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転機4

『この千年で〈ティレリア〉において魔術が衰退したのは、〈世界の管理者〉の意志が働いているようだな』

説明が進む中で、サトゥラヒンがそんな裏話を始めた。

『先代の〈世界の管理者〉リィ・マグヌスは、自分が魔術師であるにも関わらず、魔術をこの世界に不要のものと判断したらしい』

その結果として、実際に魔術は千年の間に衰退し、一部地域では『魔術』の存在すら知られなくなってしまった。今となっては、セツェンとゲイルゴーラで細々と魔術研究が続けられているだけだ。一説では、『カムネリア魔法国』の流れを汲む人々が魔術を受け継ぎ、守っているとも言われてはいるが、真相は定かではない。


さて、こういった役割を果たす〈世界の管理者〉は、千年ごとに交替することが〈世界体系〉によって定めるられており、交替にはルールが存在する。

〈世界の管理者〉は知的生命体、つまり人間の中から選出され、まず〈世界体系〉によって、人間の中から10人が選ばれる。

そして選ばれた10人は、互いに競い合い、優劣を決めていくことで最終的に1人が選ばれ、その者が〈世界の管理者〉の役割を担う。〈世界の管理者〉となった人間の個体は、本来の寿命から解放されて千年を生きることになる。

この〈世界の管理者〉の選出は、千年ごとに繰り返されることから〈千年紀戦争〉と呼ばれている。

ちなみに、この〈千年紀戦争〉の時代は、一時的に〈世界の管理者〉が不在となるために、戦争、飢饉などが多発し、人世は荒廃するのが常だと言う。


ティケは、あまりに荒唐無稽な内容に「へえ」とまるで他人事のように頷いた。

「他人事のような態度じゃないか」

とギムル師も呆れ気味だ。

「そう言われましても……。えっと、それはつまり、〈世界の管理者〉とその選出方法に、あたしが関係あるってことですか?」

よく判っていないティケは、間の抜けた質問をする。

「もちろんだ。何しろ、お前の左手の甲の紋章は、10人に選ばれた証なんだからね」

「それってどういうことですか?」

「鈍い奴だな。お前が〈世界の管理者〉の候補者に選ばれたってことだよ」

「え? なんであたしなんかが選ばれるんですか?」

その問いに答えたのはサトゥラヒン。

『〈世界の管理者〉には強大な力が求められる。世界自体を維持しようって存在が他者に引けを取るようでは管理など出来ないからな。そしてティケトスの場合、俺を召喚し、契約したことが選出の大きな要因となっている』

「あなたを?」

サトゥラヒンは大きく頷く。

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