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古いランタンを大切にしていたら、イケオジが現れました ~灯火は想いを繋ぐ~  作者: おかゆ


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10/11

エピローグ

2話同時掲載です。

春風が若葉を揺らし、柔らかな陽射しが街を包んでいた。



あれから、一年。

クララは今日も依頼を受け、旅へ向かう支度を整えていた。



変わらない朝。変わらない日常。



ただ、一つだけ以前と違うことがある。



もう、彼女がその手に、古いランタンを提げることはない。



その代わりに。



「オーエン、行こう」


「ああ」



隣を、大柄な男が静かに並んで歩いている。



二人はいつものように、賑やかなギルドの扉をくぐる。



「おはようございます、クララさん。オーエンさん」



カウンターの奥から、サラが笑顔で迎えてくれた。

酒場の一角では、朝から集まった冒険者たちが、相変わらず並び立つ二人を見てニヤニヤと笑い声を上げている。



「あの二人、ほんと仲良いよな。今日も二人だけで行くのか?」


「いつも一緒だもんなぁ。……そういえばさ、ついにあのランタンは卒業したのか?」



悪気のない冒険者たちの噂話に、サラは小さく肩をすくめてみせた。



「いいえ」



そして、少しだけ誇らしそうに微笑む。



「形が変わっただけです」


「クララさんは昔から、大切なものを、ちゃんと大切にしている人ですから」



その言葉が聞こえたのか、クララは照れくさそうに笑い、隣のオーエンを見上げた。



「今日もよろしくね」


「ああ」



それだけの、いつものやり取り。

けれど、今の二人には、その短い返事だけで十分だった。



ギルドの扉を押し開け、一歩を踏み出した時。



隣を歩くオーエンが、いたずらに、そっと自分の指先に小さな灯をともす。



かつてランタンの中で揺れていた琥珀色の光が、人の手の中で静かに揺れた。



それは、何百年ものあいだ、暗闇の中で旅人を導いてきた孤独な灯ではない。



二人で歩むこれからの未来を、静かに照らしていくための、新しい灯火だった。








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