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待ち合わせ中

タクラス市の城壁に辿り着いた時はちょうど昼を過ぎていたので、このまま市街に入り、食事をしてから町を出るという算段になった。

3人はタクラス市の東門をくぐって市内に入ったが、それまでには数時間を要した。

門番の検問に引っかかった訳ではなく、市内に入ろうとする人間が多かったために行列ができていたことと、門番に止められたことが原因。

ここでも全身黒づくめのレーイに人目を引いた。さらにごつい赤髪の男と身なりからだけでは職業が判然としない怪しい優男が付き従っているものだから、余計に視線を集める結果となった。

エライアスは注目を浴びていることに気付いていたが、他の2人は全く気にした様子もない。まあ、ケルスのような強面マッチョがいるから、妙な奴に絡まれる心配はあるまいと高をくくることにして、

「この町には以前も来たことがあるんだが、活気は変わっていないね、大変な状況だろうに」

エライアスがたまたま隣に居合わせた旅商人に話しかけた。

すると旅商人は話し好きなのか、それに乗ってきた。

「これでも商人の数は減った方さ。だが町の住人にも生活があるから、商売が止まることはない。帝国の支配もそれほどひどくはないようだしな」

「減ったと言っても、この行列は以前と変わらない長さだと思うけどな」

「いや、この渋滞には別の理由があるらしい」

と旅商人が話してくれたことこそ、あのイエッタ事件だった。

「『四聖徒』が2人も殺されたって? 誰に?」

もちろんエライアスは『四聖徒』という存在は知っていた。エライアスの認識では、彼らは人間が相手であれば、そうそう後れをとるはずがない猛者だった。旅商人の話では、それがあっさりと殺されたというのだから、相手は尋常の存在でない可能性があると、エライアスは理解した。

「それが白い服を着た金髪の少女だったって言うんだから、冗談みたいな話さ」と旅商人。

レーイが反応して口を開こうとするのを、エライアスが抑えた。

「その少女が剣の手練れだったってことなのか?」

「いや……俺にも判らないんだが、そういうのではないらしい。なんというか、不思議なことが起こったらしい」

「不思議なこと、ね。それはどんな……?」とエライアスが訊こうとしたところで、旅商人の検閲の番になる。

旅商人は「すまん、これで」と軽く会釈して門番のところへ向かっていった。

「後でちゃんと確認するけど、レーイ。今の話、心当たりは?」

「ある」

レーイは簡潔に答えた。

「やっぱり、そっち系の話か……」

それにしても『四聖徒』を殺すなんて……と続く彼の言葉は、レーイには届いていない。


門番に怪しい3人組と疑われ、散々聴取を受けた後、実際に門を潜ることができたのは陽が山の端に隠れようとする時刻になっていた。

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