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邂逅ーークヴァルティス将軍

翌朝ーー。

かなり早く目を覚ましてしまったレーイは、1人で散歩にでかけることにした。

宿の扉を一歩外へ出ると、昨日は夕暮れだったこともあってよく見えなかったが、このタクラスという街は独特の色彩に溢れていた。街の至る所に目的不明の柱が立ち、どれもが黄色と黒に塗られている。ストライプ模様だったりチェック模様だったりと走らによって模様はまちまちだし、古いまま塗り直されていないものも散見できたが、どれもが例外なく黄色と黒で構成されている。しばらく歩くと、その特徴的な柱は見当たらなくなる。どうやら、レーイが泊まった地区に独特と習慣のようだった。

街の住民が起床するにはまだ早い時間帯。レーイは誰に遭遇することもなく歩みを進めることが出来た。

遠出をするつもりはなかったが、いつの間にか来ていた街の外れの方で、ようやく住民と出会う。「ん?」

レーイは首を傾げた。そこに居た人物は青年だった。ただ、着ている服が、街の住民とは違うようだった。と言っても、レーイは街人の一般的な服装というのを知らない。だが、その青年が身にまとっていたのは、明らかに違う服、軍服だったのだ。


レーイの姿には、青年の方も気付いていた。彼としては早朝の散歩を孤独に楽しむ腹づもりだった。だから突然の出現者を少しばかり残念に思っていた。だが同時に、レーイの姿に興味を抱いてもいた。

レーイの髪や服は、もはや言うまでもなく黒づくめである。青年はそんな身なりの人間に会ったことがなかった。何より、レーイのいでたちは、先日、突如現れて青年たちを混乱に陥れたあの少女を彷彿とさせた。

その少女は真っ白な服に金髪だったので、本来ならば真っ黒なレーイとは似ても似つかない。

だがーー白と黒の対比は、光と闇という対極を思い出させる。

2人の少女のあまりに対照的な印象が、逆に青年に2人の関連性を思い浮かばせたのだ。

それは言葉で表せば勘としか言いようがないのだが、彼は確信めいたものを感じていた。そして、本当にあの少女と関係があるのだとすれば、話しかけるのは危険だ。あの少女があれほどの力を発揮したのだから、目の前の少女も同じだけの力を有していると判断すべきである。

だが、彼は敢えてそれを実行に移した。


「おはよう、良い朝ですね」

彼はレーイに挨拶した。これがダールバイ人だったら無視されるところだが、レーイはどう見てもそうは見えないので、何らかの反応は期待できる。

「おはよう」

とレーイも返した。


この時点で、レーイの眷族であるイグニクルスが、ある程度の情報を主に与えていた。

『あの男、身なりからしてクヴァルティスの軍人、しかもかなり高位の者ですな。察するに、現在ダールバイを統括しているという将軍ではないかと』

「それにしては、若い」

レーイは思ったままの感想を小声で呟く。

『クヴァルティス帝国は実力主義の国。力があれば年齢など関係ないでしょうな』

と言うことは、軍人としてかなりの実力者と言うことが出来る。レーイは軍人に出会うのは初めてだったが、気を許してはならない人種だとエライアスからは情報を得ている。

深入りせずにやり過ごすのが適策だろうと判断した。

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