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26 神剣と湖とぼっち

 


 グノスの後からに里に戻ったせいか、地脈からの路の出口にはノームたちの人だかりが出来ており、リヴァイアサンを退けた空たちを迎えた。


「長から聞いたぞい!神さま方!ありがとなー!」

「神さまの魔力がこっちまで届いてきたわい!凄いのぉ!」

「これでいいもんが作れるってわけじゃわい!」

「わしらも剣とやら、作るの手伝うわい!」


 初めて里に来た時並のごちゃごちゃ具合だったが、空としても素直に褒められるのは嬉しいので不快なあ気分はない。

 しばらくして、リヴァイアサンを退けた時の話をノームたちにしていると、いつの間にかにいなくなっていたティターニアが空の袖を引っ張って言う。


「神さま神さま!グノスの鍛冶、とっても綺麗だよ!きてきて!」


「え、今俺の武勇伝を……あー分かった行くって」

「ごめん皆、この話は後でな、イヴ行くぞ」


 手を振るノームたちを横目にティターニアの案内に付いていき、里の建物の中でも一際大きい鍛冶場に着く空とさっきからずっと傍にいたイヴ。



 そのまま中に入っていくと、外にいた時から聞こえてくるキィィンと鳴り響く金属のぶつかる音が段々と大きくなってくる。

 グノスが鍛冶をしているであろう場所に近付けば近付く程、その音量に比例して宙を漂う魔力量も濃くなっていく。

 グノスがいる鍛冶部屋の前に来て、厚い獣の皮ののれんを少しめくって中の様子を見る空たち。

 そこにいたのは、一心不乱に鎚を金属に振り下ろすグノス。

 その金属は、空が知っている鍛冶の金属よりも真白に赤熱しており、グノスが鎚を振り下ろすごとに金属が、空間が、その鎚が膨大な魔力を帯びていっていた。

 鎚がぶつかる際に出る赤い欠片が、煌びやかに光り、鎚や空間も魔力の発露により妖しく、幻想的に輝く。

 鍛冶という無骨な作業とは到底思えないほど、その空間は非現実的な美しさに彩られていた。


 一時間程だろうか、作業がひと段落着いたのか鎚を置き、のれんの向こう側にいる空たちに意識を向けたグノス。

 

「お主ら、見ておったのか」

「ここは鍛冶場なんじゃから危な……お主らにその心配はいらんかったか」


「ああ、それにしても凄い鍛冶だった、いつもそうなのか?」


「いや、折角主さんに贈るもんじゃけぇ、今まで見つけた金属の中でも一番いいもんと、最高の魔水晶を用意したんじゃ」

「それにわしの本気の打ちが合わさったもんだと思うぞい、この魔力量は今まででも群を抜いて多いわい」


 そう言うグノスはどこか誇らしげであった。

 その後に、魔力を多く使うと鍛冶の時間も早くなるのでもう少し待ってくれ、と言われ広場に戻って他のノームたちに鍛冶を体験させてもらったり、空たちの魔法を披露したりして時間を潰していた。

 ちなみに空が鍛冶をした際に、魔力を込めれば込めるほどいいもんが出来ると言われ、リヴァイアサンの時程の魔力を込めてみたところ、込めた鎚がはじけ飛び、里中が軽くパニックになったのは言うまででもないことであった。鍛冶に集中していたグノスだけは何の反応も無かったようだ。

 

 そんな事件からまた少しした頃、グノスが広場に空を呼び付け、布に覆われた何かを台座の上に置く。

 

「それが……俺の剣か……?」


「そうじゃ、最高の一品じゃわい、手放すのが惜しいと思うほどの、な」

「ほれ、布を取って見てみい、わしからの全身全霊を込めた贈りもんじゃ」


 思わず、ゴクリと喉を鳴らす。

 布をめくり、その下にあったそれは美しい波紋が光る、一振りの刀だった。


「これは、刀か……?」


「ん?お主が言う剣ではなかったかの?」

「だったらま」「いい」


「これがいい……!めっちゃカッコいい……!」

「どうしてこの剣を作ったんだ?俺の教えた情報だと、あんまりこうはならなそうだったんだが?」


「うーむ、詳しい説明と言われても少し困るのう、自然とこうなっておった、そう言うのが正しいと思うのでな」

 

「そうか、ならそれでいいんだ」


 全くの自然に刀が出来たいう事実に震える空。

 空が生まれ育った日本で生まれ進化を続けていた『刀』という剣。ニューアース最初の剣が刀であるという数奇な運命に心の底から高揚感を覚えていた空だった。


 刀を受け取った後、また次の地脈へと移動するために里を離れようとする空たち。

 里の出入り口と繋がっている広場で、空たちに別れの挨拶をと里中のノームたちが見送りをしてくれた。


「元気にするんじゃぞー!」「いつでもくるんじゃー!」「次は壊れない鎚を用意しておくからの!」「ティターニア様やイヴ様もお元気にー!」


「じゃあなーお前らー!」「ありがとうございました、ノームの皆さん」「みんなー!またねー!」


 ちなみにティターニアの仲間の話は、ノームの誰かを連れてくのはみんなと別れさせることになるから可哀そう、というティターニアの気持ちがあったのでまた別の精霊を探すことになった。

 ノームたちの中からグノスがこちらにやってくる。


「主さま、リヴァイアサンを退けてくれて本当にありがとう、改めて礼を言わせとくれ」


「いやいや、こいつを作ってもらったんだからもう大丈夫だよ」


「そうか、本来はそんな剣で返せる恩じゃないとは思うんじゃが、主さまは急がしそうじゃしの」

「いつかまたここに来た時にもてなさせてもらうわい」


「うん、楽しみにしてるよ」

「じゃあ、行くよ」


「この世界を頼んだぞい、創造神様」


「任された」







 ノームの里に背を向けて洞窟を上っていく空たち。

 別れの声が聞こえなくなるほどに洞窟を戻っていき、ふとティターニアが愚痴を漏らす。


「もう見たことある景色でつまんなーい」

「神さまの力でパッて移動しちゃおうよー」


「うーん、だけどなぁ……」


 別に普通に上って戻れるので、創造神の力を使う必要はないと考える空にイヴが声をかける。

 

「マスター、洞窟を上っていくのは下りる時よりも時間がかかります」

「私たちは普通の生き物よりも無理をして下りれるので、早い時間で地脈まで着けましたが上る時間はあまり早くなることは無いと存じ上げます」

「ここは効率的な時間短縮のために力をお使いになってもよろしいのでは?」


 理路整然と力を使う理由について話すイヴ。

 だが、空にはその裏にある、普通に上るの面倒くさいというイヴの内心を完璧に理解していた。


「イヴ、お前も登んの面倒くさいと思ってるだけだろ」


 図星を指されて目線が宙を泳ぐイヴ。

 少したじたじになりながらも反論する。


「そうですが、マスターだってそう思っているのでは?ティターニア様と私を責めるのは筋違いですよマスター」


「多少は思ってるけどさぁ……うーん、まぁ時間短縮のためなら別にいいか?」

「ここじゃ魔法で早く上がろとしたら、洞窟突き抜けて行くことになるからなぁ」


 少し悩んだ後、時間は大切にしようという思いの元、洞窟の入り口まで瞬間移動しようとイヴと手を繋ぎ、ティターニアが空の肩に乗る。

 イヴとは四六時中一緒にいる中だが、未だに手を繋ぐなどの行為にはドキドキしてしまう空。

 そんな童貞らしさが抜けない内心のまま、念じる。

 一瞬体が浮き、目を開けると最初に来た洞窟の入り口まで移動していた。


「それじゃイヴ、次の目的地は?」


「はいマスター、次はこの森をずっと行った先の湖がよろしいかと」


「ありがとう、次は湖かぁ」


「湖ー!?やっと僕の好きな場所が来たね!」


 はしゃぐティターニアを落ち着かせ、魔法を使って宙へと浮かぶ空たち。

 刀は失くしたりすると悲しいので創造神の空間に置いてある。

 次に向かうのは、湖。 

 水ならあの精霊がいるかなぁ、と考えながら森の上を飛んでいく空だった。







 しばらく空を飛び、視線の先に大きな湖が見えて来たのでイヴに話しかける。


「イヴー、あれが目的地の湖であってるか?」


「はいマスター、あそこがその湖です」

「湖の中心に大精霊クラスの魔力を感じるので、少し遠くに下りることを推奨致します」


「おっけー」


 急停止し下の木々の間に下りる空。

 上からの景色では分からなかったが、湖近くの森はティターニアがいた森と比べると湿気が高く、苔や̪シダ植物が多く生えており鬱蒼としていた。

 

「ジメジメしてるな」


「そうですねマスター、ティターニア様がいた森よりも湿気が50%上がっています」


「え、湿気まで数値化出来るのかイヴ?」


「湿気ってなにー?」


 現在空の記憶では、イヴは気温や気圧なら数値化出来るのを知っていたがよもや湿度まで測定出来るとは思わず、イヴの万能性に驚く空。


「湿度ってのはな、ざっくり言うと空気中にどれだけ水が含まれてるかって言う数値だよ」

「ほら、サラマンダーがいた火山はパリパリしてたけど、ここは何かジメってしてるだろ?」


「そういうことかー」


 他愛もない会話をしながら湖の方へ進んで行く空たち。

 進むうちにどんどんと緑が濃くなっていき、少しずつ進む速度が落ちていく。


「これ、湖に近付くごとにどんどん植物の量増えてってないか?」


「神さまー、進みずらいから魔法で切ってもいい?」


「駄目だティニー、ここの精霊怒らせることになるぞ」


「もー、わかったよー」


 蔦などに引っかかりながらも木々の隙間に青が見え始め、それに向かってスピードを上げる。

 やがて開けた場所に出られ、日が傾きかけた太陽の赤い日が照ってくる。

 夕日に静謐な水面が反射して湖全体が茜色に染まって見えた。

 その中心、水が不自然に流動しており目を凝らして詳細を確認しようとする空。


 そこにいたのは、人。

 水で形どられた女性が静かに座っており、その周りでは水で出来た魚が水面を跳ねていた。

 その姿はとても寂し気で、魚の跳ねた波紋だけが揺らめくのみであり、鳥の声も少なくなった夕時がその孤独をより強調しているかのようであった。

 魔力量はサラマンダーと同レベル、つまるところ彼女も精霊であるということ。

 

 湖の女性がこちらに気付く。 

 飛ぶように立ち上がり、さっきまでの静謐はどこへやら、物凄い水飛沫を上げて空たちがいる湖の際にやってくる水の女性。

 イヴが身構えるがそれを制して様子を見守る。

 お互いに触れあえる距離まで近付き、水で出来た顔の口らしき部位が開かれる。

 

(わたくし)と!お友達になって下さいませんか!?」


 湖にいた水の精霊。

 それは、森の中に一人生まれた悲しきボッチ精霊であった。



四大精霊出尽くしたらキャラ紹介作ります。


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