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28 暴走と風とおとうさん



 空の肌に、異常なほどに増大した魔力が押し寄せる。

 精霊自体の大きさは子供程だったが、その小さな体躯からは想像も出来ない程の魔力が放出されていた。

 空たちを睨んでくるような目はなかったが、確かな敵意を精霊から感じる空。


「イヴ!あの黒い風の精霊が竜巻の原因で合ってるか!?」


「はいマスター!あの精霊を落ち着けないと地脈の操作も出来ません!」


「そうだな、ってあぶねっ!」


 竜巻の外から飛んで来た木をすんでの所で避ける。

 その木を皮切りに、風の壁に覆われて見えない外から大量の木や石が飛んでくる。

 空が予め張ってある魔力壁のおかげで何も被害はないが、このままは拙いと思った空がイヴに言う。


「イヴ!あの精霊は何でああなってるんだ?」


「少々お待ちを……」

「マスター、あの精霊は自身での魔力の操作が出来ていません。おそらく、過剰な魔力を操り切れずああなっているものかと!」


「じゃあ直接触れば俺が操作できるか!?」


「出来ますが、それではマスターの体が!」


「安心しろ!この体頑丈だからちょっとやそっとじゃ何にもならん!」

「これかあの精霊に突っ込むからイヴはどこか安全そうな場所にいろ!」

「もし危なくなったら創造神の力使ってもいいからな!」


 不安そうにこちらを見上げるイヴの目に力強く頷く。

 空の意志の固さに折れたイヴが、自分の魔法でゆっくりと降下していく。

 それをしっかりと見届た空。

 イヴには大丈夫と言い切ったが正直な所、対魔法への創造神ボディの耐久力は試したことが無く、しかも暴走した大精霊に突っ込むとなると、空が無事である確信はどこにもなかった。

 けれど、空は行かなければならない。 

 地脈の操作という目的のためでもあったが、それ以上に今も苦しんでいるであろう精霊を助けなくてはいけないという使命感のようなものからであった。


「よっしゃ待ってろー!今行くからなぁ!」


 再び体内の魔力の流れを増幅させるように練る。

 空の確固たる意志に反応するように魔力が増加していく。

 魔力でのみ構成された精霊に触れられるのは魔力のみ。生身の空には干渉が不可能だったが、空の魔力であれば話は別。

 空がイメージしたのは大きな手。両の肩から翼にも似た大きな手を魔力で形どる。

 それを携えて、今なお荒ぶる暴風の中心である精霊へと突撃する。


 空と精霊の間は僅かであったが、その間には拒絶するような精霊の放った風の層が幾つも連なっており、空の接近を阻む。

 竜巻に接近する時から全力で魔力を放ってきた空、創造神として無限の魔力を持ち合わせているが継続的に大魔法を放つことには慣れていないためか、精神が少しずつ疲労していた。

 弾丸のように精霊へと向かう空だったが、疲れからか一瞬の意識の空白が出来る。


(やべっ……!)


 普段なら何も影響のないその間。

 だが、空が現在対峙しているのは、絶え間なく竜巻を放つ暴走した精霊。

 その隙が意味するのは、死と同義だった。




 刹那の間、空の身体が風に弾き飛ばされ轟音と共に地面に衝突する。


「マスター!」


「平気だ!一応、な……!」


 久しく感じていなかった痛みを感じる空。

 土煙が晴れ始め、自分の身体を見る。

 全体的に擦り傷と打撲痕だらけだったが、それ以上に折れるはずない方向へと折れ曲がっていた右腕が痛々しく視界に入って来た。

 だが、見た目の酷さと痛覚が一致しておらず、創造神ボディの恐ろしさを再度認識する空。

 周りを見渡すと、空を中心にちょっとしたクレーターが出来ており、空がどんな勢いで地面と衝突したのかを明確に語っていた。

 

 煙の外から疾風が肌を切り裂く。

 空は思い出す。今は自分の怪我の具合なんて気にしてる場合ではない、と。

 一歩ずつ確かな足取りで精霊に向って行く。

 先程のような風を放つような魔法は出せそうにもなかったので、足の裏に重力を強化する魔法をかけ、体の前面に魔法壁を張っている。

 精霊の全力の抵抗に段々と魔法壁が剝がれていく。


(これ以上魔力を練るのはキツイな……ガンガン使い過ぎた……)


 空の生身の身体が暴風に晒される。

 けれど進む、目の前には空自身が生み出した大切な命が苦しんでいるのだから。

 やがて、黒い風の精霊のすぐ近くまで到達した空。

 なけなしの魔力で放った魔法の手で精霊を包み込む。

 その瞬間空の身体に流れて来たのはとめどない激情。



『さみしいよ、くるしいよ、はじけてしまいそうだ』『いやだいやだいやだ』『たすけてだれか』



 幼子のような声が空の心を通過する。

 負の感情が通り過ぎるたび、徐々に削り取られていく魔力の手。

 だが、そんなことは意にも留めず、泣くように叫ぶ声に、空はやさしく抱き寄せるように言った。



「もう大丈夫だ、俺がいるよ」



 そう言った後、精霊の魔力はしんと静まり返り、空たちを囲む竜巻もすっかり止み、頭上には雲一つない晴天が広がっていた。

 そしていつの間にか、空の腕に抱かれていた黒い風の精霊は、くせっ毛の少年になっていた。

 先ほどの暴れようは息をひそめ、すうすうと寝息を立てて眠っていた。






 それから、すぐ後にすっ飛んで来たイヴに説教をされながら治療されていた。


「マスターは自分の重要さを考えてから行動してください!あと、吹き飛ばされたら普通に撤退してください!あんなまともに魔法も打てない状況で進む意味がありますか!?ねぇ、マスター!」


「ごめんって、ちょっと熱くなっててさ。もうしないって」


「絶対にですよ!?ぜぇぇぇったいに!」


「そんなにうるさくしたら起きちゃうって……あっ」


 目を擦りながら眠たげに目覚める少年の妖精。

 焦点の合ってない目で空を見上げ、やがて空を視認したその瞬間。


「おとうさん!」


「お父さん……!?」


 そう言いだした妖精に思わず聞き返してしまった空。

 そんな空に、いつの間にかに息子が出来ていた。



筆が進まねぇ……


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