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推しのアイドルに脅されました〜実は男で陰陽師なんて聞いてない!~   作者: KUMANO
一章【閲覧注意】最恐心霊スポットをアイドルと一緒に凸してみた!

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うるせぇのが来た……

「こんちは〜っス! お兄ちゃ〜ん来たよ〜!」

「うるせぇのが来た……」


 しんと静まり返った室内。

 そんな時、底抜けに明るい声が突如、室内に響き渡った。するとHARUHIは途端にげんなりとした表情になってしまった。


「あれ、誰もいない……? と、思ったらいるじゃ〜ん! ヤッホ〜ハルちゃん! 元気?」

「お前のせいで失せた」

「またまた〜そんなこと言っちゃって〜、あれ、君は? ……あ! もしかして、お兄ちゃんが言ってた新人くん!?」

「え」


 仕切りの向こうから姿を見せたのは、ヒールを履いたリウさんよりさらに長身の、いかにもチャラそうな男……。正直俺が一番苦手としているタイプの人間だ。


 でも顔を見た瞬間。俺はどことない既視感を、この男に覚えた。

 

「初めまして〜! お兄ちゃんから聞いてるよ〜在保(あきやす)君だよね! 俺は九条綱紀(くじょうこうき)! 気軽にツナって呼んでね!」

「ツナ……って……、もしかして、あのツナ!?」

「そのツナだよ〜! まさか知っててくれてるカンジ!? 超嬉しい〜!」


『ツナ』という愛称を聞いてすぐに思い出した。

 俺の勤務先でも、休み時間になれば生徒たちがみんな動画を見て盛り上がっている。


 登録者数は300万人越えの超人気動画配信者。『ツナちゃんねる』のツナ!

 

 底抜けの明るさと純粋さ、リアクションのデカさ、加えてちょっと天然でバカっぽいところが特に受けているらしい。


 動画はゲーム配信はもちろん、それなりにお金をかけてそうな大胆な企画ものから、どういう思考回路をしていれば、そんな馬鹿馬鹿しい企画を思いつくのか。と思うほどの、ぶっ飛んだ企画もの。時には心霊スポットに突撃したりなど、活動内容も多岐に渡っている。


「知らないわけがないですよ! HARUHIと同じ事務所に所属していたんだ……! しかもお兄ちゃんってことは……」

「そ! お兄ちゃんはウチの代表!」

「リウさんが昨日言ってた弟って、ツナのことだったのか……!」


 でも、顔立ちはあんまり似てないな……。強いて言えば、身長が高いくらいかな……。


「腹違いなんだけどね〜」

「あ、そ、そう……なん……」

「もう一人弟がいるらしいんだけど、その弟とお兄ちゃんが同じなんだって!」


 そんな……。複雑そうな事情をペラペラ軽い感じで話していいのか……?


「それにしても、名前が在保(あきやす)か〜。ハルちゃんと二人揃ったら『やすやすコンビ』じゃん!」

「やすやすコンビ……?」

「ばっおま……!!」


 やすやすコンビ……? 

 どういう意味だ……?


 そう首を傾げていると、なぜかHARUHIが焦り出した。


「聞いてない? ハルちゃんの本名、や……もごっ」

「バカ! 余計なこと言うな!」


 おそらくツナがHARUHIの本名を言おうとしたのか、その前に本人が急いで口を塞いで静止させた。


 そう言えば、俺はHARUHIの本名を知らない。

 

 昨日ミチルさんが安倍氏庶流倉橋家の末裔と言っていたから、おそらく名字は『倉橋』なんだろうけど……。名前は想像がつかない。だからちょっと気になる……。


「テメェも、知ろうと思うなよ」

「え〜……」

「返事は『はい』か『YES』だ!」


 それどっちも意味同じでは……?


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