『魔』導士大戦編8
その8
「あの大魔道士のラン・シシィーマールを復帰させるのですか……師匠。私が?!」
「ああ、君が適任だと私は思うがリフォーナ」
「なんで私なんです?! 私は会ったコトもありませんし……。無理です」
「あの、あたしではダメですか、大魔道士と言われたラン・シシィーマールに会ってみたいんです」
「ノノ、ナニを言うの、なんでも相当な頑固な爺さんと聞いたわ。あんたが会ってどうするのよ?」
「リフォーナさん、ラン・シシィーマールって相当のご長寿と聞いてます。会ってあたしの仲間のコトを聞きたいんですけど」
「なるほど、ではノノ・ナンム。おまえもリフォーナと行ってくるといい」
「簡単に言いますけどね師匠。ラン・シシィーマールの隠居先は……」
「ドコなんですリフォーナさん?」
「ここから北東にある世界で一番高い山と言われるライホー山の頂上よ。ハイそうですかと行ける所じゃないわ。いくら魔法使いでもあの山の頂上に行くのは困難よ」
「姉弟子、そんなトコにその爺さんは一人で住んでるのか?」
「うむ、ソレは私も知らんのだよ。聞くところによると妻と一緒だとか世話係の小間使いが居るとか……。名も知らぬ弟子が居るとも」
「師匠、世界一山の上でナニ食べてるんです? 買い物とかしてるんですかね。極東の仙人とかいう賢者は霞を食ってるとか、その話本当ですか?」
「ブキ、妙なコトを知ってるな極東の賢者なんて」
「あ、オレは姉弟子よりあっちこっち行ってるから東方にも友だちが居て聞いたんだ」
「旅なれしているブキ・ジュナーブル。おまえも一緒に行ってきなさい」
「ええっオレもですかぁ!」
北東にある世界一高いと言われるライホー山目指す三人は大空を進んでいた。
▽
「おねえさん、ライホー山って行ったコトあるの?」
「その山は、いまだに世界一高い山だよね」
「あ、おねえさんは寒いの嫌いなのよね、ライホー山は高いからいつでも雪降ってて寒いのよ。だから行ったコトないわ」
「でも、魔法使いさんたちは空飛べるから簡単に登れるんだよね」
「ソレはコレから話すけど、空飛べる魔法でも簡単には登れないのよ。ライホーは」
▽
「なんだかんだ言ったけど、私たち行くコトになったわね、この辺まで来ると空も寒いわね、コートに着替えようかしら」
「姉弟子、下に町が見える。ナニか食っていこう」
「ダメよブキ、食事の予定はライホー山の麓の村の食堂と決めてるのよ」
「あそこまで行くと夜にならないかぁ。なあノノ・ナンムも腹へったろ」
「いいや、あたしはグルの実を噛んでるから」
「え、ナンム。そんな物を持ってたのか」
「あら、旅なれしたブキは持ってないの? 私も噛んでるわよ」
「そんな物、腹の足しにはなんねえけど、麓まで飛び放しならオレにもくれ!」
「ブキ、横に飛べ!」
ブキは杖をあたしたちの乗るキリーの実に寄せてきた。
「ブキ、あ〜ん」
あたしは口を開けたブキの口にグルの実を投げ込んだ。
「ウグッゲッ、あ飲み込んじまった。ナンム、もう一つ」
「ナニやってんのよ、しょうがないなぁ。あまりないからあと一個だけだよ」
もう一つグルの実をブキの口に投げ入れた。
ガチッ
今度は歯で実を。
「こいつ甘いな。グルの実って渋くなかったか?!」
「ブキは知らないのか、干しとくと甘くなるんだよ。ホントにリフォーナさんの弟弟子?」
「ノノ、ブキはマーリンガルド師匠の最後の弟子で遊んでばかりだからなアハハハ」
「姉弟子、オレは平民出で、あまり世間を知らないから世界を見てこいと師匠に。で、魔法はあまり教えてもらってないんだ」
「ソレは言い訳だよね。都に居るときも遊び回ってるじゃないの女の子と」
「遊んでるんじゃなく社会勉強をしてるんだ」
「女の子と?」
「ああ、オレは姉弟子より早く家族を作るかもな」
「そういえばリフォーナさん、まだ独身たね」
「ノノまで、ただ縁がないだけだ。結婚とかは、なりゆきですると失敗するぞブキ!」
「べつになりゆきでは、姉弟子はオレの彼女知らないだろ」
「遠くから見たことがある」
「それじゃあ〜わからないだろ。いい子なんだ。師匠の許しを得たならオレ、結婚するつもりだ」
「勝手にしな……」
「姉弟子から見た弟弟子。オレの兄弟子たちは皆、妻子持ちだよ。ナンム、知ってるか、師匠の弟子で独身なのはオレと姉弟子だけなんだ」
「そんなものは魔道士として関係ない!」
「ふ〜ん。そうなんだ。あたし、魔道士って結婚しないのかと思ってた」
「ナンム、魔法使いは僧とは違うんだ結婚もするし子供も作る」
「あ、リフォーナさん。あたしが子供の頃にどうやって子供作るかと聞いたら、子供は知る必要はないから大人になったら教えてくれると。まだ、聞いてない!」
「ノノ、私と離れてから何年だ。まだ知らないのか?」
「知らない。教えて」
「ナンム、オレは知ってるぞ教えてやろうか?」
「教えてブキ!」
「結婚したらキャベールのタネを夫婦でまくんだ。そしてキャベールがうまく育ったら中から子どもが……」
「ノノ、信じるな。アレは子どもに教えるウソだ。まさかブキ!」
「違うのか姉弟子、彼女がそう教えてくれたぞ」
「あんた、彼女と別れなさい!」
つづく




