着いたと捉えたアレックスが話を切り出す。


「…王都に、戻りたくなかったのよ。」


「おいおい…家、と言うか城があるのは王都だろ?なのに戻りたくないって何だよ。」


「アレク達と別れる前日、私宛てで使いの者が来たの。お父様とレナードが早く王都へ戻れって内容付きでね。」


「レナード…もしかして婚約者とかか?」


「そう。レナード・フォン・ベルガー、私の倍以上に歳の離れた、ベルガー公爵家の長男。他2人の弟と違い、昔から性格に問題ありと言われてるわ。だからなのでしょうね、当主である父親。そしてレナード自身かなり良い歳なのに、未だ安心して家督を引き継げないからと色々揉めてるみたい。」


「穏やかじゃねえな。」


「ええ。血筋を理由に私が生まれてすぐ婚約者の間柄になり、その関係自体は今でも続いてる。レナードは私の事を大事にしてるつもりなのでしょうけど…私、小さな頃からあの人の舐め回す様な視線が気持ち悪くてね。(生理的に)受け付けず、極力会わない様にしがら日々を過ごしてた。

そうして大人になり、未だ私が嫁がず先延ばしを続ける事に、いい加減レナードが焦れたみたい。無理矢理距離を詰められ、(貞操の)危機を覚える機会が増えて来てね。そろそろ限界だと思った折、凛の情報が入って来た。好機(チャンス)だと思った私は、レナードから逃げる口実欲しさに視察を立候補。そのまま王都から逃げたって訳。」


「…成程な。」


アンジェ姉様(アンジェリーナ)が移動準備の合間にくれた情報に救われたわ、と漏らす彼女にアレックスは納得顔。


言い終えたパトリシアは、押し寄せるネガティブな思考が元で更に俯きがちに。

ロゼをぎゅっと抱き締め、ひゃっと驚かれても何の反応も示さないでいる。


「…けど、それももうおしまい。私がフーリガンで襲われたって情報が、今日。どんなに遅くても明日中に王都へ届けられる。そしたら私を溺愛しているお父様や、レナードの事だもの。ライアン達護衛や従者達に責任の追及が行われ、今後は危険との名目で2度と王都から出して貰えなくなるのは確実。良くて城、悪ければレナードの屋敷に幽閉される未来しかない…はぁ、嫌だなぁ…。」


『………。』


ロゼの肩付近に顔を(うず)め、非常に重苦しく、暗い雰囲気を醸し出すパトリシア。

如何に帰りたくないかが窺え、凛達も釣られて物悲しい気分に。




「はぁ…ならよ、お前も俺と一緒になるか?」


漏れなくアイシャ達も付いてくるけど、と。

周りからの目線やプレッシャーに後押し━━━或いは負けたとも━━━された、アレックスからの提案。


「え…その申し出はありがたいけど、私は王女で貴方は帝国の皇子なのよ?当然お父様やレナードは当然激怒するし、場合によっては王国を敵に…。」


「見てられねぇんだよ。お前がこの先ずっと辛気臭い顔で城の中で過ごすなんて…想像もしたくねぇ。」


「ちょ!辛気臭いって、貴方ねぇ…。」


「俺はこれから沢山の女性(アイシャ達)と過ごすハメになるんだ。そこへ1人加わる位、どうって事ねぇよ。」


「アレク…。」


まさか、こんな形でずっと抱いた夢が叶うなんて。

仕方ないなぁとばかりに片目を閉じるアレックスに、パトリシアのそれまでのネガティブな感情は消え、温かい気持ちに。


「…ふふっ。貴方ってば、本当にもう。」


「それによ、俺だって一応神金級なんだぜ?周りにいるのは頼りになる奴らばかりだし。だから仮に王国からどれだけの兵を送ろうが、ほとんど何も出来ない内に終わるのが関の山だろうよ…だからパティ、お前の事は俺が、俺達が守る。安心しな。」


「アレク…ええ、ええ。ありがとう。」


アレックスの言葉が余程嬉しかったのだろう。

溜まった涙をそれぞれの人差し指で拭ったパトリシアが、目の端に溜めたまま花笑んでみせる。


そして彼女の頬が段々と朱に染まり、潤ませた瞳でアレックスを見詰め━━━


「話は聞かせて貰った!よくぞ言った我が息子よ、さあいざ行かん…王都へ殴り込みに!」


アレックス、ではなくその父がまさかの乱入。

突然の事態にパトリシアとアレックスが「…え?」と目を丸くし、獣王レオンが「アホか、何言ってんだお前」と待ったを入れる。


「まずは凛様への挨拶が先だろうが。」


皇帝ゼノンを諌めるは諌めるでも別な意味でだった。


違う、そうじゃない。

パトリシアが正常であれば、きっとその様な思惑を抱いた事だろう。


「おお、そうであった!すまんすまん。くかかかか!」


「失礼しますね。」


「失礼致します。」


ともあれ、うっかりとしていたとばかりに笑顔を浮かべるゼノン。

その後ろに、教皇フィリップとポール代表が続く。


かと思えば凛の前まで移動し、その場で跪く4ヶ国代表。

目まぐるしい展開にパトリシアは付いて行けなくなり、「えっ?えっ?何事?」と困惑するしかなかった。




「皆さん、急な呼び出しに応じて頂きありがとうございます。まずはお話から…楽にされて下さい。」


場所をソファーへ移し、凛に促されるまま「分かりました」と腰掛けるゼノン達。


未だまん丸お目々のパトリシアは眼前の光景が信じられないのか、アレックスに頬を叩くよう依頼。

彼にとっては軽くでも、思いの外強かったらしく手を添えながら「痛いじゃない!」とのツッコミ(物理込み)を頂戴していた。


「…さて、皆さんも(廊下で)パトリシア王女殿下の話を耳にされたと思います。この件は━━━」


「皆まで語らずとも、察しが付く。」


「だな。大方、どこぞの馬鹿なボンボンがやらかしたとか、そんなところだろ?」


「王国は階級が全てですからねぇ。」


「逆に言えば、それしか縋るものがないとも取れますがな。」


凛の言葉をゼノンが遮り、レオン、フィリップ、ポールの順で口を開く。

断片的な情報だけでも答えに行き着く当たり、流石は国のトップ。


若しくは、それだけ王国が分かりやす過ぎるとの証左でもある。


「はい。帝国は身分が低くても実力が認められればある程度評価されますが、王国はいくら実力があっても身分が低く、位を上げるには何世代にも渡る必要がある。それまではまともに話すら聞いて貰えない…でしたか。」


「左様。帝国貴族は、例え低い身分であろうが実力が高い者を優先に護衛等で雇う。マリアやユリウスの様にな。今は黒鉄だが魔銀級へ昇格時、国から騎士爵位を与えてある。故に、先代や先々代の当主は強かった。今は現役を退いたものの、元は凄腕の冒険者だった貴族も少なくない。

しかし王国は見栄を張ると同時、秘密主義でもある。在野=野蛮を名目に賃金を出し渋り、貴族でない者を家の中へ招きたくないからと最低限しか雇わぬと聞く。後ろ暗い者も多い事だしな。」


「帝都は治療が済んだ後に暴れ、治療費を踏み倒す方が非常に多いとして撤退。王都は主に貴族の方からネチネチ…失礼、粘着質な言動で。そして皇帝陛下からも少しありましたが(治療費を)出し渋り、ようやく払ったかと思えば見返りを要求するとかで精神的に疲れると聞き及んでおります。」


えっ、帝都に女神教教会がないのってそんな理由?と皆が思う中。

パトリシアだけは国の恥部を曝け出してしまったと捉え、殊更恥ずかしそうにする。


サルーンへ帰宅した為に不在だが、もしこの場にアンジェリーナがいたら同じ反応か優しい(ただし目は笑っていない)笑みを浮かべていたに違いない。


「くかかかか!帝国の中でも、特に帝都は血気盛んな者が多いからな!」


「今は(すた)れてしまいましたが、当時は闘技場(コロッセオ)があったとか。」


「ええ、それはそれは大変だったそうです。」


ゼノンが呵々大笑し、ポールとフィリップの順でプチ昔語り。


帝都に女神教教会がなくなって、それなりに久しい。

にも関わらず帝国代表たるゼノンは全く悪びれていない上、何故か商国と神聖国側が微苦笑。


後者の困り具合から察するに、道具(ポーション類)や回復魔法の面で散々苦労。

からの頓挫して立ち行かなくなったであろう背景が予想された。




「そこでです。皆さんで王都にある王城へ赴き、各国代表との立場から直接交渉をと思いまして。」


「ガハハハハ!それは良いな。自分こそが、自分達こそが1番偉いと思い込んでる馬鹿共に一泡吹かせるって考え、俺ぁ大好きだ。喜んで賛同するぜ。」


「だな。」


「ですね。」


「凛様、参りましょうか。」


「僕的に、一泡吹かせるって考えまではないんですけどね…。」


齎された提案にレオンが哄笑の後にニヤリと口角を上げ、ゼノンは左目だけを瞑目。

ニコニコ顔のフィリップとポールに、持ち掛けた側の凛が気持ち困った様相に。


好き放題するゼノンも大概だが、王国…特に上層部へ当たる者達はそれ以上に酷いらしい。


王国では身分こそが全て。

表向きは理性を働かせてはいるものの、裏ではドロドロもドロドロ。

利権と保身に支配され、蠢き、常に他者を出し抜くどころか蹴落としてでも利益を享受する事しか頭にない。

挙げ句、ガイウスがやたら被害に遭う通り目端は利くから余計に厄介。


かつての王国…彼らの祖先は労を惜しまず、危険にも挑む気概があった事だろう。

でなければ人々の代表、つまり貴族へ任じられるなんて例はなかったからだ。


しかし、既得権益による長年のぬるま湯生活。

それが子孫らを堕落へと導いた。


自らの手で作り上げるのではなく、他人が作ったパイを如何にして。それも多く分捕るか。

最小限の労力で、最大限の利益を貪りたいという思考に変化。

突出するに至ったとの経緯に。


そして、そんな王国で割を食うのが住民に冒険者。

住民は懐を潤わせる家畜程度にしか考えられてないし、冒険者は便利屋位の認識。


加えて上が詰まっている為、冒険者の待遇が良くなるはずもなく。

不満を感じ、実力が高ければある程度認められる帝国や商国へ向かうも、今度は国の冒険者を勧誘ないし買収していると文句を垂れる始末。


実際、商国お抱えだった元咎蛇(きゅうじゃ)団→現咎蛇団(ウロボロス)メンバーの半分近くが王国出身。

いざと言う時に備え、手元にはいなくとも呼べば来れる位には近くにいて欲しいだけだろうと一笑に付され、終わったのだそう。


因みに、マリアもユリウスも立場的には一応帝国貴族。

ただ、得た給金の全てをマリアはティナの薬代で、ユリウスは極貧層にいた大勢の者達への食事代等で消え、裕福とは言えなかったりする。




それから、凛を宥めながらではあるが談笑を始めるゼノン達。


少し離れた位置にいるパトリシアやライアン達は、各国の代表達がいきなり集まって来た事。

凛を敬うとの光景に付いて行けなくなってしまったのかひたすら呆然。


「ここにいるのって各国の代表達よね。その中心にいる凛って一体…。」


「ん?ああ、そういやパティは知らなかったんだっけか。凛は創造神様の弟でな。あいつ自身も神だ。」


「えーーーーーーっ!?」


逸早く脱したパトリシアが目を見開き、隣にいるアレックスからあっけらかんとした顔で告げられた内容がとんでもなかった。

思わず大声で叫んでしまった為に皆の注目を浴び、恥ずかしそうに俯くのだった。

ステラの方ですが、こちらの修正に重きを置き過ぎたからか気付けば1年近く更新してませんでした(苦笑)


なので100話目を修正したら一旦手を止め、来週の投稿時に併せて載せようと思います。

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