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探索2

2人は川下地区の地区聖堂(地区ごとに小規模な聖堂が存在する)広場までたどり着く。人通りはそれなりだが、噴水も無ければ出店も無い、聖堂が無ければそこが地区の中央だとは誰も気付かないだろう、どこにでもありそうな広場。

「ここで良いか」とおもむろにレーイが言ったのに対し、

「ちょっと待った!」とエライアスが待ったをかける。

「何か?」

「一応、確認するけど、ここで眷属を『闇から出す』つもりじゃないだろうな?」

レーイは小首を傾げ、「そのつもりだが、何か不都合でも?」と不思議そうに言った。

エライアスは頭に手をやり、小さくため息。

「人目がある場所ではまずいと思うよ。こっちへ」

エライアスがレーイをいざなったのは、地区聖堂だった。

そこは、本当にこじんまりとした聖堂だった。30人も座ればぎゅうぎゅうになりそうな空間。ステンドグラスは無く、ただの曇り硝子がはめ込まれた窓から差し込む陽の光が、奥の方に設置された木彫の祭壇を照らしている。祭壇の彫刻は12柱神を象ったものだったが、芸術的見地からはさして価値がある風でもない。

だが、人の気配はなく、眷属を出すにはちょうど良かった。

「イグニクルス殿。アレーナ」

レーイが空間に呼びかける。エライアスは次に起こるであろうことを、わくわくしながら待っている。

そして、エライアスの期待通り、それらは現れた。

聖堂内部の暗がりから、それは突然姿を見せた。

「何か、ご用がお有りかな?」

と言う老人の声。そして、

「お呼びにより参りました」

と言う女性の声。

「おお!」

エライアスは感嘆の声を上げる。アレーナは1度見ているが、イグニクルスという老人は初めてだ。「精霊にも年齢があるのか。ご老人の精霊というのは想定外だ」とエライアスは興奮しつつも、レーイの邪魔にならないように声を落として呟く。しかし、それにイグニクルスが反応した。

「儂は生まれたときからこの姿なのだよ、お若いの」

「そうなのですか⁈」とエライアスは敬語になって言葉を返す。

「本当だとも。ゆえに儂には『若かりし頃』というものが無い」

「『無失態の老賢者』と呼ばれる所以ですね」とアレーナが付け加えた。

「儂にだって失敗のひとつやふたつ、あるわい」とイグニクルスは少し不服そう。

「ご謙遜を」

と、会話が弾みかけたところで、レーイがこほんと咳払いをする。

「エライアス、2人と会話する機会は別に作る。だから……」

「ああ、すまん、悪かった」

エライアスは素直に謝った。

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