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復讐の果ての終焉と始動  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 創り出される人 ――クロント支部――
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第23話 ハンター=ベータ

※フィルド視点です。

 【クロント支部 中央エリア】


 私とパトラーは誰もいない施設を奥に向かって走る。ほとんどの通路は同じような鉄扉で閉鎖され、全ての部屋もロックされていた。だから、とにかく奥に向かって先に進むしかなかった。

 長い廊下を走り続けるとやがて、1つの扉が見えてきた。その扉の上部にあるランプの色は緑。ロックは解除されている……!


「罠、じゃないですか? 上手く出来過ぎていますよ!」

「だろうな。だが、ここで引き返してもどうにもならないだろう。罠に飛び込むぞ!」

「……了解!」


 私たちは扉に近づくと、それは勝手に開く。今までの扉と同じ左右に開くタイプの扉だった。

 扉の先に広がるのは広大な空間。巨大な円の部屋。まるで首都グリードのグリードドームのような部屋だった。

 その部屋の奥には1機の戦闘ヘリが置かれていた。その前にいるのは2人の人間。1人は分かる。ティワードだ! あと1人、灰色のコートを羽織っているのは……少女?


「出来そこないのデミ・フィルド、お前はよく耐えた。だが、ここまでだ」


 ティワードが剣を振り上げる。少女はフラフラとしながらも剣をしっかりと握っていた。だが、アレじゃダメだ。ヤツの攻撃を防げない!

 私は剣を引き抜き、全力で2人に近づいて行く。あの子が誰なのかは知らないが、殺させるワケにはいかない!


「……フィルド、己と同じ者の死を見届けよ」


 そう言うティワードの目は少女の方ではなく、まだ少女のずっと後ろにいる私の方を見ていた。が、彼はまた少女に目を戻し、一気に剣で斬ろうとする。クソッ、間に合わないか……!

 私が諦めそうになった時だった。不意に後ろから衝撃弾が飛んできた。それはティワードに直撃する。彼の体は宙を舞い、倒れ込む。


「クッ! パトラー、貴様……!」


 そうか、今のはパトラーの放った……。私はチラリとパトラーの方を見て、再び正面のティワードに向かって走る。一気にケリをつけようとした。

 だが、その前に少女が私の方を向く。彼女の顔を見た瞬間、私の動きが止まった。……偶然、か? 私と同じ髪色・髪質に同じ瞳、同じ体型……? 似過ぎていないか? アッチの方が、年齢はずっと下のようだが。


「……何者だ?」

「えっと、デミ……フィルド……」


 デミ、フィルド?


「……オリジナル、ですか?」

「ど、どういう意味だ!?」


 私は彼女をじっと見る。やっぱり私とほぼ同じだ。偶然似ているだけなのか、それとも……。そうしているとパトラーが走り寄ってきた。


「彼女はデミ・フィルドと呼ばれる人、です」

「デミ・フィルド? なんだそれは?」

「……財閥連合が創り出した、フィルドさんのクローンです」


 クローンだと? 今私の目の前に立っている少女がクローン? しかも私の……。信じられないが確かにそう言われれば説明がつく。私と彼女が酷似しているのは彼女が私のクローンだから、か。


[お前のクローンは素晴らしい……。優れた遺伝子だ。我ら財閥連合、いや、連合軍の計画には必要不可欠な存在だ]


 室内に流れるティワードの声。気がつけば彼はいなくなっていた。いつの間に……!

 そんな事を考えているとドーム状の天井が中天で2つに分かれ、大きく開き始めた。そこから眩しい太陽の光が入ってくる。


[お前の遺伝子は世界を変える。偉大な科学を発達させる。今、お前の遺伝子の力を見せようではないか]

「なんだと?」

[じっくりと味わえ……“ハンター=ベータ”でな]


 彼の声と共にヘリの中から何かが飛び出した。そいつは私たちの前に飛び降りる。黒い服を着た巨体を持つ人間。黒い服から露出した肌が不気味なほど白かった。

 ハンター=アルファと大きさはほとんど変わらないがべーたということは……?


「フィルドさん! アイツ、研究所の奥にいた奴と……!」

「グォォォッ!」


 低い雄叫びを上げ、ハンター=ベータはコッチに向かって走って来る。また“あの攻撃”か。8年前、何度も見たあの攻撃だ。

 私はスタンロッド型の魔法発生装置で素早く全員に物理シールドをかける。アイツの攻撃は全て物理攻撃だ。相手の腹部を殴って体を打ち上げると、自らも飛び上がって相手を殴り落とす。大抵の相手は打ち上げられた時点で死ぬが……。


「喰らえッ!」


 私とパトラーは同時に衝撃弾を飛ばす。白い弾が飛び、ハンター=ベータの胸に当たり、爆発を引き起こす。その衝撃でハンター=ベータは動きを止める。その隙を突き、私は剣で彼の胸を大きく斬り裂く。

 緑色の体液が床に飛び散り、ハンター=ベータはその場でよろける。が、まだ死んだワケじゃない。素早く鋭い拳で頬を殴る。私の身体はその場に倒れる。


「クッ……!」

「オリジナルの私を……傷付けはしないッ!」


 力強い音と共に何度もハンター=ベータの体が撃ち抜かれる。その度に緑色の体液が飛ぶ。銃撃だ。撃っているのは私のクローン……デミ・フィルド!

 彼女は両手でハンドガンを握り、狙いを定めて何度も射撃を繰り返す。その姿はハンター=ベータにも見えていた。


「グォォォ――!」


 空間に響く雄叫びを上げ、ハンター=ベータは再び走り出す。向かう先はデミ・フィルドの下だ! 行かせるかッ!

 私は立ち上がると、右手に剣を握り締めて走る。走りながら魔法をも繰り出し、ハンター=ベータを攻撃する。眩しく光る無数の雷の槍が彼を打つ。


「グォォッ……」


 攻撃を喰らったハンター=ベータはその場で動きを止め、苦しそうな低いうめき声を上げる。その隙に私は背中を大きく斬り裂く。また、彼の前からはパトラーとデミ・フィルドが追撃する。パトラーは魔法発生装置で。デミ・フィルドはハンドガンで。


「喰らえッ!」


 私はハンター=ベータに向けて強力な魔法弾を乱射する。衝撃弾、火炎弾、氷塊弾、ウォーター弾、電撃弾、暴風弾……。何度も爆音が鳴り響き、床と空気がビリビリと振動する。

 私は魔法弾を乱発した後も攻撃の手を緩めなかった。何度も斬りつけ、後ろに下がっては再び魔法弾を撃ち続ける。パトラーやデミ・フィルドも同じように攻撃を続けた。


「フィルドさん、そろそろエネルギー切れです!」


 煙で覆われた前の方からパトラーの声が聞こえてきた。私は最後に強力な魔法弾を撃ち、パトラーたちのいる方に向かった。

 私は大きく遠回りをしてパトラーの下に行った。そうしたのはむやみに突き進むと、下手すればハンター=ベータと接触してしまうかも知れなかったからだ。


 走っている最中だった。どこかからかヘリの音がしたような気がした――。

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