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決意

「魔族はわたしだけじゃない。あなた一人で、どれだけのことが出来るというの?」

その時、「ううっ」といううめき声がイエッタの耳をかすめる。まだ生きている仲間が居ることにイエッタの注意が向く。倒れている仲間の中で、ライルの胸が上下しているのが見えた。今すぐ治療すれば助けられるかも知れない。

その思いが隙となる。

ノルンは再び持力を放ちつつ、配下の好戦性精霊にも攻撃するよう指示を下す。

肉体の内側から破壊しようとする持力攻撃と、外側から破壊しようとする精霊の物理攻撃が同時にイエッタを襲う。

しかし、それらは光の持力の前には全く効果が無い。光の『概念魔術』の1つである『拒絶(レイエクティオ)』が自動発現し、概念的にノルンの攻撃は弾き返され、効力を失う。

「忌々しい! 『世界体系の創造物クレアトゥラ・デ・システマ』め!」

ノルンの貶めの言葉にイエッタはカチンとする。だが、すぐに思い直す。ノルンをどうにかしたいのも確かだが、それよりも先にライルを助けたい。

イエッタの逡巡に気付いたノルンは、

「仲間を助けてやったらどう? あなたがそうしている間にわたしはここを離れることにするわ。でも今度会うときは、確実にあはたを殺す」

と言い捨て、イエッタに背を向けて歩き出す。数歩進んだところで、その姿が掻き消えた。

ノルンの気配が消えた事を確認したイエッタはライルに駆け寄り、跪いて容態を確認する。目、鼻、耳から血を流してはいるが、イエッタの力ならば助けられそうだ。

そう判断したイエッタはすぐさま実行に移す。途端にライルが白く眩い光に包まれる。そして、光が消えたときには、ライルは全快していた。

イエッタが持つ力の1つ『光の癒し』。これはレーイが持つ『闇の癒し』に似て非なる性質を持っている。厳密には『癒し』ではない点は『闇』と同じ。ただし、『闇』は『曖昧化』することで対象を過去の姿形に戻すものだが、『光』は『強制』によって対象を本来の姿形に戻すもの。その所為か、『光の癒し』は痛みや疲弊を伴うとされている。

「相変わらず、強引だね、君の魔術は」

「無事で良かった」

イエッタは胸をなで下ろす。

「そんなことより、早くノルンを追って!」

先ほどまでとは打って変わって、ライルは真剣な表情で言った。

「どうして?」

「彼女は『テトラルカ』が生きているようなことを言ってただろう?」

「そうね」

「つまり、『テトラルカ』も世界の統治者候補に選ばれる可能性がある。いや、選ばれるだろう、彼らが生きているなら。そしてもし魔王である『テトラルカ』が統治者になれば、人間は滅ぼされることになる」

「それは……」

あり得ないと否定することが、イエッタも出来ない。『テトラルカ』の配下であるノルンですら、人間を殺すことになんの躊躇いも無いのだ。しかも、力は『テトラルカ』の方が圧倒的に上のはず。

イエッタが黙っているとライルが言葉を続ける。

「ノルンは『テトラルカ』の居場所を知ってるかも知れない。……イエッタ。君ならノルンに打ち勝つことが出来る。そして多分『テトラルカ』にも匹敵できるだろう。……魔族の暴走を止めてくれ」

「言われなくても」

その金色の瞳には、強い意志が宿っていた。

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