第199話 ナンパ男たちを無事に制圧完了ですわ!
ジュスティーヌの放つライトニングパラリシスによって、自由に動ける男はすでに半数程度になっていた。残りの男たちも、上から落ちてくる稲妻に、なすすべもなく逃げ惑うことしかできなかった。
そこへ美女の相方の騎士風の金持ちイケメンと思しき男が姿を現した。
「ジュティ、殺さないように気を付けて! そいつらに確認したいことがあるんだ」
アルフォンスはジュスティーヌを止めることはなく、彼女が男たちをいたぶる様をエントランスからにこやかな顔で見守っていた。
「大丈夫よ。当たると電気ショックで体がしびれて動けなくなる状態異常を引き起こすだけの魔法だから、死ぬことはないわ。ライトニングパラリシス!」
「なるほど、ライトニングパラリシスか」
「おい、そこの色男! 頼む! お前のトンデモ女を止めてくれー! このままだとマジで殺されるー!」
悪漢の一人がアルフォンスに気が付き、声を限りに必死に叫ぶ。
「安心するがいい。この呪文は当たるとめちゃくちゃ痛い割にはしばらく動けなくなるだけで、命には別条はないから」
アルフォンスが笑顔で説明をする。
「安心できるかー!」
「ま、どうしてもというのであれば、俺がお前たちのみぞおちに一撃を入れて、痛みを感じる前に一瞬で気を失わせてやってもいいが。希望者は俺の前まで来るといい」
「ちょっと、アル! わたしの獲物を盗らないで! ライトニングパラリシス!」
そうしている間にも、次々と稲妻に打たれて、悲鳴と共にのたうち回る羽目になる男たち。
ワンチャン、あの顔の良い男を倒して、ホテル内に逃げ込めるかもしれない。その可能性に賭けた男たち数名がアルフォンスに突撃する。
が、予告通りアルフォンスの強烈な一撃を腹に食らっては「ぐほっ」っと発すると、男たちはその場に倒れこんでいった。
前門の虎、後門の狼。完全に逃げ場を失った男たちは次々と制圧されていった。
そして、ついに残すは最後の一人となる。
ジュスティーヌは手にしていたスティックをしまうと、バルコニーの縁に立った。
最後の一人は魔法ではなく、物理攻撃で制圧したい。
「ウルトラ悪女スペシャルドリルキーーックッッ!」
「ぎゃあああああ!」
ジュスティーヌは軽やかに飛び上がると、背中から男を蹴りを食らわせた。哀れな男は顔から地面に倒れこむ。2階の高さからの加速度のついた蹴りを食らった男は、完全に地面にめり込んでいた。
「ふぅ、スッキリしたぁ。これにて、一件落着!」
「ジュティ、楽しめたようでよかった」
エントランスの中から事の次第を見守っていたホテル従業員らや町長、警ら隊長は絶句した。
自分たちが手を出せずにいた、あの凶悪な男たちの集団を完膚なきまでに蹴散らしたのが、どっからどう見てもかわいいお嬢様だったからだ。
「だ、大丈夫でしょうか?」
一応、ホテルのオーナーが外に出て、声をかけてくる。
「ほぼ大丈夫よ。最後のあの男はちょっと怪我しているかもだけど」
ちょっと怪我しているかもしれないと言われた男は、頭から血を流し、全身打撲と骨折というかなりの重症だった。
「手分けして、こいつらを縛り上げてくれないだろうか?」
「もちろんでございます!」
アルフォンスの指示で、警ら隊長やホテルのドアマンたちが手分けして男たちに手枷をつけ、縛り上げた。最後の一人だけは縛り上げる必要もないくらいの重症だったので、病院送りとなった。
「この人たち、どうするの?」
ただナンパしてきただけの男たちに対する処分にしては、この対応は随分と重い気がする。
「お嬢様、ありがとうございました。こいつらはここ最近、冒険者たちがいないことからこの辺りで暴れまわっていた無法者たちなのです」
「窃盗、強盗、傷害、誘拐、監禁、強制性交、器物損壊、不法侵入などなど、死者こそ出ていないのですが我が町はこいつらに苦しめられていたのです。本当に助かりました」
あらっ、ただのナンパ男たちってわけじゃなかったのね……。
「ふっ、そんなことだろうと思ったわ。こいつらからは犯罪者の香りがプンプンしていたもの! だから、このわたしが手ずから捕えてやったのよ!」
なーんだ、そんな極悪人だったら、もっと痛めつけてやればよかったわ。
「ところでアル。こいつらに聞きたいことがあるとか言っていたのはそのこと?」
「まあ、それもそうなのだが、他にも気になることがあってね。ジュティは違和感を感じなかったかい、孤児院に行ったときに」
「あっ、もしかして、あの生臭臭のする神父たちのこと?」
ジュスティーヌの脳裏には、あの世俗臭のする神父たちの姿が思い浮かんでいた。
「ああ、それもそうだし、子どもの数が聞いていた以上に妙に少なかったことだよ」
「確かに……もしかして、こいつらが子どもたちをどこかに売っていたとか!?」
「その可能性も高いと俺は見ている。だから、あの神父たちも分不相応な贅沢をできているのではないかと。調べてみる必要があるだろうな」
「なんと、そのようなことが……。そこまでは把握しておらず、町長としてお恥ずかしい限りです……」
「同じく、自分も目先のことにしか目がいっておりませんでした。警ら隊長としても職務怠慢でした」
町長と警ら隊長は、孤児院がどうなっているのかなど、全く気が付いていなかったようだ。悪漢たちが表立って悪さをする裏で、それを目くらましにして人身売買をしていた可能性が高い。
「ジュティ、このこの中の誰がリーダーなのかわかるかい?」
「たぶん、その男よ」
ジュスティーヌはアルフォンスに一撃を食らって気を失っている男の一人を指さした。最初にジュスティーヌに声をかけてきた男である。
「よし、善は急げだ。とりあえず、この騒ぎが町に拡がる前に孤児院に行こう。まずは残っている子どもたちを保護しよう」
「わかったわ」
「我々もお供いたします」
ジュスティーヌによってけちょんけちょんにされた男たちは、駆けつけた警ら隊の隊員たちが手分けして町の牢獄へと連れて行った。
アルフォンスとジュスティーヌ、それに町長と警ら隊長は孤児院へと急いだ。




