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22 名前と火山と初魔法



「仲間が欲しいって言われてもなぁ、どうやって探すんだ?」


 悩んでいてもしょうがないので、妖精自身に方法を聞く。

 

「んーと、分かんない!」


「分かんないかぁ」


 ちょっと予想出来ていた返答だったがために大した絶望もなく、目の前の妖精を仲間と合わせる方法を考える空。

 空が思い付いた他の精霊を見つける方法は、大体二つほど。 

 一つは、この森のように自然の要素が多分にあり魔力が一定量ある場所へ行き、そこに自然発生した精霊を空の魔力で誘き寄せる方法。

 二つ目は、魔力が充満しているような地脈が多く通っている場所へ行き、空が魔力の発露をし強制的に精霊を創り出す方法。

 もう一つ、空が創造神の力で新しく精霊を創ることを考えたが、これから発展していくニューアース上に創造神の力で創った、自然に生まれていないものに意思を持たせてただ生きさせるのというのは、あまり気分のいいものではないし、そこは創造の力を使わずとも出来そうな問題だったので却下となった。

 

「なぁ妖精ちゃん、というか妖精ちゃんにも名前があった方がいいか?どう?」


「名前!?神さまが付けてくれるの?」


「俺が付けてもいいのか?」


「うん、神さまが付けてくれたら嬉しいな!」


 空中を飛び回って嬉しさを表現している妖精。

 その姿には、浮遊のために使った魔力が淡い光として妖精の傍を舞っているのもあり、とても美しく見えた。地球の人たちが華やかな美しいものを、妖精のよう、と言い表したのにも頷ける光景だった。

 妖精が喜びを表すたび、木々も嬉しそうに木の葉を揺らし、何処からか来た小鳥たちが唄いだした。

 そんな森の自然に愛される目の前の妖精を見て、ふと空が思った名前は、ティターニア。

 誇り高き妖精の女王であり、森を愛し、森に愛された。

 宙に踊る美しい姿から想起した名前だが、この妖精には相応しいと思ったのだ。


「ティターニア、って名前はどう?」


「ティターニア?とっても綺麗な名前だね!」

「僕の名前はティターニア!ティターニアだよー!」


 自分の名前があるのがとても嬉しいらしく、再び木々の間を通り抜けて踊る。

 なんとなしか飛ぶときに出る光もより輝いて見える。

 綺麗でいいなぁ、と空は思っていたが、精霊にとっての名付けとは、世界への存在の固定化であり、ティターニアという強い意味のある名を受けたこの妖精は、その名に相応しく成長していくことになるのであった。

 そんなことは露とも知らない空、ティターニアという名では呼ぶ際に少し長いのではないかと思い、今もなお踊る妖精に声をかける。


「なぁ、ティターニア」

「ティターニアって話すときにちょっと長いから、あだ名で呼んでもいいか?」


 ピタ、と踊るのをやめ、嬉しそうに空の方へ飛んでくるティターニア。

 どんなことでも空と話すのが楽しいのだと思われた。


「あだ名って何かしら、神さま?」


「あだ名っていうのは、仲のいいやつの間で言い合う特別な名前のことだよ」


「じゃあ、神さまと僕は仲がいいからあだ名で呼ぶんだね!」


「うん、そうなるな」


「じゃあ、あだ名も神さまが付けて!」


 そう言って、空の手のひらにちょこんと座るティターニア。

 ちんまりしててかわいいなぁ、とそう思っていると、小さいしティターニアなんだから、ティニーがいいなと浮かべる空。


「ティニー、何だかくすぐったいよ」


「ティニーって、僕のあだ名?とってもかわいくて嬉しいや!」

「やったぁー!」


 嬉しさからまた踊り出そうとするティターニアの手をつまんで止める。


「仲間、欲しいんだろ?これから他の地脈も操作しに行くから付いてくるか?」

「ここから移動したくなかったら、この下の地脈から魔力引っ張ってきて他の精霊が生まれるの待つことになるけど」


「ううん、大丈夫だよ!神さまと一緒ならどこでも楽しそうだから!」


 キャッキャッ、と楽しげに話す二人を後ろから少し恨めしそうに見つめる影が一つ。

 さっきまで話し相手は私しかいなかったのに……と対抗心を燃やしていたイヴであった。

 そんなイヴの目線を背中に感じまくっている空は、イヴの心象とは裏腹に安心した気持ちでいた。

 それはなぜかというと、この頃、イヴの感情がしっかり出てきている感じがして、子供の成長を見守る親のような気分に浸っている空なのであった。








 そんなやり取りを終えて、空たち一行に妖精のティターニアを入れた三人は、次の地脈の操作兼精霊探しのため、天にまで届きそうな高さの山脈の一つの休火山に来ていた。

 空中を移動している時に、ティターニアが鳥とぶつかるといったアクシデントもあったが、すぐに救助して何とか火口の近くに下り立つ空たち。

 その眼前に広がるのは、ぐらぐらと煮えたぎっている溶岩が。

 その溶岩は、いまに噴火しそうな勢いで沸騰しており、その熱量は離れた火口にまで届んとしていた。

 どんな過酷な環境でも平気な空の身体も、その見るからに暑そうな光景を前にすると、『なんか暑い気がする……』といった風に見ただけで暑さが伝わってくるようであった。

 けれど、所詮は『暑そう』程度。実際に空が溶岩の海に入ったとしても、あまりの熱量に身体が蒸発するなんてことは無く、体感50度くらいのドロッとした温泉くらいに感じるくらいで、空の創造神ボディの頑丈さは留まることを知らない。

 だが、他の二人はというと……


「マスター!あれが溶岩ですか!?お水みたいにブクブクしてますよ!」


 別にどうといったこともない様に初めての溶岩にはしゃぐイヴと、そんなイヴを見て、


「神さまとイヴさまはなんでそんなに平気なのー?僕暑くてクタクタだよぉ……」


 普通に熱気にやられて元気がなくなっているティターニア。

 いつもは空たちの周りを飛び跳ねているのだが、ここでは空の肩に座ってぐったりしている。

 妖精の魔力のみで構成されている体では、普段いる場所と違い過ぎる環境に来ると調子が悪くなってしまうらしいのだ。空も、森と火山って相性的には悪そうだしな、と納得する。




 ぐったりした様子を見かねて、創造神の力で涼しくなるようにしてやろうかと考えた空だが、折角魔法が使えるようになったのだからと、自分の身体に溢れる魔力に意識をやる。

 使いたい魔法は、水蒸気の発生と冷えた風を吹かせるもの。

 魔法のやり方などはてんで知らない空だったが、魔法を使おうとして魔力を練ろうとした時、まるで生まれた時からそれを使っていたかのように、すっ、と魔法が完成する。

 空を中心として、涼し気な霧が混じった風が吹く。

 さっきまでぐったりしていたティターニアが、その風に乗って飛ぶように喜ぶ。 


「わぁー!とっても気持ちいいね!」


「マスター、これが魔法なのですか?」


「うん、地球にあったミストファンを参考にしてみたんだけど、それよりも全然涼しいな」


「きっと神さまの魔力がすごいからだよー!ふっふー!」


 今までのお調子な感じを取り戻したようで、楽しそうに空たちの周りを飛んで遊んでいた。

 ティターニアの魔力の残滓である淡い緑光と、火口の赤い光がともに輝き合い、イヴも息を呑むような非現実的な美しさを描き出していた。

 





 ティターニアの暑さ対策も出来たので、霧の風を纏って溶岩の傍に向かっていく空たち。

 実際には大して暑さを感じていない訳だが、近寄るごとに溶岩の熱気により周囲の景色が歪むの見て、普通の人間の身体でここに来たら……考えて背中が寒くなる空。

 溶岩に触れる位置まで後十数歩という所まで来て、異変に気付く空。


「イヴ、気付いてるか?」


「はい、溶岩の活動がより活発になっています」

「それに溶岩の下……?でしょうか、強い魔力と……申し訳ありませんマスター、溶岩のせいで生体検知が効きません」


 いつの間にか魔力を感じ取る力を手に入れていたイヴ。

 ホムンクルスならではの高い環境順応能力を利用して、すでに魔法が存在する世界の環境にも慣れて行っていた。きっとこれから、魔力を用いた生体検知も使えるようになるだろう。


「強い魔力ね……」

「精霊だったら全然いいんだけど……」


 ニューアースに魔力を創造したのはつい先程の話だが、すでにその魔力に適応して魔物として進化を遂げている可能性を否定できない空。

 最大限の警戒をし、イヴとティターニアを背中に下がらせて溶岩の海に向かって呼びかける。


「溶岩の下にいる者よ!出て来てくれないか!話がしたいんだ!」


 創造神の力により、どんな生き物であっても意思があれば会話することが出来る空。

 溶岩の下にいる何かはその意思のあるものらしく、空の呼びかけに反応し、ザッパァ、と溶岩から飛び出て来た。


 「何者だ……?我の眠りを妨げる者は……」


 それは、トカゲの形をした精霊であった。

 けれど、その体躯は空たちを見下ろすほど大きく、体表は赤熱したような厚い鱗を持っており、その身に宿す魔力は、名付けにより進化しつつあるティターニアと同等の魔力量であった。

 こちらを睨むぎょろりとした相貌と目を合わせあう空。

 眠りを妨げると言っていたように、少し虚ろな瞳のトカゲの精霊。

 その後ろでは、大きなトカゲの精霊に目を輝かせているイヴと、「あっつぅーい」と軽口を叩くティターニアがおり、何とも格好の付かない様子の空であった。

 そんな空を睨みつけていたトカゲの精霊であったが、しびれを切らしたのか、その口を開いて一言。




「我らが神よ……お会いしとうございました」




 そう言って、その大きな頭を空に向かってペコリと下げたのだった。


「く、苦しゅうない」


 情けないかな、創造神高橋空。

 自分の子供ともいえるような精霊に向かって、その体が放つ気迫にビビッて返事もおぼつか無くなるのであった……



遅れて申し訳ありません……


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