閑話休題
門番とのやり取りはだいたいこんな感じ。
取調室の真ん中にあるテーブルを挟んで、部屋の奥側にレーイ、エライアス、ケルスが椅子に座り、入口側に門番が1人座り、1人が立っている。室内にランプはなく薄暗い。小さな明かり取りの窓からなけなしの光が差し込む程度。
門番:お前たちがこの街に入る用事はなんだ?
レーイ:この街に用事は無い。
門番:(訝しそうに眉を寄せながら)じゃあ、なぜ入ろうとするんだ?
レーイ:目的地の途中にこの街があるからだ。
門番:では、目的地とは?
エライアス:タクラス市の西にある遺跡ですよ。
門番:遺跡? そんなところに何の用があるんだ?(ますます疑いの目を向ける)
エライアス:あー、えーと……私は遺跡を調査している者でして。
門番:あんなもの調査して何になる。遺跡なんてただのガラクタの山だろう。
エライアス:(俯いてドスが効いたように声を落とす)あんなもの? ……ガラクタの、山だって?
門番:ああ、そうだ。あんな邪魔なものが無ければこの街ももっと大きく拡張できるってのに。
ケルス:おい、門番。これ以上、遺跡の悪口を言うのは止めておけ。
門番:(呆れた顔になって)おいおい、遺跡が怒るっていうのか? 遺跡には耳なんか生えてないんだから、どんなに悪口を言ったって聞こえないさ。
エライアス:……じゃない。
門番:ん? 何だって?
エライアス:(大声を張り上げて)遺跡はッ! ガラクタなんかじゃないッ!
門番:はあ⁈ お前、何を怒って……。
エライアス:良いかい? 遺跡というのは過去の人間の痕跡のことを言うんだ! そこから得られる物は計り知れない! なぜなら、我々も同じ人間だからだ! 過去の人間達が行ったであろう生活は、今日に脈々と受け継がれており、今日を見つめ直すために過去を見つめるという行為は(以下略)。
ケルス:おい、門番。どうしてくれるのだ? 始まってしまったぞ。
門番:(当惑しながら)え? いや、そんなこと言われてもな……。
エライアス:聞いているのか、門番君? いいかい、遺跡の発掘によって新たな発見がある場合もある。忘れられた文化や慣習を掘り起こし(以下略)。
ケルス:こいつは置いておくとして。ともかくだ、門番。我々は街を通過するだけだ。留まるつもりはない。さっさと通してもらおうか。
門番:しかしだな……。
レーイ:この街に用は無いと言ってる。悪いことをするつもりも無い。
門番:いや、そういうことを言われると尚更怪しいだろ……。




