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7 食物連鎖と擬き達と興味

ちょっと「うわぁ…」ってなる場面があります。



 オオカミを見送り、森の他の生物も気になった空。

 そのまま森の奥へと歩を進めようとした。


 が、ふと気付く、あのオオカミに乗って森を探検した方が、よっぽど楽しかったのではないかと。


「やったな……」


 先程、じゃあ帰っていいよ、と言ったのにも関わらずに、また呼び出して、案内よろしく、とするのは普通に可哀そうである。

 ちょっと考えた後、空は普通に歩くことにした。歩いた方がよく見えるし、という言い訳を添えて。


 森の中を進むこと数分、外からだけでは決めかねたこの森の特徴が何となく分かってきた。

 まず、この森の植物はおかしい。具体的にどうおかしいかというと、あまりにも異常な進化をしていそうな種が多いのだ。例えば、傘のように放射状に葉を広げたもの、枯れた葉で一杯の木、幹などなくほぼ無限に枝を分けていそうなもの。

 空の知識が間違っている言われてしまえばそうなのかもしれないが、一目見ておかしいと思わせるような見た目の植物が多いと感じたのだ。


「見た感じブナとかナラっぽい普通の木もあるにはあるんだけど……」

「流石に違和感あるよなぁ」

「ま、いっか」


 創造神の力の所為だろうと見切りをつけて、どんどん進んでいく空。

 すると視界の端、普通の広葉樹で、何かが動いた気がした。

 その動く何かがいる木へと近付いていき、その何かが判別出来るほど傍に寄った時、ぞわっとした気持ち悪い感覚が走った。何かがモサモサと蠢いていた。


「うっわぁ……ゴキブリやん……」


 そう、日本にもよく出るあのゴキブリそのものであった。

 だがそのゴキブリも、地球のものとはほんの少し違っており、日本によくいる通常サイズより一回り大きく、前の世界であったら、「うわデカ」と思わず声が出るであろう程の大きさで。

 それが一匹ではなく、樹液に群がるように複数匹いたのだ。


 空がゴキブリとよく似た生き物を創造神の力で世界から消え失せさせようとするのも束の間、後方から何かの羽ばたく音と共に、羽に前腕が付いているような鳥、始祖鳥に近いような鳥が木に張り付き、ゴキブリの群れをついばんでいた。


(おぉ、鳥だ!)

 と折角の脊椎動物を逃がさないために心の中で喜ぶ。

 ニューアースに鳥がいることは、空を飛んでいることから分かっていたが、間近にみるのはこれが初めてであった。

 

(逃げるな)


 と念じ、観察のために近付く。

 ゴキブリの群れを捕食し、同じ木の枝に留まっている鳥に手を伸ばし、優しく触る。


「わぁあああ!」


 声に反応して、鳥が体を震わせたが、逃げようとはしない。


「ああ、ごめんごめん」


 空が感嘆の声を上げたのは、地球でも鳥類はあまり触ったことがない、というのも含まれているが違う理由で、胴体、羽毛の下の筋肉が、空を飛ぶ鳥にしては大きくしっかりとした、まるでにわとりのような地面で生活する鳥類いや、どちらかというと恐竜を彷彿(ほうふつ)させるような筋肉であったからである。


「もしかして、お前が始祖鳥的なやつなのか?」


 ここで空が言っている始祖鳥というのは、大昔地球にいた恐竜の一部が進化し、進化を続けていった途中の鳥類と恐竜の両方の特徴を持つ生き物で、スズメやハトやらの大先祖、ではないかと地球では言われていた生き物である。


 何故、空がその始祖鳥に興奮しているか。

 それは正しく、恐竜という男の子のハートを震わす二文字に関係するからであった。

 化石でしか存在を確認出来ない生き物を見ることが出来たという知的な理由はない訳ではなかったが、空の理由の大半ではなかった。


 そこでふと、空は気付く。


(始祖鳥は、恐竜の進化した先……)

(きょう……りゅう…………)





「あっ」


「恐竜みてねぇぇぇじゃねぇぇぇぇかあぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」





 そう、肝心のその恐竜を、空は全く見ていないのである。

 世界を創ることに夢中になっていた空は、恐竜がいた大体一億年程、その中生代と呼ばれる時代をすっ飛ばして地球で言う新生代の今に来ているのである。


「やぁっちまったぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」


 何ともマヌケな咆哮が森に響き、周りの木に止まっていた鳥がどこかへ羽ばたいていく。


「どうしよ、時間また戻そうかな」

「でもニューアースの時間また戻すのダルいな……」


 時間を戻すのにそこまで手間はいらないのだが、空の意思は、実験台的な今のニューアースの時間を弄る面倒くささが、また別の惑星を創ってそこで恐竜が生まれるまで待つという作業の手間に勝ったらしい。


「とりあえずはこのままでいいや…」


 絶対にいつか恐竜がいる惑星を創ると固く決心した空であった。




 そんな空の頭上、木の枝に蠢く何かがまた一つ。


 死角から飛び出て来た何かが、目の前の動かなくされた始祖鳥もどきを捕食するのは一瞬だった。

 その捕食者とは、蛇。

 より詳細にいうなら、アナコンダのような大型の蛇が一口で鳥を丸呑みにしたのだ。


「ひっ」


 流石の空も、自分の足ほども太い胴をもった蛇には怖気付く。


「あっ、あっ」


 恐怖で、念じる意思も、言葉も乱れる。

 何とか正気を取り戻し、


(止まれ!)


 と今まで一番強く念じた。

 するとやはり、大きな蛇は空を睨みつけたその姿でピタッと止まったのであった。


「良かったぁ」


 ニューアースに来て初めての恐怖を味わった空は、流石に止まったままだとしても自分よりも大きな蛇の近くにいるのは嫌らしく、

 (30分ぐらいしたら動け!)

 とちょっとした優しさを込めて念じると、そそくさと奥へ進んで行った。






 警戒心が増して、より慎重に進んで行く空。

 まぁ、創造神となっている今の空に傷を付けられる生き物など、世界の何処にもいないのだが。


 そうして歩みを進め、小高い丘の頂上に着いた時。 

 ふと、向かおうとしている方向のずっと先、不自然な開いた場所があることに気付いた空。


「あそこは……川か何かかなぁ……?」

「よっしゃ、とりあえず行ってみっか!」


 先程の失敗などどこ吹く風といったように、警戒することを忘れ、常人では有り得ない速度でその場所へと走り出した。

 


場面を想像して少しぞくってなりました。


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