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邂逅ーークヴァルティス将軍4

「その、差し支えなければですが、」と今度はディバイニスが口を挟み、「なぜ同胞同士で殺し合いなどと言うことになったのですか?」と訊いた。

それに対してレーイは「理由は聞いていない。だがおそらく、千年紀戦争に関わるのだろうと思う」と答えた。

「千年紀戦争というのは?」

「すまないが、詳しいことは知らない」

「そうですか。君たちは何か知っているか?」とマルティンはセラーニセンとディバイニスに問いかけるが、2人とも首を振る。

「では、調査してくれ」

「承知しました」とセラーニセン。

マルティンは、イエッタが千年紀戦争の一環として『テトラルカ』を探しているのではないかと推測した。ならばイエッタの動機となる千年紀戦争を知ることで、彼女やマルティンたちに敵対的な彼女の同胞が再び現れた時の対策も立案可能になるだろう。

「さて、そろそろ失礼しようと思う」

「最後に1つ聞かせて欲しい」とマルティン。

「答えられることなら、なんなりと」

「我々が取れる魔術対策には何が考えられるだろうか?」

「手の内を明かすことになるから、あまり詳しくは話せないが、対策はいくつかある。魔術と一口に言っても幾つもの種類がある。その中には相性が悪い、つまり事象励起が相殺されてしまうような組み合わせもある。それから、事象励起を軽減させる鉱物が存在している。……話せるのはここまでだ」

これ以上は聞いても話してはもらえないとマルティンも判断した。レーイの回答は、曖昧さを含むとはいえ、レーイ自身にとっても不利に働く内容だ。それでも話してくれたのは、イエッタの行動に対するレーイなりの謝罪なのかも知れなかった。

「判った。情報ありがとう、レーイさん」

マルティンは立ち上がり、握手を求めて手差し出す。レーイは少し間を置いてから手を握り返す。マルティンには、それが躊躇のように受け取れたが、実際には握手という慣行を知らず、イグニクルスに教えられて理解するまでのタイムラグに過ぎなかった。

「少しでも役に立ったなら良かった」

「短い時間だったが有益だった。機会があればぜひこちらに寄って欲しい」

「そうさせてもらおう」

「ちなみに、君はこれからどこへ向かう予定なんだい?」

「タクラス市の東にあるという遺跡に向かう。そこで仲間を探す」

「仲間?」とマルティン。

「遺跡に人が居るとは思えないが」とセラーニセン。まさか、世を捨てた老魔術師が隠れ住んでいたりするのだろうか、などと想像を膨らませてしまう。

「わたしの仲間は人間に限らないんだ」

そう答えたレーイは、この時になって初めてマルティンたちに笑顔を向けたのだった。

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