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悪魔の誘惑

所謂、『悪魔の誘惑』。幼い頃、寝物語に何度か耳にした覚えがある。

悪魔はあの手この手で人間が3つの願いを言うように仕向ける。悪魔は大抵の願いを叶える権能を有しているので、人間が思いつくような願いはだいたい叶えることが出来る。

そのため、人間は調子に乗って願いを告げていく。

その代償が自分の魂だとも知らずに。

そう、3つの願いを叶えてもらったら最後、魂を奪われ、死んでしまうのだ。

それにしてもと、ティケは思う。本当に悪魔が居るとは知らなかった。魔術を学ぶ者の端くれとして、ティケは悪魔、天使という神的存在には否定的だったのだ。そもそも、悪魔や天使が仕えているという神々の存在すら怪しい。

だが、今現在、目前には悪魔と思われるものが存在している。

幼い頃の寝物語では、話に出てくる悪魔に対して、言い知れぬ恐怖を感じたものだった。少し齢を重ねた所為なのか、それとも違う理由があるのか判らないが、今、現実に悪魔と対面しても、それほど大きな恐れは感じていない。

「あなたは悪魔なの?」

その質問は思わず口をついて出たものだった。

『それに答えれば、3つの願いの1つを叶えることになるぞ』

「あ、じゃあ、今の無しで」

『了解した』

ティケは小さく小首を傾げる。悪魔の反応が、いやに素直だと思えたからだ。

悪魔と言えば狡猾で残忍。人間を騙すことが生業のようなもので、けして信用してはならない存在のはず。だが、目前の悪魔からは、そう言うあくどい雰囲気が感じられない。それも悪魔のやり口なのかも知れないが。

さて、とティケは困る。

おそらく、3つの願いを言わないと、この悪魔は帰ってくれない。だが、願いを言うわけにはいかない。

『どうした? どんな願いでも良いぞ?』

と悪魔は催促してくる。

それには答えずに沈黙を続けるティケ。しばし悩んで、打開策を思いついた。

不幸中の幸いというべきか、この悪魔は紋章によって構築された存在だった。それはつまり、紋章を停止させれば、悪魔も消滅する可能性があるということ。もちろん、一度生成されたものは元に戻らない可能性もあるが、試してみる価値はある。

ティケはおもむろに、未使用の羽根ペンを手に取り、修正用インク壺に突っ込んだ。

『ま、待て待て』と悪魔は慌てる。その様子から、紋章の不活性化は有効だとティケは判断し、問答無用で紋章に修正を加えようとする。

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