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新たな出会い2

自邸に戻ると、そこにはすでにディバイニスが戻って来ていた。彼はバルミス将軍配下の将を3人連れてきていた。

マルティンにとっての問題は、皇帝よりもむしろこちらだった。彼らの扱いを間違えば、少なくとも軍部の一部が皇帝から離反する事態になる。

それは避けたかった。

だが、どうするのが最良なのかは全く浮かんでこない。

「殿下、賛同者を連れて参りました。彼らの麾下の兵士も彼ら同様に動いてくれるでしょう」

知らない顔があるため、ディバイニスはマルティンに対して臣下としての話し方に切り替えている。マルティンはすぐに応じるのを躊躇った。

本当にありのままを話してしまっても良いのか。その影響が把握出来ない。かと言って、嘘をつくのも憚られる気がする。

思い悩んでいる内に、ある考えを思いつく。

たとえこの場で真実を話さなかったとしても、明日の昼には事実が知れ渡るだろう。今のこの場で誤魔化しても、明日にはバレると言うことだ。そして誤魔化したと知られれば、マルティンに対するディバイニスの信頼は揺らぐだろう。

友人として、それは見過ごすことが出来ない。

それにそもそも、公明正大に行動できない者が王族を名乗るのはおこがましい。常々そう考えてきたではないか。

マルティンは覚悟をを決めた。

「良く来てくれた。だが……遅かった……」

言葉の最後は声がかすむ。

覚悟した上でも、真実を話すのは勇気が要る。

「遅かった、とはどういう意味ですか、殿下?」

マルティンの声音から嫌なものを感じ取ったディバイニスは、口調は臣下としての礼儀を守りつつも、食ってかかる。

「言葉通りだ……バルミス将軍はすでにこの世にいない……」

と、そう口に出すのが恐ろしかった。

「すでにこの世にいないだと? どういうことだ! 処刑は明日のはずだろう⁈」

ディバイニスが連れてきた内の一人が、語気を荒げて言う。それを痩身の一人が手で制した。

「本当の処刑執行は明日ではなかったのだ。今日、行われた。私はそれを止めることが出来なかった。……すまない」

マルティンは、耐えるように目をぎゅっと閉じ、拳を握り締めた。

「それほどまで疎まれていたとは……」

痩身の男が悔しそうに言ったが、眼鏡をかけた顔にはその悔しさを昇らせてはいなかった。自己抑制の効く性格と思われた。こういうタイプの人間は知的であることが多い。歳は30位だろうか。

「そなたは?」

「失礼いたしました、殿下。私はフリードリヒ・セラーニセンと申します。帝国第三軍では参謀将校を務めております。以後、お見知りおきを」

痩身の男、セラーニセンはそう挨拶した。続いて、

「俺はオズヴァルト・グレイグスと申す。帝国第三軍第五大隊を与っておる」

王族に対して無礼とも解釈できる口調の男は、先ほどマルティンに食ってかかった人物だ。怒髪が天をつくかのように短く刈った髪を逆立たせて、目つきは鋭く、見るからに猛将と言ったタイプと思われた。

「最後に自己紹介申し上げるこれなる者は、ヨルゴス・サンクトゥレイと名乗る者でございます。帝国第三軍第三大隊を与っております。また、オズヴァルトの非礼を本人に代わりお詫び致します」

少し気取った風な口調で挨拶したのは、ウェーブのかかった長髪を肩まで垂らした美丈夫だった。軍部にはあまり見ない洒落っ気のある男。その実、大隊長に任ぜられていいるあたり、実力は伴っていそうだ。

「うむ? 俺の言い方が悪かったか?」とグレイグスは悪びれもせずにサンクトゥレイに訊ねる。

「そうだね、少なくとも王族に対する礼は失していると言わざるを得ないね」

「おお、そうか」と納得した様子のグレイグスはマルティンに向き直ると、「殿下! 失礼をお許しくだされ! 俺は戦いしか能が無い武骨者になので作法はさっぱりだ! だが、戦ならいくらでもお役に立って見せよう!」

その口調はやはり王族に対する礼儀としてはなっていなかったが、グレイグスの謝罪しようという気持ちはマルティンに伝わっていた。マルティンは、「かまわんよ」と応じてグレイグスを許すことにした。

グレイグスは粗野でぶっきらぼうだが、素直な性格のようだ。それに対して、サンクトゥレイは世話好きで気が利くらしい。

マルティンはそんな二人のやりとりを微笑ましく思った。

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