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復讐の果ての終焉と始動  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 創り出される人 ――クロント支部――
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第22話 消さねばなるまい

「……フィルド=ネスト。オリジナルか?」


 ティワードがニヤリと笑いながら言う。私は後ろを見る。そこには剣を引き抜き、ティワードの方を睨んでいるフィルドさんがいた。ほ、本物……?


「確かめてみるか?」

「ほぉ、どうやってだ?」

「……お前の命でな!」


 叫ぶようにして言うと、フィルドさんはティワードに飛びかかる。その動きはとても早く、あっという間だった。私の隣まで来たかと思うと剣を振り、彼の剣を叩きつける。

 あまりの強烈な攻撃に彼は数歩下がる。その間にもフィルドさんは何度も攻撃する。剣と剣がぶつかる度に火花が散り、高い音が鳴り響く。


「クッ、これは……!」


 ティワードは全く太刀打ち出来ない。フィルドさんの攻撃に防戦一方だった。間違いない。本物のフィルドさんだ!

 彼は剣から魔法をも繰り出す。黄色の稲妻がほとばしり、フィルドさんの体を包み込み、そのまま勢いよく吹き飛ばす。吹き飛ばされた彼女は水槽の1つに背中を打ちつける。


「ハァハァ……! 間違いな。オリジナル、だ」


 ティワードはそれだけ言うと懐から端末を取りだし、素早く何かを打ちこんでいく。それを終えると突然、施設内に警報音が鳴り響き、壁に取り付けられた赤い警告灯が光り始める。

 また、ハンター=ベータの水槽も床の下に降りて行く。水槽は完全に降りると、穴となった部分は灰色のふたで閉じられる。


「まさか、オリジナルがこれほどの能力を持っているとはな……。バレた以上はここも“消さねばなるまい”」


 ……消す?


[爆破システムが作動しました。所員はただちに退避してください。繰り返します。爆破システムが作動しました。所員はただちに退避してください]


 け、消すってそういう意味!? 確かにそれなら何もかも消滅する。文字通り消える。……証拠隠滅だ。連合軍という組織の存在を知られてはならない為に……!

 ティワードは走り出す。黒のマントをひるがえして。アイツ、逃げるつもりか! そうはさせない! 強烈な電撃を喰らったフィルドさんはフラフラと立ち上がる。その目はティワードを睨んでいた。どす黒い憎悪の感情が含まれていた。


「逃がすな……!」


 フィルドさんの怒りに満ちた声に、私は矢が弓から放たれたかのように走り出す。並べられた水槽の間を走り抜け、ティワードを追う。

 彼にはすぐ追いついた。追いついたところは研究所の出入り口だった。彼は扉が開かれると、そのまま走り去る。私はその扉の先へ進もうとした。だが、そこには4本脚をした黒色の軍用兵器がいた! しかも2体も!


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 大型軍用兵器は両腕に取り付けられたマシンガンから一気に射撃を行う。私は素早く研究所に戻り、なんとか攻撃を回避する。そして、魔法発生装置で自身に物理シールドをかけ、再び大型軍用兵器の前に立った。


「片方は私がやる」

「…………! フィルドさん!」

[攻撃セヨ!]


 マシンガンが火を噴き、おびただしい数の銃弾が飛ぶ。それは私にも当たる。でも、物理シールドを張ったからダメージは少なかった。それでもゼロじゃないケド。

 私は魔法発生装置を振る。電撃弾とファイア弾が飛ぶ。その2つは軍用兵器の胴体の部分に直撃する。電撃の音と、爆発音が鳴り響き、軍用兵器はその場に倒れ込む。


「喰らえッ!」


 フィルドさんは手に魔力を溜め込み、一気に飛ばす。飛ばされた魔法は電気の槍の様なものだった。それは軍用兵器の胸を貫き、爆発する。たちまち軍用兵器は倒れた。……意外と弱いんだな。


「所詮はザコ軍用兵器。新たに開発された“バトル=ベータ”だな」

「バトル=ベータ?」

「財閥連合が開発した軍用兵器だ。大量生産されているだけに安い金属使っているんだろうな」


 なるほど。簡単に壊れた理由はそれか。フィルドさんはそれだけ言うと再び走り出す。私も後に続いた。走っている途中に一度だけ振り返った。後ろにあるのは壊れた軍用兵器。ザコ軍用兵器でも時間稼ぎにはなったかも……。



 【クロント支部 1階】


 爆破装置が作動し、私達は一度外に出ようとした。この施設と一緒に吹き飛ばされたら元も子もない。何も出来ずに消されてしまう。それだけは絶対に避けたかった。


「…………! フィルドさん、アレ!」


 私は遥か先を指差す。行き先が塞がれていた。来るときには確かになかった。たぶん、防護扉か何かだと思うけど、どちらにしろアレじゃ通れない。

 私たちは壁の様な扉の前で立ち止まる。厚い鉄の扉。さすがに壊す事は出来ない。近くに何か扉を開ける装置がないか調べる。が、何もない。操作パネルもスイッチも見当たらない。


「仕方ない。別のルートを探そう」

「えっ? でも……」

「急ぐぞ!」


 そう言うとフィルドさんは走り出す。私は慌てて後を追う。確かにそうかも知れない。あの扉の前でウロウロするより、別の方法を探す方がいい。解除システムがない以上、あそこにいても何も出来ない。

 ……そういえばデミ・フィルドさんはどこ行ったんだろう? 私の脳内に彼女の事が思い浮かぶ。研究所でティワードに殺されそうになったから下がらせたけど、その先は?

 私の頭に突然消えたデミ・フィルドさんの事が巡る。彼女、どこに行ったんだろう? 無事だといいけど……。

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