21 妖精と核の魔力と頼み
困惑した顔を見せる半透明の小人に驚きを隠せないイヴ。
「私は、イヴ、創造神の従者であり、そこで地脈の操作をしているのが、この星の創造神である空様です」
「神さま?やっぱりそうなんだ!」
イヴたちが神の一行だと知ると、その顔をぱぁっと明るくして木の枝からふわふわとこちらに落ちてくる小人。
やがてイヴの頭の高さまで下りてくると、その周りをゆっくりと踊るように回り始めた。
近くに来たため小さい人の形をしている、という情報の他に、腰くらいまで伸びた長い髪や可愛らしい顔つきをしたこぶし2つ分くらいの小人であるというのが分かった。
人の形をしているが、性を断定出来るような性器や特徴は無かった。
「なんだかすごい魔力が近くに来たから見に来たんだけど、やっぱり私たちの神さまなんだ!」
「は、はい、私はマスターの従者ですので、その創造神様はそちらにいる空様ですが……」
どんな生き物が襲いかかってくるかと身構えていたので、とても友好的な小人に少し困惑するイヴ。
好奇心旺盛な小人に質問攻めにされ、マスターがいないのでどうしようかと、あたふたし始め頃、森の地脈の操作が終わったのか、頭上に?を浮かべていそうな口調で話しかけて来た空。
「イヴ……その妖精にしか見えない子は一体……?」
「あ、マスター!早く代わりに話してあげてください!」
魔力の操作に疲れていたためにぼんやりしている空の背中を押して、半透明の小人の前に押し出すイヴ。
イヴがあたふたしていようがお構いなしに質問攻めにしていた小人が、空が目の前に来た瞬間にその目を更に輝かせて言う。
「あなた!あなたが神さまなんでしょ!?」
「よく分からないけどずっと会いたかったの!」
「お、おう、よろしく」
「俺は、高橋空。この星を創った創造神だけど……君は?」
「うーん、分かんない!」
「気付いたらこの森にいて、気付いたら私の魔力に似てる人たちが近くに来たから観察しにきたの!」
「そっかぁ……」
空は脳内で目の前の妖精らしき生き物について考察する。
妖精は、膨大な魔力のみで出来ている小さい人型の生き物、それ以外の物質では構成されていないように感じとれる。
そのような特徴を持つ生き物は空の知識上には一体しかおらず、それは、精霊や妖精といったファンタジー上の種族。
目の前の子は人型なので妖精と呼称するべきであろう。
そんな妖精は、どういう原理か羽もなく浮かんでおり、その浮遊に僅かに魔力の使用を見受けられる。
空は理解する。目の前の生き物は間違いなく妖精であると。
おそらくだが、創造神の創造の力、無意識にそうであればいいなという僅かな方向性を読み取って、創造に適用する機能により生まれた種族であると考察した。
無意識で魔法があるなら妖精とかもいるだろうと想像した結果なので、妖精の詳細な設定を全く知らない空。
妖精とは何か教えろ、そう念じようとするがこういった情報の整理はイヴの得意分野だと思い返し、イヴに目の前の生き物についての情報を教えてと頼む。
イヴがその命令を聞き、目を閉じ数秒。
イヴは精霊、もとい妖精の詳細な設定を語りだした。
妖精も少しは自分のことが気になるらしく、空と共に静かに聞き入っていた。
イヴが語ったこの世界における精霊の設定、それを聞いた空は心の中で、やっぱ精霊ってそういうもんだよね、と深く納得していた。空の無意識下で適用された設定なので、空にとって最も馴染みがあるのは当然であったが……
肝心の精霊の主な設定は以下の通り。
・魔力のみで構成される半実体の生き物
・精霊側が許可しない限り、不可視や不干渉の実体になれる
・その多くを魔力で構成されているが、魔物ではなく、精霊という一つの特殊な括りになる
・発生条件は、魔力の濃い場所で、一定量の莫大な魔力が集まると極小の確率で生まれる
・恐ろしく強い魔力を持った意思のあるものが近くにあると、それに感応して生まれることもある
・基本的に、生まれた場所の特色に合わせたの魔法が大体使え、保有魔力量も、自由に浮かぶ魔力の使用も上手い(森で生まれたなら、風や植物や動物を操る)
・精霊は、全体の種族の括りであり、妖精は、人の形になることの出来る精霊を指し、無形の精霊と比べると、有形の精霊は大きな魔力を持っていることが多い
・性格があり、精霊ごとに違うぼんやりと性格を持ち、妖精になると容姿やしっかりとした意思を持つ
・全体的に、似た魔力を持つものに惹かれやすい(魔物、魔族ともに)
といった設定であり、目の前の精霊は人型なのでやはり妖精であり、空たちを観察しに来たのも空が持つ多量の魔力に惹かれて来たのだろうと考えた空。
そうして考察していくと、ちょっとした疑問点があることに気付いた。
「なぁ妖精ちゃん」
「なぁに神さま」
「俺の魔力が君の魔力に似ているから来たって言ってたよな?」
「うん!神さまだけじゃなくて、イヴさまもとっても似ているよ、同じって言ってもいいんじゃないかな」
「だから、神さまたちのことは大好き!」
「そっかぁ」
何故空がこの質問をしたか、それは、ニューアースから生まれた妖精がどうして空と似た魔力を持っているのか、という疑問だった。
空という個人が持つ魔力、ニューアースという惑星の核から地脈を流れて地に漏れ出る魔力から生まれた妖精。その二つの魔力がほぼ同じという事実、その出来事に分かりやすい答えを見出すなら。
その思考に、とある仮説を思い付く空。
それには、イヴのアカシックレコードを用いる必要があるため、イヴに対して質問する。
「イヴ、俺の持っている魔力とニューアースの核の魔力は同じものか?」
「……マスターの仰る通りです。マスターの魔力とこの惑星の核の魔力は全く同じものです」
「私の得た情報によれば、魔力自体を創ったのがマスターですので、自然とその魔力の核もマスターと同じ魔力になる……とのことです」
「やっぱりか……うん、ありがとうイヴ」
ぺこりと礼をして一歩後ろへ下がっていくイヴを横目に、今得た事実を元に情報を整理していく空。
今空の目の前にいる妖精は、空と同質の魔力が意思を持って生まれたもの。
ニューアースの核は空と全く同じ魔力なので、このままではこれから生まれてくる魔物や魔族、精霊といった魔力を元にして生きる生き物全てが、空の魔力を持って生まれてくる。
空の内心的にそれは、ナシだった。
何故ナシか、それは、
(冒険するときに、魔力に関係するやつ大体が俺と同じ魔力なのは何かキモいな……)
という気持ちからだった。
空が何時か冒険をしにニューアースに下り立った時、襲い掛かってきたりした魔物が同じ魔力なのは何か倒しずらいと感じており、妖精がこうやって好いてきているのと同じように魔物や魔族全員に好かれまくるのも何だかな……という理由であった。
だが、そもそも論として、自覚はしていないが現在空の持っている魔力は神の力により無限であり、その魔力量を感じ取った野生生物が騒いでいたため、森が何だか不気味になっていたのであった。
また、目の前の妖精は転移してきた空の魔力の影響をもろに受けており、その妖精が生まれたのも、空の漏れ出た異常な量の魔力に反応して森の中の魔力が集まって生まれた妖精であるので、惑星の核の魔力云々の話はあってもなくても同じ好かれ方をしていたのだが、現在自分がどれ程の魔力を持っているか把握出来ていない魔法ド初心者の空にそれをそれを気付けというのも無理な話である。
そんな魔法初心者の空は、ニューアースの核の魔力の問題を、魔力が周囲の環境に合わせて僅かに変質していく、という設定になるように念じ、核の魔力は同じでも、地上に出てくる魔力はマグマの遅い流れに合わせて完璧に違う性質のものになる、という対抗策をとったのだった。
けれど、その対抗策には穴があり、地脈の流れ、つまり魔力が多い地域では少なからず空の、創造神の強い魔力を元にして生まれてくる種族が出来ることになったのだった。
そして、その魔力が多い地域とは、空が今から地脈を操作して創ろうとしている地域であり……
実は穴だらけの対抗策に気付かず、いい仕事が出来たと思って一息ついている空。
そんな空に、妖精がねえ神さま、とある頼みごとをしてきた。
それは、
「仲間が欲しいの!」
という生き物ならば当然の願いであった。
だが、妖精の、精霊の仲間の集め方というよく分からない問題に、んー、と唸ることしか出来ないのであった。
設定が一杯だぁ……
妖精や魔力の設定は基本的に普通のものと同じです。
何か違う点があったら、その都度物語内で解説が入るかと。
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