表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しのアイドルが実は男で陰陽師でした 〜陰陽道二大宗家の末裔たちが、復活した妖を呪術(物理)でシバくまで〜  作者: KUMANO


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/7

目に見えない畏れ

「……____これで、玉藻前(たまものまえ)の厄災は終わった……。かと、思われたのですが……」

「『殺生石(せっしょうせき)』……でしたっけ?」

「おっしゃる通り。玉藻前(たまものまえ)は自らの体を『殺生石(せっしょうせき)』と呼ばれる石に変えて、尚も人々に厄災を振り撒き続けたのです」


 確か『殺生石(せっしょうせき)』から放たれる毒が、度々生き物の命を奪っていたから、偉いお坊さんが呪いを解くために石を破壊して、欠けた石が全国に飛び散ったという伝説も残されているはず。


「そうして、600年以上が経った今年の3月。栃木の那須にある殺生石が割れているのを、観光客が発見したのですよ。ニュースでも一時期話題になりました」

「俺もみました。見事な真っ二つに割れていましたよね……って、もしかして……?」

「はい。600年間石の中で、生きとし生けるものの命を奪い続け、地道に力を蓄えていた玉藻前(たまものまえ)が、今年満を持して復活した。ということです」

 

 復活って、そんなまさか……。

 

 いやいや、あり得ないだろ。これまでミチルさんが語っていたのはあくまで『伝説』の中のお話だ。

 それにニュースでは『元々殺生石にはヒビが入っていて、自然に割れた可能性が高い』って言われていた。


「『伝説』を実際にあった記録っぽく話されても……。第一、殺生石の付近一帯は、有毒ガスが常に噴出している火山地帯です。殺生石の呪い自体、現代では科学的に証明されているんですけど……」

「お前はさっき、その目で何を見たんだ? ん?」

「うっ……」

 

 そこを突っ込まれると……。

 

「……狐の、バケモノ……です」

「そうだなぁ。お前が連れて来たんだよなぁ。危うくお前の大事な“推し”様の可愛い御尊顔に、傷ができるところだったんだが?」

「はい……。返す言葉もございません……」


『伝説』は、本当だったんだ。

 

 つい昨日まで、大事な俺の“彼女”だった女性が、突然狐のバケモノに変貌して、“推し”に襲いかかっていった……。これはもう、言い逃れのできない事実だ。

 

「何でもかんでも『現代科学で証明できます!』と言うのは簡単だ。その方が俺たち人間にとっては、都合が良いからな」


 HARUHIは短くなった煙草を、再び灰皿に押し付けると、パイプにふんぞり返ったまま足を組み替えた。

 

「だが、どんなに科学で証明できたとしても、『目に見えない(おそ)れ』は、常に人間の傍で、静かに息づいている。そしてそれは、忘れた頃に突然襲いかかってくるんだ。今回のようにな」


 そう言ったHARUHIは、まるでこの世の(ことわり)を全て理解しているかのような、真っ直ぐな瞳で俺を見下ろしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ