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ダールバイへ2

「それで、行くのか行かないのか?」とケルスが話を元に戻し、決断を迫る。彼もまた、レーイに付いていくつもりなのだ。レーイの行く先には、ケルスの娘でありカヴァリエリの徒でもあるエヴァが現れる可能性がある。

エヴァはケルスの下からさらわれ、無理矢理、カヴァリエリの徒として育てられていたらしい。レーイがその事を知ったのはケルスと出会ってからのことだ。レーイにとってエヴァの印象は正直なところあまり多くはなく、彼女に対して特に思い入れがある訳でもないが、ケルスとエヴァが親娘であるならば、共に暮らすのが自然であろうとは考えていた。

「『シュトルス・タクラス』に行くことにする。そなたも同行するするつもりなのだろう?」

レーイがケルスに訊くと、ケルスは「そのつもりだ」とだけ答えた。


ゲイルゴーラ国の首都ゲイルから、ダールバイの旧首都タクラスまで通じる道は2つある。1つはゲイルから東へ行き、ガラウエン山脈の東側を南下する街道。商人にも用いられる道筋であり、夜盗などの心配もほとんど無いが、その代わりかなり迂回することになる。

もう一つが、セーネイア大森を突破していったんクヴァルティスに出、そこから東に向かってタクラスに向かう道。セーネイア大森には南北に、街道とも言えない細い道が通っており、それを利用する。しかしセーネイア大森は獣も多く、夜盗は出没するし、怪異の噂もあるしでかなり危険を伴う。代わりに最短距離ではあるのだが。

レーイとしては、もし一人旅だったなら躊躇なくセーネイア大森を踏破する道を選んだだろう。

しかし今回はエライアスがいる。彼も一人旅をしているのだからそれなりに腕は立つのだろう。敵が人間なら十分戦力になると考えられる。

一方でケルスは精霊使いで怪異にも対抗できる可能性はあるが、実力は定かではないという不安がある。

レーイは、そんな道連れがいる状況でセーネイア大森は危険すぎると判断し、ガラウエン山脈の東の街道を行くことにした。


道中は馬を乗り継ぎ、宿場町に泊まることを繰り返しながら、特に危険な思いをすることも無くタクラスまでたどり着くことが出来た。

道すがら、レーイはエライアスから向かう先であるダールバイ国の置かれている状況について簡単に説明を受けた。

クヴァルティス帝国に占領され、国としての存続は絶望的であろうこと。

ダールバイ人は帝国に反発し、何度も反乱を繰り返しているが、全て鎮圧されていること。

さらにはクヴァルティス帝国における政治上の異変で、ダールバイを統括する将軍が変わるであろうこと。

「そう言う意味で、政情的には安定しているとは言い難いんだが、タクラス市が目的地ではないし、まあ、君なら大丈夫だろう」

「だが、タクラス市は途中通ることになるぞ?」とケルス。旅の道筋からすると、3人はいったんタクラス市の中を通過する必要があった。

「通過するだけに留めて泊まるのは止めておこう」とエライアス。レーイはそれに同意した。

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