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裏切り

昨日の分です。更新遅れて失礼しました。

「ノ、ノルン……?」

「あはた達は良いわよね、脳天気で、将来のことを何も考えてなくて。そんなだったらさ、わたしの為に命を差し出してくれても、良いよね?」

ノルンの瞳に狂気の光が宿る。

一瞬の出来事だった。

「ノルンッ!」

イエッタが叫んだ時には、すでに遅かった。

仲間の数人が、何も気づかないまま、頭から血を吹き出して絶命していた。

ノルンは土使いだ。あらゆる個体を操る。それはつまり、肉体も含まれると言うこと。

魔の手はイエッタにも伸びる。だが、イエッタの周りが発光して持力発現を阻んだ。しかし、誰もがイエッタのような特殊な持力がある訳ではない。イエッタの周囲の仲間たちは、もろにノルンの攻撃を浴び、血を吹いて地面に倒れる。息のある者も居るには居るようだが、時間の問題だろう。


立っているのは、すでにイエッタとノルンのみとなっている。

ノルンは肩で息をするほど疲弊していた。持力を使いすぎたのかも知れないが、この短時間でそれほど疲労する理由をイエッタは知らない。

「ひどい。どうしてこんなことを……」

「わたしは……死にたくない」

「こんなに殺しておいて言っていい台詞じゃない!」

イエッタは怒りのあまり叫ぶ。

「あなたに何が判るというの。でも、統治者になれれば生き延びられる。『テトラルカ』の方々も喜んでくださるに違いないわ」

「『テトラルカ』?」

それは4人の魔族の王、すなわち魔王を指す言葉。

「まさか、あなた……」

「そのまさか、よ。わたしは魔族。これでも伯爵位をいただいているのよ」

『魔族』と名乗ったノルンの表情は、とても誇らしげだった。

「そう……なのね」

「人間の振りをして我慢し続けるのも今日で終わりよ! 魔族が統治者になれるというなら、わたしはそれになる。それが駄目なら『テトラルカ』に皆様になっていただく。そのために人間をどれほど殺すことになっても構わない。むしろ勲章のようなものよ」

ノルンは嬉嬉として言った。

なぜ魔族がカヴァリエリの徒の中に混ざっていたのかは判らない。

だが、イエッタは納得が行ったことがある。

ノルンが魔族だというなら、人間を殺すことになんの躊躇いもないのは当然のことだ。魔族にとって人間とは滅ぼすべき種族でしかないのだから。それがたとえ相手が、共に育ってきた仲間だとしても。

ふつふつと、イエッタの中に激情が湧き上がってきた。

仲間を殺されたことへの怒りと。

人間とは相容れない魔族の不条理に対する怒り。

自分を抑えきれない程の感情をイエッタは初めて感じていた。

「そんなことはさせないわ!」

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