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推しのアイドルに脅されました〜実は男で陰陽師なんて聞いてない!~   作者: KUMANO
三章 劇的ビフォアアフター!

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ノートを見つけた人は

 そこまで弓削先生が語った時だった。


「!?」


 ジャリジャリと、誰かの歩く足音が、俺たちの耳に響いた。

 

「誰ですか!」

「ちょ、ちょっと! 待ってください!」


 弓削先生は足音のした方角へ、真っ先に走り出してしまった。

 俺も急いで追いかけると、弓削先生は体育館の奥にひっそりと建てられている、少し前まで平野双子とも話していた、体育館裏の倉庫の前までやって来た。


 ……にして弓削先生……。こんな暗い中一人で突っ走るなんて、度胸あるな……。

 他の女性教員はみんな、暗いところは怖がって誰も行かないのに……。


「……あなたたちは……!」

「…………はぁ〜〜〜……」


 足音を追いかけた先にいたのは……。


「やっぱり……来たな〜?」

「……あちゃ〜」

「バレてたか〜」


 足音の正体……。平野双子は、バツが悪そうに笑いながら揃って頭を掻いていた。

 

「バレてたか〜。じゃありません……!」


 俺はそんな双子の頭を、手の甲で軽く小突いた。


「だってどうしても気になるんだもん!」

「あそこで終わってたら、誰だって確かめたくなるでしょ!!」

「だからって人目を盗んで、夜の学校に侵入していい理由にはならないだろう!」


 懲りずに言い訳が出てくる双子に対して、少し強めに言うと、双子はようやく分かってくれたのか、しゅんと項垂れて、


「……ごめんなさい」


 と、声を揃えて謝ってくれた。


「……帰るよ。家まで送るから……」

 

 俺はやっぱり弓削先生と一緒に巡回して正解だったともいつつ、一度小さく息をつくと、彼らを校舎へと促した。


「……よろしいですか?」

「? なんでしょう?」

「あなたたちは、何が気になってここへ来たのですか?」


 倉庫を後にしようと歩き出したら、弓削先生が徐に口を開いた。


「あぁ、実は……」

「おれたち、図書室で昔の生徒が残したノートを見つけたんだ!」

「ノートですか?」

「そうそう! 七不思議検証ノート!」

「七不思議……?」


 七不思議。という単語を聞いた弓削先生は、驚いたような顔をしたまま俺を見てきた。


「すみません。さっき俺が七不思議についての話題を振ったのも、元々はこの二人が奇妙なノートを拾ったのがきっかけで……」

「そのノートを見つけて、どうしたんですか……?」

「え? 部室で俺と3人で、内容を確認して……」

「最後の7つ目、体育館裏の倉庫の結果だけ読めなくなってたんだ〜」

「だからアタシたちで確認してみたいって、せんせーにお願いしたんだけど……」

「……」


 弓削先生の顔色が、だんだんと悪く、険しくなっていく。

 外にいて暗いから、とか、そういうわけでもなく。まるで悪いことをしでかしたのがバレてしまった時のような。


「ゆ、弓削、先生……?」

「……さっきの話の続き……」

「へ?」

「私が学生時代に聞いた、七不思議についての噂……」

「え!? 篤美(あつみ)ちゃんこの学校出身なの!?」

「当時はどんな感じだったの!?」


 双子が興奮気味に弓削先生に詰め寄っているが、俺はあの時、七不思議7つ目の項目を読んだ時と同じ、身体中にゾクリと背筋が凍るような悪寒を感じていた。

 

 再び、俺たちに向かって冷たい風が吹き抜けた。


「この学校には、昔、本当に七不思議があるのかを検証した、生徒の記録が綴ってあるノートが……、今もどこかに残されていて……」


 寒さとは違う、唇を僅かに震わせながら弓削先生は続けた。


「そのノートを見つけた人は……、呪われてしまう……と……」

「……へ……?」


 ガタンっ!


 倉庫の中から、物音が聞こえた。

 

「ひえっ!」


 双子は驚いて俺の後ろに身を隠した。


「……誰かいるのか……?」

「……勘解由小路先生……これ……」

「!」


 倉庫の扉を見てみると、普段はガッチリと施錠されていた鍵が、開けられていた。


「今日、この倉庫を使用したのは?」

「私と葛木先生のクラスである2年3組と4組が体育の時間に、放課後には、バレー部とバスケ部が道具の出し入れに使用しているはずです」

「その時に施錠をし忘れたのか……?」


 もしかしたら、鍵が開いている間に、他の生徒か、最悪侵入者がいるかもしれない。

 俺は双子を弓削先生に任せ、倉庫の扉に手をかけた。


「……開けます」


 そしてゆっくりと、倉庫の引き戸を開けた。


 開けると中は真っ暗で何も見えない。倉庫特有の埃臭さが鼻腔をくすぐった。

 片手に持っていた懐中電灯で中を見渡してみると、バレーボールやバスケットボールが入った籠や、跳び箱、丸められた体操マットなどが雑然と収納されている。


「……誰もいない……?」

「せ、せんせー、気をつけてね……」


 俺は一歩、倉庫の中に入って、先ほどの音の正体を探した。


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