表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しのアイドルに脅されました〜実は男で陰陽師なんて聞いてない!~   作者: KUMANO
三章 劇的ビフォアアフター!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/37

誰!!??


 12月に入り、世間はクリスマス一色。

 外に出れば至る所で、イルミネーションが星のようにキラキラと瞬いている。


 ……本当なら、このイルミネーションを彼女と一緒に見たかったものだけれど、残念ながらそれはもう叶わない。


 今年も独り、静かにクリスマスを過ごすことになりそうだ。


 俺は電気代節約のために、暖房などは一切つけず、冷え切った部屋の中で目を覚ました。


 時刻は5時。いつも通りの起床時間だ。


 俺自身の体温で暖かくなった布団から名残惜しく出ると、最近新調したばかりの、皺ひとつない落ち着いたカーキ色のスーツへと手早く着替えていく。


 次に鏡の前で顔を洗って、ツナにもらった化粧水などで肌を整えて、こちらも新しく買ったアイロンとスタイリング剤で、教わった手順の通りに髪を整えていく。


 化粧水とか、アイロンとかスタイリング剤を使うという発想が無かった(スタイリング剤に至っては先日初めて存在を知った)、少し前までの俺にとっては、最初こそは時間もかかるし、めんどくさいなと思っていたけど……、慣れると案外楽しい。


 だんだんと肌の赤みが引いていくのを見るのは嬉しいし、アイロンやワックスを使って髪をセットすると、なんとなく気合いスイッチが入る。ような気がするからだ。


 最後に新しくしたメガネをかけて、準備は完了だ。

 コンタクトも一応買ったんだけど、こちらはまだ練習中で慣れていないので、徐々に移行していく予定だ。


 朝ごはんも、以前までは食べずにそのまま出勤……。が普通だったけど、そのことをリウさんに言ったら「今すぐやめなさい」と説教され、リウさんが実際に食べている朝食のレシピを問答無用で渡された。多分参考にしろ、という意味なんだろうが……。


 もらったレシピには、ヨーグルトに果物をたくさん使ったスムージー……。いかにも美容と健康に良さそうなラインナップが揃っていて、確かにこれを真似すれば健康になれそうだ。と思うけれど、最近身の回りのものを新調しまくった結果、金欠な俺にはちょっと厳しい。

 だからまずはヨーグルトと豆乳、そしてバナナを取り入れてみることから始めてみた。

 

 ……なんだかこれまでの人生で、一番丁寧な生活をしている気がする。


 いや、これまでの生活が、粗雑すぎただけなのかもしれない。


 こうして丁寧な生活をして、自分を大事に扱うのも、いいものだな。

 

 

 朝食を終えて、出勤の準備を終えた俺は、新しく新調した防寒着をしっかり着込んで、車で学校へ向かった。



 ******


 

 

「おはようございます……! 葛木(かつらぎ)先生」


 クソ……! めちゃくちゃ優雅な朝を過ごせてかなり余裕を持って家を出たのに……! 道路が渋滞しまくっていて結局ギリギリじゃないか……!

 職員専用の駐車場を降りて、助手席に置いておいた鞄と防寒着を引っ掴み、急いで校舎へ走った。

 

 職員室に着いて、自分のデスクにカバンを置くと、隣のデスクに座っている葛木先生が、いつものように爽やかな挨拶を返してくれるのだが……。

 

在保(あきやす)先生! おはようございま……ん!?」


 この日はいつもと違っていて、先生は俺の顔を見るなり、驚きながら綺麗な二度見をされた。

 

 ……なんだか、前にも似たようなことがあったような……。

 

 ……そうだ。俺がスーツを新しくした時だ。あの時も同じような二度見をされたんだった。


「えっ!? あ、……え???」

「どうしました、葛木(かつらぎ)せんせ……ん!?」


 だけど葛木先生は、あの日以上にあたわたとしながら、何度も俺の顔を見ては困惑の言葉を繰り返している。

 そんな先生を不思議に思ったのか、向かいに座っていた別の先生が様子を伺うと、その先生も同じように、俺を見るなり驚いた表情をしている。

 

「ど、どうしましたか……? お二方……、な、何か、変ですか?」

「変じゃない! 全く変じゃないです! ……むしろ……!」


 もしかして、髪型のセット失敗したかな……。一応教えてもらった通りにしたんだけど……。

 

 俺は急いで授業に行く準備をしながら、恐る恐る聞いてみた。

 すると先生方は、焦りながら「変ではない」と言ってくれた。でもやっぱりどこか、挙動がおかしい。


 そう思っているうちに、職員室に予鈴のチャイムが鳴った。


 これじゃジャージに着替えている余裕もない。

 俺は狼狽えている先生を尻目に、急いで教室へと向かった。


「お、おはよう」


 なんとか担任を請け負っている教室に滑り込み、間に合うことができた。

 教室内は、いつものように生徒たちが各々スマホをいじっていたり、他の生徒たちと雑談に興じていたりと、俺が教室に入ってきても挨拶が返ってくることもなく基本無視、リアクション一つ起こさない。……まぁ、いつもと変わらない光景だ。

 

「えと……、じゃあ、出欠をとるよ」

「……ん?」


 けれどもこの日は、いつもと違った。


 ある1人の生徒が、俺の顔を見た瞬間目を点にして、まるで時が止まったかのように動きを止めた。


「どしたん? 吉田……は!?」

 

 他の生徒たちも異変に気付いたのか、同様に俺の顔を見るなり、驚いた表情のまま、静止している。

 

 そして……、

 

「誰!!??」

「えぇ……?」


 生徒たちの見事にハモった、驚愕と困惑の混じった叫び声が、教室にこだました。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ