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第124話:記憶喪失

※クローバー隊長、ミーハ視点。

ただでさえ厄介なのに、どうして更に厄介なことになってしまうのだろう。

俺はベッドに横たわる我が上司、ジャック様を見て盛大にため息を吐き出した。




事故の始まりはなんだっただろうか。そうだ、いつものココとディアによるジャック様をめぐる言い争いだ。

俺は隣に座っている彼女たちを一瞥した。

ココは置いていかないでジャックさま~、と泣きながら彼に抱きついている。言っておくが、一応生きている。

ディアは、貴方の亡き後をどうすれば…!と目をこすっている。いやだから、死んでないってば。

ジャック様は悪夢でも見てるのか、少しうなされていた。


「夢の中でさえ幸せな気分を味わえないなんて不憫すぎるな……」


後ろに立っていたスウォーが、ため息混じりに言う。同感だ。

上司にこんなことを思うのは失礼だが、俺はなんだか彼が可哀想になりジャック様を軽く揺すった。

もし悪夢を見ているなら、早く目覚めてほしいと思ったから。

そんな願いが届いたのか、彼の睫毛が震えた。


「ジャック様!」


ゆっくりと開く瞼に、彼女たちは悲鳴とも歓声ともとれる声をあげる。

そしてそこをどけとでも言うように(ディアには実際言われた)どつかれた。酷すぎる……!


「ジャック様、大丈夫ですか? ココ、ジャック様になにかあったら生きていけません!」

「ちょっ、なにどさくさに紛れて抱きついてるッスか! ジャック様は病み上がりッスよ!」


別に病み上がりではないと思うけど、口には出さなかった。


「……ジャック様?」


訝しげに彼を呼びかけるスウォー。そこで初めて、俺は違和感に気付いた。

あのジャック様が、彼女たちに何の反応も返さない。あのジャック様が。

いくら今目を覚ましたばかりとはいっても、これはおかしい。


「ジャック様、大丈夫ですか? えと、気絶したのは覚えてますか?」


出来るだけ彼を刺激しないように問い掛ける。ココとディアもジャック様の異変に気付いたのか、口を噤んでいた。

上体を起こした彼はいつもの疑るような目はしておらず、きょとんとした表情を浮かべている。

嫌な予感がした。そして嫌な予感というのは、だいたい当たるものなのだ。



「お前たちは誰だ?」



俺は今日一番の頭痛がするのを感じた。



「ココはぁ、ジャック様の恋人ですよ~」

「ちょっ、なに記憶書き換えようとしてるんスか! ジャック様、私ディアは貴方と将来を誓い合った仲で――」

「お前も嘘つくな」


記憶を失ったことをいいことに都合のいいことを言う2人に、スウォーはすかさず突っ込む。

最初こそどうしようと嘆いていた彼女たちだが、その変わり身の早さは最早尊敬ものだ。


「っていうか、ふざけてる場合じゃないだろ2人とも!」

「「ふざけてない!!」」


はっとして言えば、怒られた。ものすごい形相で。

確かにその顔は冗談なんかではないということをよく物語っていて、余計に怖かった。




その後なんだかんだでジャック様の記憶は戻るのだが、それはまた別の話。



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