遭遇ーー白い少女
昨日の更新漏れ分です
「《セラフィム》や《ケルビム》を天使の位階と称するのは時代が降ってからのことだ。そして、イグニクルス様の位階である炎系第2位階第2位とは、炎を司る精霊の中で、上に2人しか存在しないことを意味する」
「ほう、それはすごいですね」
エライアスはイグニクルスに向ける目を改めた。
「なに、大昔のすでに廃れた制度においての話じゃ。今は長く生きただけの老人に過ぎんよ」
「いやいや、そんなことは無いでしょう。ところで、イグニクルス殿より上位の方というのは、どんな方なんですか?」
「興味があるのかの?」
「ええ」
イグニクルスは顎髭に手で触れて、しばし悩む様子を見せた。
「第1位階の御方、つまり儂の本来の主については、教えることはできん。第2位階第1位の者は『災禍の炎』という者じゃ。今はどうしているのか知らぬが」
イグニクルスは目を瞑り、何かを思いだしているようだった。
そこに、こほんとレーイが咳払いする。
「そろそろ、本題に戻って欲しいのだが」
「おお、そうじゃった。『ラテリス・シュトルス』の話でしたな」
と、イグニクルスが話してくれた限りでは……。
「『ラテリス・シュトルス』には、その名の通り『シュトルスの周辺』という意味がある。つまり『シュトルスの郊外』と言ったところじゃな。『シュトルス』と言うのは訳しにくい言葉ではあるが神代の『植民地』とか『工場』といったところか」
「ということは、この辺りの遺跡は神代のものということに?」
目を輝かせるエライアス。
「いや、神代から長らく建造と破壊が繰り返されておるから、一概には言えん。じゃが、エライアス殿の言うムラウ遺跡は、まさしく『シュトルス』の位置を指しておるようじゃぞ?」
「それは素晴らしい! レーイ、行く先はムラウ遺跡にしよう!」
「それで良いが、少し待って欲しい」
レーイは珍しく、困惑した表情をエライアスに向けた。
「ああ、それこそ構わないが、どうしたんだい? 何かあったのか?」
エライアスはレーイの様子が気になった。
レーイは頷くと、「アレーナ」ともう1人の精霊を呼び出した。
「ここに。レーイ様」
突然、アレーナがエライアスとレーイの間に姿を現す。
アレーナも、また神妙な面持ちをしている。何かあったのは間違いないようだ。
「報告を」とレーイ。
「先ほどから、皆様以外に生物が発する振動を検知しております。そのパターンから推測すると、十中八九、二足歩行生物……」
「人間?」
「おそらくは」
「少しお待ちあれ」
イグニクルスが配下の下級精霊に偵察を命じる。




