ep13. 新米弱小冒険者、遂にスライムを討伐しました。
スライム討伐中、何度も死に戻りを繰り返し、途中で心が折れそうになった。
だがティナが励ましてくれたお陰でまだまだやれそうだ。
「1体でも3体でもかかってきやがれスライム共!!こっちだって一人じゃねえんだ!!」
クロスボウを引き、矢を装填する。
「“風縫い”ッ!“ゼファーショット”!!」
スライムに向かってスキルを続けざまに放つ。1体を拘束し、他のもう1体を風を纏った矢で攻撃する。
「レイさん、後ろから来てます!!」
背後から飛びかかってくるスライムを躱し、射撃する。
「サンキューティナ!」
後方を守っているティナに声をかける。
「お安い御用です!」
その後も俺はティナと連携を取りながら攻撃を進める。
…だが。
「やっぱりこいつら全然死なねぇ!」
レベル差が大きすぎるからだろうか。かなりの時間戦闘しているがいつまで経っても倒せる気がしない。…魔力瓶の数が心許なくなってきた。
「このままだと…ジリ貧で負けだな…。」
一度死に戻りをすれば資材は返ってくるか?
やはり一度自爆を受けるべきか。いやでもな…結構爆発しんどいんだよな…。熱風と衝撃が結構つらい。
…いや待てよ?
「ティナ!」
俺の後方で警戒しているティナに声をかける。
「どうしましたかレイさん?」
「もしかしたら今の状況を打破できるかもしれない。」
正直一か八かの手段だが、このまま何もしないままだと確実にいつかはやられる。
「本当ですか?!」
「あぁ、だが少し危険な手段だ。ティナは下がっていてくれるか?」
加護があるとは言ってたが、もしもの事に備えてできればティナには安全な場所へ下がっていて貰いたい。
「で、でも…」
おそらく俺の役に立ちたいというやる気があるのだろう…。だが、やはり何かあったらと気にしてしまう。
「もし万が一の時があったら危ないだろ?ティナを危険な目に合わせたくないんだ。」
そう言うと、ティナは納得したように頷いた。
「わかりました。そういう事なら大人しくしています。…でも、どうか無理はしないでくださいね?」
…無理しないのは不可能な気はするが、できるだけティナの言う通りにしよう。
「あぁ。わかった。」
そして俺は覚悟を決めてクロスボウを構える。
「それじゃあ…俺に任せとけ!!」
勢いよく駆け出し、スキルを放つ。
「“風縫い”ッ!!」
1体身動きをスキルで封じる。
そして近くにいた他の1体に接近する。
「おらっ!こっちへ来てみろスライム!」
するとスライムはこちらへの距離を素早く詰め、自爆の構えを取る。
「今だ!“追い風”ッ!!」
そして自爆する刹那、移動速度を上げるスキルを使用し距離を取る。
そして縫い付けにされたスライムは逃げることのできないまま自爆に巻き込まれた。
「どうだ!仲間に自爆特攻する気分は!!」
…自爆特攻したスライムはもういないんだけどな。
爆発に巻き込まれたスライムは、そのダメージで苦しんでいる。
「よしビンゴ!」
思った通りだ。低レベルの俺が余裕でワンパンされるくらいの火力、いくら高レベルのスライムと言えども軽傷では済まないだろう。
拘束スキルの効果が切れたスライムは、再び俺に襲いかかろうとしていた。
「させるかよ!!“風縫い”ッ!!」
もう一回スキルで縛り付ける。
…この世界の魔物はあまり賢くないのか?
「ほらほらお前も来いよ。クソスライム。」
もう1体をまた近くまで引きつける。そして再び自爆しようとするのでギリギリで避ける。
「これでどうだ!!」
そして縛り付けられているスライムはまた爆発に巻き込まれる。…すると縛り付けられていたスライムは流石に2連続で爆発を喰らったのは身に堪えたのか、満身創痍の様子で出てきた。
「すごいですレイさん!!…やり方は少し卑怯な気もしますが。」
「気にしたら負けだ。」
そもそも圧倒的レベル差があるのだ。正々堂々やって勝てる訳がない。
「それじゃあ…これでトドメだ!!“ゼファーショット”ッ!!」
クロスボウを引き、矢を放つ。風を切り裂く矢に貫かれたスライムは、最後に小さく破裂し、そのまま絶命した。
「勝った…!」
遂に、遂にこの世界で魔物を討伐することができた。一生勝てずにこのままかと思っていたが、なんとか踠いて抗って勝利することができた。
「やりましたねレイさん!!」
「あぁ!!」
ティナとハイタッチを交わす。
コイツに背中を安心して任せられたのも大きかった。ティナには感謝しないとな。
「何度も背後からの攻撃を教えてくれて助かった。…ありがとな、ティナ。」
「いえいえ〜、朝飯前ですよ〜!!私もお役に立てて良かったです!!」
親指を立ててグッドをすると、嬉しそうな様子でティナが返す。
「この世界初の魔物討伐ですね〜レイさん!折角ですし今日は派手にお祝いしちゃいましょ〜!!」
「おいおい…あんまりはしゃぎすぎるなよ…?」
とはいえ凄く嬉しいのもまた確かだ。ちょっとくらい贅沢するのも悪くないかもしれない。
「いいじゃないですかレイさ〜ん。…さっ!まずはスライムの討伐をギルドに報告しちゃいましょ〜!!」
それにしてもやっぱり疲れたな…。戦いを終えたせいで急にどっと疲れが押し寄せてきた。今日はゆっくり休むとしよう…。
そんな事を考えながら、俺はティナとラストリアへ戻るのであった。




