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推しのアイドルに脅されました〜実は男で陰陽師なんて聞いてない!~   作者: KUMANO
一章【閲覧注意】最恐心霊スポットをアイドルと一緒に凸してみた!

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実写版鳥獣戯画……?

 

「……この部屋が最後かな〜?」

「扉は……普通に開きますね」


 気を取り直して、動画の撮影が続行された。

 HARUHIもアイドルスイッチを入れて、撮影に望んでいる。

 

 最後の部屋、黒い犬が飛び出してきた部屋の扉を開け直して、またツナが先陣切って中へと入っていく。

 鼻をつくニオイの元凶が絶たれたことで、俺も躊躇うことなく、彼らの後へ続いた。

 

「……あ〜……」

「どうしましたか?」

「神棚……、あった……けど……」


 ついに(くだん)の神棚を見つけたらしい。

 先に室内へ入ったツナが、初めて歯切れの悪そうな返事を返した。


「ちょ〜っとこれは……、映せないなぁ」

「映せない? ……」

「……!」


 眉間に深い皺を寄せている2人の視線を追っていくと、腐敗し、崩れ落ちた神棚のそばに、獣の骨が寄り添うように横たわっていた。


 俺はその獣の骨を見てすぐに直感した。


 さっきの黒い犬だ。


「……窓が開いてるな」


 HARUHIの視線の先には、わずかに開いている窓。外には星と月が見え、この部屋を照らしている。


「この部屋に迷い込んだ野良犬が、出られなくなってそのまま……ってところだな」


 さっき1階で聞こえた足音や唸り声も、さっきの黒い犬のものだったのだろう。

 ずっと見つけてほしくて、助けて欲しくて、音を出していたのかもしれない。


 俺は、先に骨の前で静かに手を合わせているミチルさんの隣に立つと、静かに手を合わせた。


 

 ******

 

 

 

「……なんだこれは……?」


 無事に撮影が終わった後日。HARUHIに呼び出され、事務所にやってきた俺は、扉を開けてオフィスに入った瞬間。その異様な光景に、俺は困惑した。


「実写版鳥獣戯画……?」


 このオフィスで働いている従業員の全ては式神だ。

 そしてその式神がようやく見えるようになった俺は、「一体どんな姿をした式神たちが、オフィスで働いているんだろう」と、ちょっぴりウキウキしながらここまで来た。


 いざ蓋を開けてみると、ウサギやタヌキ、キツネなど、様々な動物たちが、()()()()の姿で業務に励んでいたのだ。


「なんか思ってたんと違うぞ……!!」


 なんかもっと……、そこは擬人化とか、よくあるラノベみたいに、ケモみみが生えた可愛い巫女姿の女の子とかが働いている……。とかじゃないのかよ……!!!


 俺の下心満載な妄想は、脆くも崩れ去った。

 

「あらん在保(あきやす)ちゃん。ご苦労様♡」

「リウさん! 動物愛護団体に訴えられますよ!?」

「開口一番それ? ……本当に見えるようにはなっているみたいね。良かった」


 良いわけないだろ!

 こんな光景……! 側から見ればただの動物虐待じゃないか……!?


「普通の人には見えないんだからなんの問題も無いわ。No problem」

「そうだけれども……!」


 あまりにもシュールすぎる……!!

 混乱しまくっている俺をよそに、足元を一匹の白いヘビがニョロニョロと横切り、コピー機を慣れたように尻尾で操作している。


 というかタヌキとキツネがいるならそれこそ人間に変身とかしないのかよ……!! 


「見た目についての文句ならミチルちゃんに言ってちょうだい」

「ミチルさん……?」

「私がなんですか」

「うわっ!?」 

 

 すぐ後ろで声が聞こえて、振り返るといつの間にか、ミチルさんがオフィスの入り口に立っていた。


「ミチルちゃん。在保ちゃんが、なんで式神たちを擬人化させないの? だって」

「擬人化?」

「そ、そうとはまだ言って……!」

「その姿のままの方が可愛いから。に決まってるじゃないですか」

「……はい?」


 可愛い……?

 このイケメンは真顔のまま何を言ってるんだ?


「動物はありのままの姿が一番可愛い。擬人化なんて外道中の外道」

「そこまで言います?」

「何でもかんでも擬人化させる日本のド変態文化に、真正面から喧嘩売ってるわねぇ」


 ミチルさんはコピーした紙を器用に頭に乗っけて、ニョロニョロ歩いている蛇を抱き上げた。


「例えばこのおヘビ。このにゅっと絶妙に曲がったお口がなんとも可愛いです。あと何と言ってもつぶらな瞳。優勝。ちなみに名前は(へい)です」


 ミチルさんは相変わらず鉄面皮のまま、ヘビの可愛さをひたすら怒涛の早口で喋り倒している。

 

「……お分かりいただけましたか」

「は、はい……」


 正直半分くらい聞き取れなかったが、ミチルさんの常軌を逸した動物愛だけは痛いほど伝わってきたので、俺はただ首を縦に振るしかなかった。


「在保、来てるな」


 ミチルさんが抱っこしたヘビをデスクまで連れて行っていると、遅れてHARUHIがオフィスに顔を出した。


「早速だが、出るぞ」

「出るって、どこへ?」

「川に行く」

「川……?」


 動画の撮影だろうか?

 なんとなくそんなことを考えていると、


「先日の後処理……と言ったところか」

「……?」


 俺は言葉の意味もわからないまま、HARUHIとミチルさんを乗せて、近くの川まで車を走らせた。

 


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