第194話 わーい、女子会ですわっ♪
プリンセスジュスティーヌを愛する女子たち54名が集まった。
姫様本人合わせて54名でおそろいのPJLの隊服を身に纏い、街を歩き、バザールを散策する。
最強の悪女ジュスティーヌ姫とその取り巻き、もといファンクラブメンバーPJLの存在は、すでにパックスウルブスではアルフォンスと肩を並べるといってもいいぐらい超有名だった。
「姫様! 先日は屋根に上って下りられなくなったうちのワンコを助けてくださりありがとうございました!」
「アンアンっ」
「よしよし、ハチ、いい子ね。もう屋根に上っちゃだめよ」
「くぅーん」
ワンコがどうやって屋根に上ったのかは謎だが、ジュスティーヌは、パスカル湖で助けた蛙のそうちゃんから付与されたスーパージャンプ力で屋根まで一跳びして下ろしてあげたのだ。そんな感じで、市民のお役に立っているPDFは感謝されることが多いのだ。
近くで観光客の一行が、PDF作成の観光案内マップを片手に街を散策している。
「ねえ、あの人たち、このマップを作製した人たちじゃない? 服のマークが一緒なんだけど」
「あ、本当だー! あのー、すみません、サインしてください!」
「よろしくってよ。オリビア先輩もサインしてさしあげて」
「ええー! わたくしめがですか!」
「そうよ。だって、編集の責任者はオリビア先輩じゃない」
観光客の一行はジュスティーヌとオリビアのサイン入りマップを大事そうに抱えると、目的地へと向かったようだった。
「あっ、マジョリーヌが手下をいっぱい連れて歩いてるぞ!」
「おーい、マジョリーヌ、鬼ごっこしようぜ」
今度は男の子たちが声をかけてくる。
「今日は、海坊主がいないから、また今度ね。あなたたち、年末年始の間、お菓子ばかり食べてないで、ちゃんと鍛えておきなさいよ!」
「ういっす!」
男の子たちは元気いっぱいに走り去っていった。
「ねえ、姫様、どーして、セドリック先輩が海坊主なんですかー?」
「とっても似合っているからよ」
「姫様のおっしゃる通り! 確かにセドリック先輩にはとってもお似合いです!」
海坊主を教えてくれたアカネが、なぜか援護射撃をしてくれる。
「でも、海坊主だと顔見えないから、似合っているも何もないと思うのですケド?」
「何を言っているの、ビビアン! 如何にもあの中にセディがいそうでしょ? イケメン過ぎてもそうでなさ過ぎてもダメなのよ。そこそこじゃないと」
「ほえぇ、言われてみるとそんな気もしますぅ!」
大して説得力のある話ではないのに、なぜか納得させられてしまうビビアンだった。
「姫様&PJLの皆々様! この前ご考案いただいたパックスウルブスの名所案内図入りチョコとクッキーのパッケージデザイン、お土産物に最適だとお客様に大うけなんです! ありがとうございました!」
「そう、それは何よりだわ」
「あっ、姫様、ここで買い物したいです!」
「私も、お土産に買って帰ろうと思っていて」
すっかり市民から愛される存在となっているPJLたち。
この後も、姫様とPJLのメンバーたちは、被服店でPJLのエンブレム刺繍入りハンカチを購入したり、雑貨屋さんで同じくPJLのエンブレムのキーホルダーを購入したり、各々家族や友達への土産物を買い集めていた。
「お買い物も終わったことだし、そろそろお昼時ね。カフェ・テミスに行きましょうか」
「やったー!」
「姫様、素敵です!」
PJLも気がつけばメンバー50人を超える大所帯となってしまっていた。
今日も行列を作っているカフェ・テミスの前まで来ると、店員が出てきて、「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」と2階へ案内してくれる。
外で行列を作るお客さんたちに涼しげな顔で「お先に失礼しますわ」と挨拶しながら店へと入る。この時の優越感は半端ない。
が、お客さんはお客さんでラッキーだと思っている。なぜならば、かの有名なオーナーの恋人である姫様が実際にご来店し、「お先に失礼しますわ」とお声までかけてくれたのだから。
「ああ、やっぱりお二人はかたーい愛の絆で結ばれているのね!」
「ねえ、もしかしたら、そのうちに殿下も来るんじゃないかしら!」
「いやーん、二人のイチャラブを目撃出来ちゃうかもぉー! 激レアじゃない!」
いや、結ばれていませんから。アルは忙しいからたぶん来ませんから。だから、イチャラブもしませんし、そもそもわたしの席は特別室の2階なんでっ!
50人以上いると、さすがにサロンだけでは少々手狭だ。誰が気を利かせたのか、もう一つある個室に軽食やデザートが用意され、サロンには小さめのカフェテーブルが設置されていた。お陰で、大人数ながらもぎゅうぎゅう詰め感が緩和されていた。
「PJLの皆さん、今日は日頃の感謝を込めて、わたしがこの店を用意させてもらったわ。どうぞお食事とわたしの愛するタルトたちをご堪能あれ」
「ありがとうございます!」
「いただきまーす!」
そこからは姫様とファンクラブメンバーたちのご歓談のお時間となる。
「姫様! サミットではどのようなお話が?」
頭脳派の女子たちは恋バナよりも政治を好む。
「なるほど。では、姫様、我々、母国に帰った際、いろいろ調査してきます!」
「あまり無理はしないでね」
「ご心配なく! こっちも割と好きでやっているんで」
「そうですよ。それに情報収集は、いわば私たち知識技術科の女子の特技ですから」
「それはとても心強いわ」
「それに、アンソニーのことは私も気になっていたんですよ」
「アンソニー、結構イケメンだしね。探し甲斐があるぅ!」
皆が協力してくれれば、アンソニーの行方もつかめるかもしれないと思った。
「けけけっ、かわいこちゃんたち、そろそろ恋バナのお時間だよ。一人ずつ聞いてっちゃうからね」
そう、ダンジョン演習で親しくなった、わらこさんとジャンヌ先輩もPJLの仲間入りをしているのだ。こうして、なぜかわらこさんに好きな人が誰なのか、一人ずつ話していかないといけなくなってしまったPJLの女子たち。
それにしても、思いのほかセドリックが人気でジュスティーヌは少し気に入らなかった。
別に好きなわけでもなんでもないのだが、若干複雑な気分だった。
とりあえず、セドリックが気になると話していた女子の人数分だけ、今度殴っておこうと思うジュスティーヌだった。




