探索
ところが、実際のところも精霊が関与している、というのがケルスの見解だった。
「なぜ、そう断言できるのだ?」と問うたレーイに対し、ケルスは、「フェルマイルなら判ることだ」とだけ答えた。
「それは、フェルマイル族には精霊を感知する力がある、と言う意味か?」とエライアス。
ケルスは具体的なことは何も答えずに、ただ頷いただけだった。
「私にはそのような能力は無いが、同じ精霊同士なら感知出来たはずだ。我が眷属に依頼することにしよう」とレーイ。
「だが、川下地区と言っても広いぞ?」
「眷属を複数動かす」
「ほう……」とエライアスは声に出してからにやりとした。
レーイが複数と言うからには、先ほどちらりと姿を現した『アレーナ』以外も参加すると言うことだ。
未知のものに興味が尽きないエライアスにとっては、又とないチャンス到来である。人間以外の知性を持つ存在と会話出来る機会など、そうそうあるものではない。
レーイと『アレーナ』は普通に会話していたから、言葉は通じるはず。
何から聞こうか? それとも、まずは自己紹介から始めるべきか? 失礼なことをしないよう気をつけなければ。
そんなことを考えるエライアスは、ますます相貌を崩した。
そしてレーイ、そんなエライアスの表情から、彼の思惑を正確に読み取る。
「我が眷属たちと仲良くするのは構わないが、探索の邪魔だけはしないで欲しい」
と釘を刺す。
「もちろん、判っているとも! 善は急げとも言う。さっそく取りかかろうじゃないか!」と、エライアスは、本当に判っているとは思えない満面の笑みを浮かべた。
エライアスのやる気(?)に連れられるようにして、朝食を終えたばかりのレーイは宿を出た。
レーイが常宿とした『白銀亭』は、ゲイル市の中央に位置するゲイル城の南側の大通りに面し、中央地区に位置した。つまり、住民の階層は比較的上に位置し、富裕な平民も多く住んでいる。
対して川下地区とは、市の南側を、東から西へ流れる川の川下に当たる区画を指す。そこは平民が暮らす地区の中では比較的治安が悪く、柄の悪い連中もたむろするような場所だった。
そういった情報をエライアスがレーイに教えながら、2人は大通りを南下し、それから西へ向かう。
歩みを進めるにつれて、だんだんと、並ぶ家屋が慎ましやかになっていくのが見てとれる。それと共に、出歩く人々の服も質素になっていった。
そんな中にあっても、全身黒尽くめのレーイは、良くも悪くも目立っている。そのレーイの隣を歩きながら、ずっとレーイに話かけ続けているエライアスも違う意味で目立っていた。




