ep12. 挫けそうになりましたが、なんとか諦めずに戦い続けることにしました。
スライム1体を倒せず長期戦を強いられていたが、そのスライムが仲間を呼んで合わせて3体になっていた。
「…やるしかない、いくぞ!!」
何体来ようがやる以外の選択肢はない。腹を括り、俺はクロスボウを構え直した。
「“追い風”ッ!”ゼファーショット“ッ!!」
移動速度を上昇させるスキルで距離を取りながら、攻撃スキルでダメージを与える。
これが現状最も安全な戦法だろう。だが、スキルを使用しても大ダメージとはいかないし、連射できるものでもない。
このままだとジリ貧で負けてしまう。これ以外の策を考えなければならない。
…どうする、俺。
「レイさん!後ろ!!」
「危ねっ!!」
ティナの声がしたので、後ろを振り向く。
3体のうちの1体が気付かぬ間に距離を詰めていたようで、背後から飛びかかってきた。
急いで後方に飛び、距離を取る。
「チッ!こっちもかよ!!」
避けたと思えばまたその先に他のスライムがすぐ近くにいた。再び攻撃を躱す。
…流石に数が多いと厳しいか?
「これで大人しくしとけ!“風縫い”ッ!!」
一匹をスキルで縫い付けにし、動きを封じる。これで少しはマシになるといいんだが。
「横から来てます、レイさん!」
またもやスライムが攻撃をしてこようとするので何とか距離を取ろうとして飛び退ける…が。
「クソッ!!」
飛び退けた先でまたスライムがいる。ずっと戦いっぱなしだったからか集中力が鈍り、足を躓いて横転してしまった。
「一旦逃げて体制を立て直さないと…。っておいマジかよ」
スキルの効果も切れたのかスライムに素早く周囲を取り囲まれ、逃場を失う。
3体からの連続した攻撃を避け続けるのは中々困難を強いられる。
「レイさん!!」
どうにか距離を置こうと踠くが、横転したまま動けない。
そしてそのまま自爆に巻き込まれ、俺は死亡してしまった。
——その後もスライムに敗れてしまい、ループを繰り返す。
だが挫けずに何度も討伐を試みる。
が、長時間の戦闘で疲労が重なっているからか、集中力も体力も切れてきてしまう。
「何度やっても勝てない…万策尽きたか」
魔王討伐を目標としてきたが、いくらレベル差があるとはいえ、
スライム程度を倒すのにここまでかかってしまうとは、もう無理なんじゃないか?
もういっそのこと諦めてのんびり暮らすというのは…
「諦めないでくださいレイさん!!!」
そんな風に考えていると、ティナが俺を鼓舞するように言う。
「こんな所でやられっぱなしで良いんですか!?悔しくないんですか?!」
「…そりゃあ悔しいが、もうこの状況を打破する手段が…」
悔しくない訳はない。
だが、何度もボコボコにされ精神的にも追い込まれてきている。
正直もうやめたいと何度も思った。
「そんな簡単に諦めちゃうんですか?!私は嫌です!」
だがティナはこんな状況になっても諦めずに俺に言葉をかけ続ける。
…ティナは諦めてなんかない。
彼女はこれまでのループでもいつも俺の近くでスライムからの攻撃に備え、
そして俺を気にかけて声をかけ続けてくれた。
…そうか。
「ティナ!」
俺の呼びかけにティナが応じる。
「どうしましたかレイさん?」
「俺はスライムからの攻撃を避けながら攻撃をする。…ティナは後方からの攻撃に注意しながら何かあれば俺に知らせてくれ。」
いつもの元気な様子で俺の後方へ回り込む。
「わっかりました〜!!私に背中は任せちゃってください!」
ティナは道案内でうまくいかず残念そうにしている所も見せていた。
だがいつも元気に振る舞ってくれているし、やる気に満ち溢れている。
…俺もこんなところで諦めてちゃダメだな。
「いつも気遣ってくれたりして助かってる。…頼りにしてるぞ、ティナ!!」
「はい!!」
叫びにティナが応じる。
俺も再びクロスボウを構え、走り出す。
「1体でも3体でもかかってきやがれスライム共!!こっちだって一人じゃねえんだ!!」
魔王討伐という目標を達成しなければならない。
そのためにも、こんな所で挫けてはいられない。
「何度ループしたってお前らを倒すまで俺は諦めないぞ。…死ぬまでな!!」
魔王討伐のため…ティナのため。俺はもう諦めたりなんかしない。
そう、覚悟を決めた。




