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『魔』導士大戦編12

その12


 第五休憩地の風呂内。


「ブキ、ナンムはナンムだ。それ以外のものではない勉強しろ」


「姉弟子、オレは勉強のためにあっちこっち放浪して……」


「それは、社会勉強だろ。他の事も勉強しろ、本を読めブキ。今回の事で免許皆伝って、師匠もあまくなったな。もうろくしたんじゃ」


「あの姉弟子、ラン・シシィーマールが復帰したら師匠はどうなるのかな。師匠よりスゴイ人なんだよねラン・シシィーマールって」


「そりゃこの世界一の魔道士だからなぁ」


「『魔』の魔王よりも?」


「だろうな、だから復帰してもらうんだ。師匠たちだけでは勝てないと思ったんだろ」


「リフォーナさん。師匠マーリンガルドたちは、ずいぶん弱気だね。わざわざ引退した魔法使いをたよるなんて」


「まあそう言うなノノ。私だって、素人を魔導士にした悪党程度ならなんとか出来るが、『魔』の王となると……」


「そうか……。ラン・シシィーマールって、どんだけ凄い魔法使いなんだろう。早く会いたくなった」


「あわてるな、ナンム。オレは、今は早く腹にナニか入れたい」


 風呂から出て用意された料理は、あたしが殺ったヤマブタ料理がメインだった。


 後から聞いたが、あたしがヤマブタを売る前は、ろくな食べ物が無かったらしい。


 偶然とはいえ自分たちの食料は自分で調達したわけだ。


 ひと眠りして、第五休憩地を出た。


「姉弟子、意外と晴れてる、オレは杖で飛ぶ!」


 わあっブキは杖に乗り飛んでったわ。


 あたしがリフォーナさんを観ると、今度はキリーの実ではなくナコルルの実を取り出し、枝で作った脚を付けた。魔法をかけるとソレは大きくなった。


「ノノ、私たちはコイツで地上を行くよ。乗って」


 キリーの実より太くて乗りやすい。

 リフォーナさんはカバンから丸い網のような物を木の枝の足に付けて雪の中にもぐらないようにした。


「よし、行くよ!」


 ナコルルの実はまるで高山鹿のように軽快に山を登って行く。


 植物の実なので強く掴んでると指がめり込む。

 ツルンとした実だからその方が落ちないか。


 登り始めてから、しばらくすると雪が。

 ブキはどうしたろうか。


「もうすぐ第六休憩地があるはずだ!」


 雪は吹雪かずにシンシンと降ってる。


「おーい!」


 ブキが第六休憩地の小屋の前に。

 先に着いてたんだ。空は大丈夫だったんだ。


 第六休憩地に着くと下とは違い小屋があるのみ。

 人は居ない。


「姉弟子、早く火を。空はもの凄く寒くて」

 

 ブキの頭に巻いた布の毛が出てるトコ凍ってないか。

 唇が変な色になっててブルブルと震えてる。


「大丈夫か、山の空の気温をなめちゃダメだ。ココは風呂はないから、暖まるのは火だけだ。ノノ、コレに雪を入れてきてくれ、湯を沸かす」


 小屋の真ん中に火を燃やせる石積みがある。薪は小屋内に大量に積まれている。

 あと、多少の鍋類が。ココは下と違い自炊するのか。 


 食べ物は置いてない。あたしたちは下から持ってきた物を湯で柔らかくして口に入れた。


「少しは温まってきた。ホント、第五休憩地はココと比べたら天国だな」


「下であきらめて帰るヤツの気持ちわかる。あそこで帰って正解だ。うっ寒い。お茶をくれないか姉弟子」


「まあ天気はそう悪くならなかったのが幸いね。下手したら凍って墜落くしてたわ」


「それで姉弟子たちは地上を、早く言ってくれよぉ」


「あんたが、勝手に飛んでっちゃたから言うヒマなかったのよ」


「次は杖で地上を滑って上がろう」


「ブキは飛行術は得意よね」


「ああ師匠は便利だからと修行の旅に出る前に飛行術を教えてくれたんだ。この杖は師匠からもらった餞別なんだ。コイツにはいろいろ助けられた。ちょっとした剣では切れないし逆に折ってしまえるコトも」


「師匠は、最後の弟子のブキを孫みたいにかわいがってたからな」


「姉弟子、知らなかったのか。オレ、師匠の娘の子だからホントの孫だよ」


「え、あんたタキリ様の息子なのか?! 知らなかった……」


「そういう関係だったのねブキとマーリンガルドとは」


「まさか、ノノ・ナンムは、姉弟子の娘じゃないよな?」


「そんなわけ、あるか! ノノは師匠が連れてきて私にあずけたんだ」


「まさか、師匠の隠し子?!」


「違うわよ、あたしは人族ではないと」


「いや、師匠がエルフと浮気していたという噂を聞いたことが。ナンムは、ホントはエルフ族の、そのとがった耳は人とエルフのハーフだからと考えると……」


「わけないだろ、ブキ。なんであたしが! マーリンガルドの隠し子よ、違うわよねリフォーナさん」


「師匠は、ノノは魔道士会の教会の前に捨てられてたと」


「リフォーナさん、あたしは捨て子だったのね。初めて聞いた。リフォーナさんの娘やマーリンガルドの隠し子よりいいけど……」


「あの、ノノ。私の子はイヤか?」 


「そういうわけじゃ。でも、リフォーナさんとあたしは同じ種族ではないなは昔からあきらかだったから……」


「しかし、ノノ。ブキが言う師匠とエルフの隠し子説はありえなくもない。私もエルフとの浮気の噂は聞いたことがある」


「だよね姉弟子! ナンムは師匠の隠し子説、有りだよね」


              つづく

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