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ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
世界周遊~ダライド帝国編~

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313/325

291話

一際大きい破砕音が轟く様になり、急行した全員の前で繰り広げられるは、クリスティーンが魔物達を蹂躙するとの光景。

サイズの違いや返り血を物ともせずに殴り、蹴り、プレゼントとばかりに強力な魔法を行使。

恐れを成して逃げようにも先回りされ、例外なく同じ運命を辿る。


正に鎧袖一触。

強さ関係なく一方的に駆逐していく様は圧巻の1言だった。


「く、クリス殿が無双しているでござる!」


「しかも素手で!」


「スゲー。」


これに勉、光輝、アレックスが呑まれ、続けて披露されるはワイバーンの上位個体。

左右の手でワイバーンアークとワイバーンロードの尻尾をそれぞれ確保して(掴んで)のダブルラリアットだった。


振り回される側、ぶつけられる側共に涙目。

新規発見である猪の魔物、グレートボアの進化個体である黒鉄級上位のカリュドーンも。

羊タイプで銀と黒の体毛を持つ、黒鉄級のミスリルシープに雨工(うこう)も。

派生の山羊タイプで、灰色と濃い灰色の体毛の魔銀級のスケープゴートと黒鉄級上位のファントムゴートらもそれは同じ。


10メートルクラスだろうが、20メートルクラスだろうが関係なくクリスティーンにより粉砕されるとの状況に、黙って見詰める。

若しくはアレックス達みたく放心状態に陥るしか選択肢は与えられなかった。




「ふぅ…スッキリしました。」


やがて、謎の達成感と共にクリスティーンが帰還。

(たぎ)った切っ掛けが切っ掛けとは言え、彼女なりに思うところ(発散したいとの想い)があったのかも知れない。


「クリス、あんた中々やるじゃねーか。見直したぜ!」


「へ?え、あ、ありがとうございます…。」


アレックスが褒め称えたのを機に、ようやくはっちゃけた事にクリスティーンは気付いたらしい。

面食らい、顔を赤らめながら段々と尻(すぼ)みに。


「そう言やよ、これからどうするってのは決まったのか?」


「まだ…ですね。復讐が終わり、何も手に付かないと申しますか…。」


「燃え尽き症候群か。目標がなくなったから、仕方ないっちゃ仕方ないんだろうが…。」


怨霊と化したクリスティーンは紅葉の手で甦り、復活した仲間と共に報復。

非業の死を齎したブンドール家へ無遠慮のお礼参りを行い、最後は存在や痕跡そのものを消失させたのは記憶に新しい。


目的達成、並びに満足したを背景に生きる意味を失いつつある者達。

内1人がクリスティーンであり、オラーノで蘇った人々となる。


「ならひとまずよ、お袋の話し相手になってやってくれないか?護衛も兼ねてさ。」


「え?ですが畏れ多━━━」


「向こうたっての希望だとしてもか?」


「皇后様が、私を?自分で言うのもですが、何の面白みもないですよ、私。」


「そうかぁ?現在進行系で面白…。」


「………。」


「痛っ。痛いから、いやマジで。」


頬を膨らませ、ポコポコパンチを繰り出すクリスティーン。

仕草こそ可愛らしいものの、見た目に反し中々の威力。


自ら(おとし)めるのを見てられないが故のフォロー━━━割と本気の可能性も━━━が、どう言う訳か暴力で返って来た事にアレックスは戸惑いを隠せないでいる。

後、パッと見分からないかもだが彼女は自分よりも強いので痛い。普通に痛い。


「はぁ…まーた(たら)し込んでる。」


「ティナちゃん、言い方…。」


愛する兄がほっとけない性格なのは分かるが、最早説得ではなくナンパ。

ついこないだも惚れさせた挙げ句苦労したばかりなのに、全然懲りていないとしか思えない。


尚も「痛い痛い」言いながら叩かれるアレックスにティナがジト目を向け、母マリアが憂う謎の光景がそこにはあった。


後に、クリスティーンの暴れっぷりに旋風→発展して暴風の異名が付き、『暴風のクリス』との2つ名が。

どちらも原因は身内(蘇生組)で、呼ばれた本人は盛大に頭を抱えたとか何とか。

終いには皇帝ゼノンや皇后オリビアにまで知られ、話のネタとして誂われたが所以で崩れ落ちたのだそう。




2時間後


「あー、狩った狩った。世は満足じゃ…ってな。」


魔物による山々をデデーンと築き、ホクホク顔を浮かべるアレックス。


尤も、似た光景はそこかしこに大なり小なり存在。

少々狩り過ぎた感は否めず、見合うだけの苦労…死屍累々(満身創痍)も醸し出してはいるが。


「何じゃ、情けないのぅ。」


「全くです。」


「こりゃ、(修行の)やり直しだな。」


彼の他で元気なのは朔夜、フィリップ、骸。

段蔵にナルと昊、最後にクロエ、クリスティーン位。

いずれも体力が有り余るか豪傑、後は疲れるとの概念が失われつつある者との構図だ。


上記以外の面々はその辺に座り、地べたへ()(つくば)る等し、骸のセリフで一様に「えっ?」と言いたげな表情へ。

サラ&シーラ姉妹はゲストの為そこまでないが、他は明日を楽しみにとの事。


悲鳴が上がり、そんなに喜んで貰えるとは…と何故か3人は上機嫌に。


そこから小休憩を挟み、立ち上がれるまでには回復。

30分程掛け、和気藹々とした雰囲気で魔物達の回収作業を行った。


「終わっちまったな…。」


全てが終わり、後に残るは寂しさや虚しさ。


「こんな感じで次集まれるのはいつになるやら…。」


今回は大体半分ずつの男女比(昊も男性としてカウントとの条件でだが)。

ただそれはこの場に於いての話で、男性陣の多くが相手を。

しかも複数と付き合う、若しくは狙われており、ここまで自由に動ける機会は下手すると今後ないまである。


「良いじゃないですか。その時は何かしらで理由付けてまた集まるだけの話です。」


「左様。」


「だな。」


「おいおい、俺も呼んでくれよ?忘れられたら泣くぞ。」


『泣くのかよ(んだ…)(のでござるか…)。』


光輝、勉、ユリウス、骸の順で口を開き、最後の骸の発言に4人からツッコミが。


「くく…俺とした事がらしくねぇ。またやろうぜ、男子会。寂しがるだろうから凛も呼んだりしてさ。」


「男子会…。」


「なんと心躍る響きでござろうか。」


「自分で言っておいてなんだが、凛が1番難しいんじゃないか?」


「皆の代表だからな。」


「逆にユリウスが誰よりも簡単ですらあるよな。基本1人と言うか一匹狼だし。」


骸の指摘を受け、確かにとアレックス達が首肯。


ユリウスは元帝都貧民層(スラム)の者達の監督・指示役を務めており、割と忙しかったりする。

それでも多少融通が利くのは事実で、フォローも万全。

ついでにと帝都以外からも受け入れが加わり、ただでさえ多い人数が更に増えたりもしたが…あまり変わらず、横ばいに近い状態。


要は否定出来る材料がなく、お前ら…と半目で突き刺す(ジト目で見る)のがせいぜい。

妙な虚しさだけが残った。


「うっし、じゃアレやろうぜアレ。」


アレックスが拳をスッと前に出す。


「あ!名前は知らないけど士気とか高める━━━」


「決起集会でござるな。」


「それですそれ!」


「へぇ。」


「お〜、そんな名だったのか。勉強になったわ。」


「え?何百年も生きてるのに今初めて知ったのか?」


「年齢は関係ないだろう。」


これに光輝達は興味津々。

心做しか段蔵、昊、フィリップも交ざりたそうにし、誘ったところ即参加。

アーウィンだけ仲間外れなのもとの意見から、彼も入って貰った。


ついでに朔夜とナルもしれっと紛れ込み、男だけだからとやんわり拒否。

揃ってブーブー文句を垂れ、女性陣から笑みだったり苦笑いが零れた。




「まぁ…なんだかんだあったしこれからもあるだろうが、1つ宜しくって事で。」


「ぷっ。らしくねぇな、殿下。」


「うっせ。」


「気にする必要はないんじゃないです?こう言うのはお互い様…って恥ずかしいですねコレ。」


「んだな。」


「左様。某達は友達なのでござろう?」


「友達、ですか。私みたいに年が離れても友と呼んで頂けるのでしょうか?」


「おいおい、教皇様よ。野暮な事は言いっこなしだぜ?勿論アーウィンも、段蔵も、昊もだ…なぁ?アレックス。」


「…そうだな。皆と知り合えて本当に良かったし、嬉しくも思う。また集まろうぜ。」


その言葉に男性メンバーが「応っ!」と拳(昊だけは前足)を突き合わせ、生まれる笑顔。


「男の友情って良いわよねぇ…何だか羨ましいわぁん。」


「マリアには妾達がおるじゃろ。」


その光景を目の当たりにし、1人感傷に浸るマリア。

どこか羨ましそうにする彼女へ朔夜が名乗りを上げれば、クロエが「そーだよー!」と挙手。

獣国末っ子姉妹が「「ふんふん」」と首肯し、視線が集中。

娘ティナまでもが「私もだよ」とアピールする始末。


「元気になったんだし、お母さんに寂しい思いはさせないから。」


「ふふ、そうね。あたしとした事がちょっぴり悲しい気持ちになっちゃった。ごめんなさいねぇ。」


と。

(瞠目したのを誤魔化す意味合いも兼ね)マリアはてへっと笑いこそしたものの、終わるや否やどこか孤独を思わせる相貌へ。


誰も何も言わなくなり、男性側とは真逆の空気に。




マリアはこの見た目のせいか、性別問わず馬鹿にされる事が多い。

ただあくまでも外見だけであって料理は上手いし、服位ならちゃちゃっと作れる程度には裁縫も得意。

今は撤退してしまったが、帝都に服屋を構えてもいた。


黒鉄級との看板効果で若い一般女性や子供達には人気があるものの、男性だったり美意識やプライドの高い女性からは相変わらず陰口を叩かれる彼女。

人伝で悪い話を耳にし、その度に心を痛めて来た。


だからなのか、一定以上。

厳密には友達との間柄に至るまでが長い。

歩み寄りたいと思いつつ、同時に裏切られるかもとの恐怖が元で躊躇するが根底にあるからとも。


故に、嬉しいと不安と疑念が綯い交ぜになり、それでも可能な限り受け入れ、且つ早めに答えを出そうと心に決める。


「…さ、帰りましょう。皆が待ってるわぁ。」


話は戻り、しんみりさせたのがマリアなら、元に戻すのも彼女の役目。


パンッと1拍打ち、前を歩く形でアレックス達の元へと歩みを進めるのだった。

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