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『魔』導士大戦編14

その14


  トントン


 あたしたちがお茶と菓子を食べ終えた頃にドアを叩く音が。


「お待たせしてすみません」


 あの最初に顔を見せた仕用人さんだ。

 高齢だという大魔道士。

 客と会う準備に時間がかかったのだろう。


「ラン・シシィーマール様、コチラに」


 ええっなんの冗談かしら、仕用人の女性の後から顔を見せたのは子ども。ソレも女の子だ。


「え、あのラン・シシィーマール様は? お孫さんですか?」


「いえ、ご主人様の末娘で二代目ラン・シシィーマール様です」


「二代目、そのお子さんが」


「本来なら長女の方が継ぐはずでしたが、現在行くへ知らず、それで妹様が」


「あの、先代のラン・シシィーマール様は?」


「前のお誕生日のときにお亡くなりになりました……」


「ええ、ソレじゃ!」


「ブキ、大きな声を出さない。お孫さんが、おびえてます」


「あの、孫ではありません。娘です。わたしが二代目のラン・シシィーマールです、わたしにナニようで山へ」


「用というのは、先代様に現役復帰をお願いしに」


「ソレは無理!」


 そく、返事。

 死んでしまったのでは復帰なんてありえない。


「ですよねぇリフォーナさん、どうします?」

「そうね……」

「姉弟子、ホントのコト言って師匠にあきらめてもらうしかないでしょ」


「あの、二代目ラン・シシィーマール様は先代の魔法力を受け継いで?」


「あ〜だいたい」


「だいたい?!」


「先代のように長生きしないと身につかない術もあるから」


「なるほど、私もそういう術が有ると師匠から……。お願いがございます。ラン・シシィーマール様に山を、下山してはいただけませんでしょうか?」


 リフォーナさん、言うだけ言った。


「マリー、この女の人は、なんであんな喋り方を。お祖父ちゃんって、そんなに偉い人だったの。 王様とか?!」

「いえ、タダの魔法使いとしか、聞いておりません。ただ、少しは優れていたと、たまに登って来られる方々に教えを」


「あのぉ私のような仕用人が言うのもなんですが、先代のご主人様が、『二代目が成人するまで山を降ろすな』と遺言が有りまして」


「だから山から下りるのは無理」


「実は下界では『魔』という悪い魔法使いたちが人々を苦しめてて、ついに私たち魔道士会に宣戦布告を、奴らと戦うのにラン・シシィーマール様に力を貸していただきたく」


「『魔』という手強い悪人が攻めてきたから、わたしに手を貸せと。そうよねマリー?」

「そのようです」


「あなたの喋り方はわかりにくいから普通に喋って。あと、わたしはランでイイよ。あなたは?」


「はい、あの『魔』は悪人ではなく、悪い魔物です。私たちのような人族ではありません。私は魔道士会の会長マーリンガルドの弟子のひとりリフォーナ・ルン・マーベルと申します」


 ラン・シシィーマールだけど子どもね、敬語はわかりにくいんだ。


「リフォーナか、それから横の二人は?」


「あたしは、リフォーナさんの護衛で来ました。ノノ・ナンムです。あの、先代様にナンムのコトをナニか聞いていませんか?」


「ナンム?」


「古代に存在していたと言われる一族です」


「古代……。ごめんね。わたし歴史苦手なの。でも図書室に歴史の本沢山あるから見てもイイよ」


「お、オレはブキ・ジュナーブル。リフォーナさんんは姉弟子になる。オレもマーリンガルド様の弟子です」


「あなたの弟なの?」


「いえ、彼は師が同じだけの姉弟弟子で、本当の家族とは」 


「そう。わたしにも姉弟子が、でも本当の姉でした。今はドコへ行ったのやら。本当は姉が二代目ラン・シシィーマールを名のるはずだった。あ、ごめん。あのもし山の下で会うことがあったら、帰るように伝えて下さい」 


「はあ、でっお姉様の名は?」


「マリア・シシィマールよ、でもおそらくこの名は使ってないだろうな。お祖父ちゃん、嫌いだったから……。ドコかで名前変えて生活してるのよ」


「姉弟子、帰りましょ」

「リフォーナさん、ココにいても意味ありません! 頼りにしてた大魔道士が亡くなられていては。あの子に代わりはつとまると思えません」

「そうね、早く帰って師匠たちに知らせないと、亡くなったコトを」



「マリー、なんで大人なるまで山から出られないの?」

「先代のご主人様の遺言ですから守らなければいけません」

「ゆいごん?! お祖父ちゃんは、山の下には汚いモノが沢山あるから山の下には行くなと。でも、この下から来た人たちは汚くない。ソレにわたしに力を貸せと」

「汚いにもいろいろありますから……。お嬢様、あ、失礼をご主人様。理由は何であれ先代ご主人様の遺言は」


「お会いいただけて感謝いたします。ラン・シシィーマール様。私たちは下山しますので」


「そうあわてずに。今日は一泊してって下さい」


 本当は疲れてる。帰りの第六休憩地のコトを考えると、今すぐに帰るのは。


「あの、じゃそうさせていただきます。ね、姉弟子」


 リフォーナさんは、あたしを見た。


 あたしもブキと同じ。

 無言でウンと。

 リフォーナさんはどう思ったかしら。


「ありがとうございます。お言葉にあまえて……」


 あたしたちは客室に。

 ブキは一人部屋。


 調べるわけじゃないが、あたしとリフォーナさんは、夕食まで自由にしてていいと言われたので家の中を歩き回った。


 そして、何人かの仕用人の女性とも会った。


 あのお茶と菓子を持ってきてくれた仕用人の女性は、この家で一番若いと。


「私は山の麓の宿で働いてました。そこへ先代のご主人様が、みえて私をウチで働かないかと言われ。宿より高いお給仕を」

「それであなたはあの宿、ポロロ亭だっけ。やめたのね。ココまで来るの大変だったでしょ」

「いえ、魔法で一瞬で苦も無く」

「瞬間移動の魔法ね。さすがラン・シシィーマール様だわ」

「でも、私を迎えに来てくれたのは先代のご主人様でなくマリーさんでした。あの方が私の手を取り、行きますよとその場でハネたらココに。私はアレはマリーさんの魔法だと」


「そうなの、あの人も魔法使えるの?」

「聞いたことはありませんが、あの人がお屋敷で一番長く先代のご主人様についていた方ですから魔法を使えるのかと」


 あたしたちが若い仕用人と別れてすぐに。


「ノノ、聞いたわよね。あの仕用人の人が瞬間移動の魔法を使えるって、きっと先代に教わったのよ。山の下に買い物に行くためかしら。で、あの人に。会いましょ。会って瞬間移動の魔法を教えてもらうわ」

「でもリフォーナさん、あの人はドコに。マリーさんとか言いましたよね」


              つづく

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