表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/204

闇魔術(アルス・カリゴニス)

「さて、レーイ。これからの予定は何かあるかい?」

「当座は、戦いに向けて力を付ける以外には特にはないな」

「力を付けるというと、何か魔術に磨きをかけるようなことかい?」

レーイは「いいや」と首を振る。「私が行使する魔術は『闇魔術(アルス・カリゴニス)』と言うのだが、これは既に修めている」

「ほう……。その『闇魔術』というのは、どんな魔術なんだい?」

「一言で言って、『闇を扱う魔術』だ」

「もう少し詳しく」

「大きくは『闇』そのものを扱う述と、間接的な術とがある。間接的なものは『概念魔術』と言う」

「概念?」

「そうだ。『闇』という事象を概念化することによって得られる事象を行使する」

「『闇』の概念とは?」

「『曖昧』。もしくは『曖昧化』」

「ほほう、なかなか哲学的だね。だが、『曖昧を行使する』と言うのは、よく判らない」

「確固とした事物を曖昧にすると言うことだ。存在然り、定義然り」

「存在を曖昧にする……。それは、例えば人間を消すというのとは違う?」

「『消去』とは違う。あくまで、事物を形作る様々なものをあやふやにするということだ」

「具体的には?」

「そうだな……」

少し考えた上で、レーイはテーブルの上のコップに手で触れる。途端にコップが消えた。

「今、コップが『消えた』ように見えていると思うが、実際にはそうではない。だが、現状ではコップは存在しているとも言えるが、存在していないとも言える状態にある。人間の眼は存在している物しか視えないから、そんな曖昧な物を視ることは出来ない」

「『隠れている』というのとも違うということか」

「無論、違う。在るようで無い。無いようで在る。そんな状態だ。これを闇魔術では『闇に溶かす』と言う」

「闇に溶かす……」

エライアスは鸚鵡返しに返した。心ここにあらずといった様子で物思いにふける。

「これを生き物に応用すると、こうなる」とレーイは告げて、「アレーナ」と呼びかける。すると、レーイの傍らに、忽然と若い女性が姿を現した。

「ここに居ります」とアレーナ。

これにはエライアスも椅子から飛び上がらんばかりに驚いた。

「アレーナは、普段は『闇に溶けている』が、名を呼ぶことで『闇から分かれる』。……ありがとう、アレーナ。戻ってくれ」

「御意」

アレーナは軽く会釈したかと見えた次の瞬間には、存在が消えていた。

「これが闇魔術の一端だ」

「うーむ」

エライアスは唸った。魔術を見た興奮もさることながら、『闇魔術』の難解さに頭を悩ませていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ