28話
藍火と玄がポータルで移動した直後、極至近距離でダイアウルフと目が合い、凄い剣幕で吠えられる。
「グォガアアァァァァッ!!」
「うひゃあっ!」
「ひぃぃ…ぐえっ…!」
悲鳴を上げながら抱き合い、怖さのあまり目をギュッと瞑る2人…ではなく1人。
「グ、グルルル…。」
勇ましい雰囲気のダイアウルフだが、どうやら今のが最期の抵抗だったらしい。
小さな呻き声と共に地面へ倒れ、やがて息絶えた。
「…?」
何かが倒れる音にビクッと体を震わせるも、しばらく経っても一向に衝撃が来ない事を不思議に思ったのだろう。
様子を見ようと、藍火が左目だけをうすーく開けてみる。
彼女の視界には、少し離れた位置にいる火燐がナニカを何度か振った後、縦長のものに入れる場面。
彼女の奥に雫、エルマ、イルマがおり、(笑顔ではないものの)何やら話をしている様子が映し出された。
しっかりと両目を開け、パチパチと瞬きした藍火が改めて周りを確認。
白い大きい狼2体、それと少し黒っぽい狼7体が地面に倒れているのが分かった。
だが誰も気にしていないのだろう。
火燐は止まっているし、彼女以外の者は固まって会話。
凛と美羽だけが変な黒い穴に向け、(遠隔収納で)次々と何かの作業を行っていた。
未だ2人は抱き合ったまま。
藍火が辺りを見、きょとんとする間もしっかりと玄を抱き締めていた。
…結構な力を込めながら。
同じ抱き締めるとの意味でも、片や銅級、そしてもう片方は魔銀級の強さだ。
最早抱き潰されると言っても過言ではない被害に遭った玄。
1度ならず2度悲鳴を上げた彼が苦しそうに何度も何度も藍火の背中を叩くも、事態の把握を努めるのに意識が注がれているからか全く気付いて貰えなかった。
やがて白目を向き、ビクンッビクンッと痙攣したのを機にようやく藍火が感知。
「玄君!?大丈夫っすか!誰にやられたんっすか!!」
お前だ、お前。
普通なら間違いなくそれか近しい内容を指摘されるだろうが…見ていた者は皆無。
残念ながら、ツッコミ役は不在だった。
逆に急いで引き剥がし、慌てて玄をガクガク揺さぶって始めて認識された程だ。
「…ん?やっと来たか…って、何やってんだお前?…まぁ良い。こいつらはオレ達がここへ到着したと同時に攻撃を仕掛けて来やがってな。あまり時間も掛けてらんねぇし、何より鬱陶しいから速攻で片付けた。」
火燐もその1人。
藍火達の元へ歩みを進めると同時に胡乱な目を向けた後、近くで転がるダイアウルフに視線を移す。
「そ、そっすか…。」
藍火はまさか今の状況をあっさり流されるとは思わなかった模様。
気絶した玄を空中で支え、頬を引き攣らせるのが精一杯だった。
凛が今回ポータルの出口とした場所。
そこは何度か討伐経験のある魔物が出現した通り、どうやら死滅の森の中らしい。
回収作業を終え、全員集まったと判断した凛が美羽と共に合流を果たしつつ、ポータルを撤去。
そこまで済んだところで玄が目を覚ますのだが、真っ先に彼の瞳に映ったのは(気絶する要因である)藍火だった。
恐怖から慄き、再び気絶させられては敵わないと危険視した彼は急いで凛の背中に避難。
凛の肩からひょこっと顔を出し、藍火の事をじっと見詰めた。
藍火は苦笑いを浮かべ、言葉交じりで両手を伸ばしつつ、玄に許しを乞う。
気にしていないと彼は述べるも、まるでそこが定位置とばかりに凛の背中へ張り付き、一切動こうとはしなかった。
そんな彼を見て、藍火はすっかり嫌われてしまったと捉えたのだろう。
涙目の後、がっくりと項垂れた。
ややあって、ビットを展開して歩く凛を先頭に、出現する魔物を(銃のサプレッサーみたく静かに)蹴散らしながら進む事少し。
オーガの集落が見える位置にまで1行はやって来た。
そのオーガの集落だが、サルーンから南南東の方角へ5キロ位。
死滅の森に入り、4キロ程進んだ地点に存在する。
「…あそこが集落だよ。」
少し声を抑えた凛が、正面を見据えながら皆に語り掛ける。
凛の視線の先には、半径100メートル程の開けた空間が。
草や木で簡単に組まれた家が幾つかあり、家の周りをオーガとトロールが最低2体ずつ巡回。
彼らから見て、最も近いところにトロール、少し離れた位置にトロールとオーガ、その奥に最後のオーガとの配置だ。
トロールはレッサーオーガから進化した魔物。
身長が3メートル程あり、『巨人』と言うカテゴリに入る。
しかし同じ巨人でも、筋骨隆々の体格であるサイクロプスと違い、だらしなく太った体型。
硬いのに弾力性がある皮膚に覆われ、しかもちょっとした再生能力まで備えている。
金級上位の強さを持つトロールはかなり醜悪な顔で、性欲が旺盛。
オーク以上に力があるのに加え、かなり短気な性格で生き汚い。
人々から非常に嫌われている存在だ。
説明を受け美羽達はゆっくりと頭を上げたり、前のめりになったりして集落を確認。
その間、凛はオーガ達から明後日の方角に視線を向け、再び集落の方に戻し、口を開く。
「…彼らの様子からして、さっきの戦闘が悟られたとは思えない。けどあまり戦闘を長引かせると、僕達が出ざるを得ない可能性がある…なので、僕は今回(リンク越しに)魔力を供給する役に回ろうと思う。」
「と仰る事は、つまり…。」
「うん。なるべく迅速に終わらせるのが目標で、僕はそのフォローだね。皆、やれそう?」
『(はっ、勿論です!)』
暁の問い掛けに凛は首肯、敢えて試す様な物言いで尋ねた。
暁達はしゃがんだ状態(+小声だったり念話)で返事すると同時に頭を垂れ、早速行動を開始。
凛達の最も近くにいたトロールが巡回を続けていると、木々の間にある草むらからガサガサ…と音がした。
「…!」
トロールは警戒を露にし、しばらく様子を見てみる事に。
だがそれから少し時間が経っても、特に反応らしい反応はなかった。
「?」
不思議に思ったトロールが草むらへ近付くと、再びガサガサと音と共に何かが飛び出す。
飛び出した影━━━旭の格好から、トロールは見慣れないオーガだと判断。
仲間へ知らせる為、大声を上げようとする。
「…ッ!」
そこへ、別な角度から飛び出した小夜がトロールの左足甲目掛け、思いっ切り短槍を突き刺した。
トロールはその痛さから苦悶に満ちた形相となり、そのままの状態で固まってしまう。
チャンスだと解釈した旭が駆け出し、トロールのすぐ手前で跳躍。
身体強化を施し、左右の手で持つ内の右の小太刀を一閃。
トロールは表情をそのままに首を落とされ、1拍遅れて胴体が前方に倒れる。
「「「…!」」」
その音で、近くにいた3体が気付いたらしい。
簡素な造りの家や木の影から姿を現した。
しかしその頃には、既に最大まで身体強化を施した暁と月夜が、すぐに攻撃出来る距離にいた。
出会い頭に、暁はオーガを横に一閃。
月夜は眉間に槍を突き刺す形でもう1体を撃破。
「ガアアアア…ッ!?」
最後に残ったトロールが怒った様子で雄叫びを上げるも、突如少し小さめの土の槍が。
しかも複数飛来し、その全てが口の中に収まった。
トロールは最早咆哮どころではなくなり、「ガ…」との声を最後に仰向けで倒れた。
それを合図に、紅葉は対トロール用に向けていた圷を下ろす。
今の戦闘が影響してか、南東、南、南西の3方向から、オーガやトロール達が走って来た。
「…今ので気付かれたか。暁、集落の情報は?」
「当然把握しております。敵は集落各地にいますが、特にここ北側。それと西側、南側、東側、中央に集中している様ですね。」
「うん。作戦は?」
「はい。4箇所の中で軽微な東側と西側を月夜と小夜、最も厚めの南側は旭に向かわせます。」
最も厚めの部分で名前を呼ばれた旭がえっ!?と言いたげな顔をしていたが、無情にも話は続行。
「敵の主力は中央にいるでしょうから、俺と紅葉様で叩こうと思います。」
「了解。それじゃまずは、目の前の敵を片付けてからだね。」
凛の満足げな態度に暁は少しだけ頬を緩めるも、すぐに引き締め、オーガ達の方を向く。
主にああ言ったが、元々は全員で行動→先に外側の4箇所を落とし、最後に中央を攻めるつもりでいた暁。
だがよくよく考えたら自分達が沢山動く=それに主達を付き合わせる=わざわざ足を運ばせるへと繋がり、申し訳ないとの感情から少しばかり無茶をする必要が。
作戦変更を余儀なくされ、皆にどう伝えようかと頭を悩ませる。
その後、暁達は襲い掛かるオーガ達を倒しながら南へ向かう事しばし。
1行は集落の中央部分に到達。
集落の中央には、一際豪華な造りと言うか、ちょっとした屋敷と見紛う建物が。
屋敷内に、今回の最大の標的であるオーガキングが鎮座。
そんなオーガキングが住まう屋敷の周りを、オーガキングの側近である4体のグレーターオーガが守護。
そのグレーターオーガは、オーガが進化して魔銀級の強さとなったものだ。
身長がトロールと同じ位にまで伸び、彼の種族以上に力が強大化。
しかも側近でとの表れなのだろう。
4体共銀色に輝く軽装を纏い、腰にはバスタードソードを佩いていた。
凛達の進行方向にいたグレーターオーガが彼らの存在に気付き、敵が来たを兼ね、大呼。
その叫び声を聞き、残りの3体が集まって来た。
その間、暁達はアイコンタクトや軽い頷きにてやり取り。
旭は南へ駆け抜け、月夜は東、小夜は西に進路を変える。
途中、グレーターオーガ達が旭に攻撃を仕掛けようとするも、紅葉の颯と圷での妨害により中止せざるを得ない状況に。
邪魔された腹いせに睨むが、我関せずとばかりに歩き続ける暁と紅葉。
そんな彼ら少し手前の位置で、凛達は止まる。
「藍火と玄は、紅葉達がどう動くのかをしっかりと観察する事。見るのも勉強の1つだよ。」
「分かったっす!」
「うん!」
そう言って、凛達は暁と紅葉、それと集落の中で一際豪華な造りをしている家の守りに就いている者達に視線を向ける。
分散した後、月夜は道中に現れたオーガとトロールを薙ぎ払い、東側へ。
開けた空間に辿り着き、近い順にオーガ1体、オーガ2体にトロール1体、グレーターオーガがいるのを把握。
問題があるとすれば、彼女は一応地下足袋の様なものを履いてはいるのだが、流石に気配を消すのが難しかった点だろうか。
そこそこ遠かった為に力を入れて走ったのも、割と目的地に近い個体の断末魔が悪い意味で影響し、到着次第待ち構えていたオーガの攻撃対象となった。
オーガは既に棍棒を振りかぶっており、月夜の姿を見て同族?と一瞬だけ驚いたものの、すぐに仲間でないと判断。
両手で持つ棍棒を勢い良く振り下ろした。
少し右に移動する形で月夜が攻撃を避けるや、ほんの少しではあるが地面が陥没。
破砕音や衝撃が辺りに響いた。
全力を込めたオーガの一撃を終える、即ち大きな隙が生じると言う事。
それを月夜が見逃すはずがなく、彼女は即座にオーガの後ろへ周り、背中から薙刀を突き刺した。
刃は大きく貫通し、胸の大分前の位置に来た辺りで一気に引き抜く。
致命傷を受けたオーガは盛大に血を吐き、両膝を突いてゆっくりと倒れた。
すると100メートル程先にいたオーガ2体とトロールが、よくも仲間をと言わんばかりに吼え、3体同時に走り出す。
月夜とのを距離を一気に詰めた彼らは、多方面から得物を駆使した攻撃を行う。
月夜はオーガ達から放たれた攻撃を斜めに構えた槍で防ぎ、時間差でのトロールの打撃をバックステップで避ける。
それからしばしの間、月夜は3体による連携攻撃を仕掛けられ、槍で受けたり避けたりして捌き、反撃の隙を窺う。
すると突然、月夜の後ろからフッと差す影が。
嫌な予感がした彼女は、咄嗟に前方斜め上方向へ跳躍。
直後、月夜のいた場所へグレーターオーガによる強烈な1撃が叩き込まれた。
その衝撃は凄まじく、轟音と共に地面が大きく抉れた挙げ句、たまたまそこにいたトロールが巻き添えを食らう。
近くにいたオーガ達は、まさか味方が被害を受ける等と露にも思わなかったのだろう。
物凄く驚き、自身を襲う突風を防ぐ目的なのか腕で顔を覆う。
オーガ達の防御行為は、月夜にとってチャンスそのもの。
彼らの背後に着地した後も体勢は続き、今の内にと持っている槍をオーガへ投擲。
槍はオーガのど真ん中に当たり、オーガは短い声と共に死亡。
相方であるオーガが前方に倒れ、既に息絶えたトロールを目の当たりにし、「お前のせいでやられてしまったじゃないか」と言わんばかりの視線と声を、生き残りのオーガがグレーターオーガに向ける。
当のグレーターオーガは一瞬苦い顔を浮かべるも、短い咆哮と共に駆け出し、棍棒による右薙ぎを敢行。
月夜はそれをひらりと躱し、横目でオーガをチラ見。
当のオーガは目を開き、盛大に固まっていた。
どうやら、グレーターオーガは詫びるどころか開き直り、「お前達が上手く足止めをしなかったせい」みたいな事を伝達。
つまりは八つ当たり以外の何物でもなく、受けた側のオーガは怒りを通り越し、呆気に取られたとの流れに。
その隙に月夜は槍を回収、再びグレーターオーガとの戦いに臨む。
しばらくして、我に返ったオーガも参戦…するのだが、月夜だけでなくグレーターオーガも対象としたものだった。
これにグレーターオーガが腹を立て、月夜そっちのけで仲間割れをし始める。
どうでも良い事だが、この場所に配置されたグレーターオーガは自尊心が高く、協調性に欠けるとして側近になれなかった者だ。
それを本人(?)は面白く思っておらず、いつかオーガキングを倒してトップになるのだと息巻いている。
オーガの集落は近辺になく、同族のよしみで在籍しているものの、行動が無茶苦茶と言うか軽くやりたい放題。
自ずと浮いた存在に。
それでも幸いと言うか、仲間に危害を加える事が今までなく、敵とまではいかなかった…が、どうやら今回ので見切りがついたらしい。
最終的に、オーガとグレーターオーガは手四つの状態へ。
呆れる月夜から視線を外し、力比べに夢中となっていた。
しかしここは戦いの場。
見苦しい喧嘩を見に来た訳ではないと割り切った月夜は、その場で横に1回転。
身体強化+遠心力を乗せた一撃を見舞い、2体纏めて両断。
戦闘終了後、何とも後味の悪い決末に月夜が深く溜め息をついたのは言うまでもない。
小夜も月夜と同様、オーガやトロールを片付けながら集落の西側に向かう。
到着後、木の影に隠れながら様子を探り、オーガとトロールが2体ずつ巡回しているのを把捉。
ゆっくり、そしてなるべく足音を立てず静かに移動を開始する。
旭や月夜と同じオーガでありながら、小夜は身長2メートル程とやや小柄。
又、距離が他のメンバーより短く、狭い歩幅で走ったのも気付かれにくい要因となった。
小夜は隙を見てオーガの背後へ回り込み、踏み込むと同時に左右の手に持った短槍を勢い良くオーガへ突き入れる。
胸の2箇所に穴を空けられたのが致命傷となり、オーガは前方へ。
倒れる音を耳にしたトロールが重い体を揺らしながら走って来るが開戦の合図となった。
小夜はピクピクと動くオーガの上に乗り、短槍を抜いた内の1本をトロールに投擲。
持っている棍棒で短槍を弾くも、続けて放たれた短槍にトロールは対応が遅れ、左手を前にやる形で防御。
掌を貫通との形で短槍は止まるものの、疾うに小夜は駆け出し済み。
前方へ跳んだ彼女が、追撃とばかりにドロップキックを仕掛ける。
短槍の石突き部分に小夜の足が当たり、短槍は押しやられるまま真っ直ぐトロールの喉のすぐ下の部位に、しかも深々と突き刺さる。
ヒュー…と声にならない声を上げるトロールへ刺さる短槍。
地に足を付けたばかりのそれを小夜が両手で掴み、鎖骨部分に両足を乗せて一気に引っぱり出す。
小夜は短槍を手にした状態で華麗に着地。
逆に短槍を引き抜かれた反動でトロールが数歩下がり、ゆっくりと倒れていった。
近くで足音がするを皮切りに、小夜が視線をトロールから残りのオーガとトロールへ。
2体は唸り声を上げながら小夜に連続攻撃を仕掛け、サイドステップやバックステップで彼女は回避。
2対1での攻防を強いられ、合間を見て弾かれた短槍の回収には成功。
ただ不意打ちならまだしも、正面からぶつかるには膂力も経験も小夜には足りない。
魔力操作も不得意な彼女は、少しでも補えればとの思いで攻撃に重きを置くも、やはり防ぎ切れずダメージを重ねてしまう。
今もオーガの攻撃を左の短槍で受け、反撃とばかりに右の短槍を突き出すがトロールに防がれ、隣にいるオーガによって蹴り飛ばされた。
20メートル程吹き飛んだ小夜は背中から木に打ち付けられ、「カハッ…」と肺の中の空気を強制的に吐き出し、前方へ。
地に伏す彼女を前に、勝利を確信したオーガとトロール。
口角が上がり、悠然と歩き始める。
向こうが余裕を持つに至ったおかげでか、右手の短槍を杖代わりに立ち上がれた小夜。
左の手の甲で口元に付いた血を拭い、決意に満ちた表情で駆け出した。
しかし先程と違い、攻撃よりも防御を主体としたものへ変更。
攻勢に出たのは最初だけで、決して無理をしない戦い方にシフト。
加えて、苦手な身体強化まで施して。
オーガ達は攻撃が当たらない事に苛立ち、同士討ちが目立ちギスギスした雰囲気に。
やがてオーガが放った右薙ぎ攻撃を避けた小夜が足払いで転ばせ、すぐ近くにいたトロールと衝突。
2体は縺れる様にして倒れ、下敷きとなったトロールが文句を言い、それにオーガが反論するとの構図へ。
小夜は今ならいけると踏み、その場で跳躍。
右手に持った短槍を、真下にいるオーガ達へ向けて思いっきり投げ飛ばした。
それに気付いたトロールはオーガを掴み、あろう事か盾代わりに。
短槍はオーガの腹部を突き破りはしたものの、トロールにまで届かず、彼を起き上がらせてしまう。
トロールは反撃へ移ろうと、少し離れた場所に放り出した棍棒目掛け走り出す。
その動きは遅く、小夜から見たら隙だらけも隙だらけ。
トロールの後ろへ迫り、左に持つ短槍を横薙ぎに払い、両足の腱を切断。
体勢が崩れたのを見計らい、首に短槍を突き刺して倒すのだった。




