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6 経過と森とオオカミ



 創造神の力で何十億年も世界の時を進めた後、再びニューアースの様子を見に行こうとしていた空。

 ちなみに、話し相手ちゃんの木も時間を進めて成長を促そうとしたが、念じたその瞬間に、弾かれる感覚と、

『私は成長の想像しか受け付けません』


 という声に阻まれ出来なかった。

 

 なので、先に世界創りをしていたのだ。


「さてと、ニューアースはどうなってるかな」


 そう言って、転移を念じる。




 パッと切り替わった視界の目の前には、鬱蒼とした森が広がっていた。

 その森には、空の知識にある植物とは全く異なった見た目をするものや、一見普通の木にしか見えないようなものと色々だった。

 転移した位置は変わらないはずなので、背後には大陸の隆起などのせいか遠くに海があり時間の経過を感じさせる光景であった。


「おお、また変わってら」


 岩が剥き出しの無機質な地面の光景とは違った景色。


「なんか前の世界には絶対無いような植物もあるな」

「前じゃ絶滅してたのか、それともニューアース特有の進化なのか」

「やっぱ面白いなあ」


 そうしてニューアースの植物に関心していると、ガサガサッと、物音がして、すぐさま反応してそちらを向く。


 すると、木々の隙間から顔を出したのは、大きめのオオカミの様な生物で、大きさ的には牛とかそういうレベルの大きさの狼だった。そのオオカミは、こちらに対してグルルルと、牙をむき出しにして威嚇していた。


(やべえ、めっちゃでかい狼きた!)

(よく見ると地球のタイリクオオカミとかと比べるとゴツイ体格してるけど、完璧にオオカミだ!)


 この創造神、目の前の初生き物に夢中で、自分が威嚇されていることなど頭に無かったのであった。


 睨み牙を見せるオオカミ、そしてそれを意にも介さずじっとオオカミを見つめる空。

 オオカミと遭遇してから数十秒が経過したが、空はなおも観察を止めずに地球のオオカミとの違いや、その発見の喜びで頭の中が一杯であった。

 

 ガァウゥ!!!


 とオオカミの唸り声が響いた。

 その瞬間、空の意識はようやく死の危険があるという意識に切り替わったが、もう遅かった。

 痺れを切らしたオオカミは、目にも止まらぬ速さで空の首目がけて疾走していた。


(まずい、死ぬ!)


 そう思った空は咄嗟に、


「止まれ!」


 と叫んだ。

 そしてその瞬間オオカミの動きが、ピタリと止まった。


「あ……?どうしたいきなり」


 不可解な行動に思考を巡らす。


「ああ!俺の止まれって意思に反応して力が発動したってことか」


 そう、空の咄嗟に放った「止まれ」の言葉。

 それに呼応して、創造神の力がオオカミの動きを止めたのである。


 創造神の力に驚くのもつかの間、空は首根っこ嚙み千切らんと飛び掛かかりそのまま宙に浮いたままのオオカミをまたじっくりと観察していた。


「うーん、毛はモフモフとは言いがたいな」


 そう言って、空中でいい感じに止まっているオオカミの体を好き放題に触りまくる。


「近くで見ると、やっぱりめっちゃでっかいなぁ」

「おぉ、牙も鋭いなぁ」

「てか、やっぱこのままじゃ可哀そうだな」


 そう言って空は、動いてよい、そしてオオカミが自分に対して友好的になれ、と念じた。


 オオカミが、シュタと地面に下り、


「ウオォン!」


 と鳴くと、空に覆いかぶさるように顔をベロベロと舐めてきた。


「わ、ちょ、やめろって」


 そう冗談交じりに言うと、オオカミはまたもピタっと動きを止め、おすわりの姿勢でじっと空の方を見ていた。物足りないといった目線も混じったような目で。じぃーと。

 

「今の感じでも発動すんのか……」


 と内心、少しでも想ったこと叶えるってこういう時にめんどくさいんだなぁ、と思う空。

 創造するときには便利な補正だが、こういった時には融通が利かない能力であった。

 しっかりと発動を念じたときのみ、という設定を念じ、それを防ぐ。


「よしじゃあ、もうどっか行っても大丈夫だぞ」


 顔のよだれが少し乾いてきた頃に、ニューアースで初めての生物を堪能した空はそう言って、オオカミを再び森の中へと返した。

 オオカミは、空の言葉を聞くと、別れを惜しそうに、けれどそれを振り払うように嬉しそうに、

「ウオォォォォォォォォォォォン」と遠吠えを残し森の奥に消えていった。


 空はその去り行く姿をじっと見つめ、せめてあのオオカミが良い生を送ることを祈ったのだった。



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