表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
硝子玉の宇宙、箱庭の娘たち【旧版】  作者: 硝子玉の宇宙
長編-わたしたちじゃない箱庭の娘たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
90/135

第90話-枯れない花の記録

第七会議室は、完全に閉じられていた。


遮音術式四重展開。

記録制限。

外部干渉遮断。

魔力残滓の自動分解。

室内通信、局長権限以外すべて遮断。


惑星監理局の中でも、ここまで厳重に閉ざされる会議は多くない。


卓上には、現地から回収された古い記録端末が置かれていた。


外装はひび割れ、端子は錆び、記録媒体の半分以上は劣化していた。

だが、情報班と技術班が復旧した。


復旧してしまった。


ジェレミー・クリエットは、椅子に座っていた。


正面の壁面投影には、黒い画面。


その横に、副長。

調査班長。

情報班主任。

医療班主任。

精神保護室長。

倫理監査主任。

魔術制御部長。


誰も話さない。


情報班主任が、確認するように言った。


「再生前に、もう一度確認します。これは現地地下施設から回収された記録端末内の映像です。時系列は一部欠損。音声も乱れています。ただし、主要部分は復元できています」


ジェレミーは短く答えた。


「再生しろ」


情報班主任は、一瞬だけ目を伏せた。


それから、再生を開始した。


黒い画面に、光が入る。


最初に映ったのは、花畑だった。


風が吹いている。


小さな白い花。

淡い紫の花。

綿毛のように空へ舞う草花の種。

薄い青空。

遠くに丸い丘。


あまりにも穏やかな映像だった。


その中心に、少女が座っていた。


小さな娘だった。


レトより小さい。

ロジーよりは少し大きい。


それくらいの背丈に見えた。


髪の色は、光の加減で淡く揺れている。

瞳は大きく、表情は幼く、何も疑っていない顔をしていた。


少女は花畑の中に座り、両手で花びらをすくっていた。


風が吹く。

花びらが舞う。

綿毛が浮かぶ。


少女はそれを見上げて、笑った。


音声は少し割れていた。


けれど、その笑い声だけは、妙にはっきり残っていた。


「……」


会議室の誰も、動かなかった。


ジェレミーも動かなかった。


映像の中で、少女は花を摘んでいた。


一本だけ。


小さな花を、折らないように、丁寧に。


それを胸元に持ってきて、にこにこと眺める。


何かを話しているようだった。


言葉は復元できていない。


ただ、嬉しそうだった。


次の瞬間、画面の端に影が入った。


複数の人影。


全身装甲。


規格不明。


通常の星間治安装備でも、軍用外骨格でも、監理局が把握している既存規格でもない。


黒に近い灰色の装甲。

頭部を覆う密閉兜。

肩から背にかけて走る魔術増幅器。

腕部には拘束具らしき装置。

胸部には、所属を示す紋章があったが、映像の欠損で読み取れない。


少女は、人影たちを見た。


最初は、何も分かっていない顔だった。


警戒していない。


逃げようとしていない。


ただ、知らない人間が来たのだと思っている。


少女は花を握ったまま、にこにこ笑った。


一歩、近づく。


装甲の一人が、腕を上げた。


音声が乱れる。


次の瞬間、拘束術式が展開された。


白い輪が、少女の手首、足首、首元、胴体へ走る。


少女は倒れた。


花が、手から落ちそうになる。


少女は理解できていない。


何が起きたのか分からない。


けれど、身体は恐怖を理解した。


もがく。


声を上げる。


逃げようとする。


拘束術式が締まる。


少女の笑顔が崩れた。


映像はそこで乱れた。


花畑の光が、白いノイズに変わる。


次の場面。


小さな部屋。


窓はない。


壁は灰色。


床には薄い術式線が引かれている。


部屋の隅に、少女が縮こまっていた。


膝を抱えている。


拘束具は見えない。


だが、部屋全体が檻だった。


少女は震えていた。


手には、一輪の花が握られている。


花畑で摘んだ花。


捕らえられる前に持っていた花。


少女はそれを、両手で潰さないように抱えていた。


画面の外から声が入った。


男の声。


感情の薄い声。


『対象、覚醒。拘束後十八時間経過。言語反応、不明瞭。既知人間言語との一致なし』


少女が何かを言う。


小さな声。


音声は潰れている。


ただ、泣いているのは分かった。


『情緒刺激への反応あり。花弁を保持。対象物に対する執着を確認』


別の声が言う。


『魔力生命体である可能性が高い。外見年齢は幼体。生体構造は人間型。血液様液体あり。魔力循環、通常生物と異なる』


少女は、花を抱えたまま部屋の隅にいる。


扉が開く。


白い服の人間たちが入ってくる。


少女が後ずさろうとする。


逃げ場はない。


そこで、映像が切り替わった。



以後の記録は、断片だった。


実験記録。


反応記録。


研究記録。


魔力特性調査。


術式干渉試験。


再生反応観測。


情緒刺激試験。


採取記録。


映像は、淡々と切り替わっていく。


泣く少女。

眠っている少女。

術式陣の中央に座らされている少女。

知らない器具を見て震える少女。

花を奪われそうになって必死に手を伸ばす少女。

花を返されて、ほんの少しだけ落ち着く少女。


記録者の声は、どの場面でも変わらなかった。


『対象、恐怖反応あり』


『対象、接触拒否』


『対象、発声。意味解析不能』


『対象、魔力出力低下』


『対象、花への執着継続』


『対象、睡眠中も花を保持』


『対象、拘束術式に対する耐性なし』


『対象、魔力生命体としては極めて低出力』


『対象、攻撃意思なし』


『対象、逃走意思あり』


ジェレミーは、画面を見ていた。


瞬きは少なかった。


背筋は崩れない。


手も動かない。


ただ、目だけが映像を追っていた。


医療班主任が、途中で拳を握った。


精神保護室長は、口元に手を当てていた。


倫理監査主任の表情は硬い。


副長は笑っていなかった。


映像はさらに進む。


少女は日に日に弱っていった。


最初は泣いていた。

次は、泣く力が弱くなった。

その次は、声が出なくなった。

次は、目だけで人間を追うようになった。


花だけは、ずっと握っていた。


小さな花。


しおれているのに、枯れきらない花。


画面が切り替わる。


少女の片腕がなくなっていた。


会議室の空気が、凍った。


誰も声を上げなかった。


映像そのものは、詳細を映していない。


復元の欠損か、記録者が意図的に切ったのか。


ただ、結果だけが映っていた。


少女は寝台の上に横たわり、残った手で花を握っていた。


記録者の声。


『欠損部位、再生反応なし』


別の場面。


片目が覆われていた。


『視覚器官採取後、魔力循環変化を確認』


また場面が切り替わる。


少女はさらに小さく見えた。


体格が変わったわけではない。


ただ、存在の輪郭が削られていた。


『魔力生命体の身体再生が機能していない』


記録者の声は、相変わらず平坦だった。


『仮説。対象は通常の再生型魔力生命体ではなく、環境依存型の幼体成熟個体。捕獲環境下では自己修復条件を満たせない可能性』


別の声。


『生体サンプルは取れた』


少しの沈黙。


『この検体の役割は終わる』


そこで、映像が途切れた。


黒い画面。


ノイズ。


日付不明の次記録。


表示された表題は、短かった。


解剖記録


情報班主任が、思わず再生を止めようとした。


指が動きかけた。


だが、ジェレミーが言った。


「続けろ」


情報班主任は唇を噛んだ。


「局長」


「続けろ」


声は荒れていなかった。


それが、余計に重かった。


再生が続く。


映像は、ほとんど記録としての意味しか持たなかった。


照明。

台。

白い布。

器具の音。

誰かの声。


詳細は、画面の損傷と意図的な秘匿処理で見えない。


見えなくても、何が起きたのかは分かった。


少女の声は、もうなかった。


記録者が言う。


『対象、生命活動停止』


別の声。


『魔力循環、消失』


また別の声。


『残留物を確認。花一輪』


画面が切り替わる。


小さな部屋。


最初に少女が縮こまっていた部屋。


その隅に、一輪の花だけが残っていた。


しなびている。


花びらは乾き、茎は細く、色は失われかけている。


それでも、枯れていない。


床の上に落ちているのではない。


誰かが最後に置いたように、部屋の隅にある。


少女がずっと抱えていた場所。


記録者の声。


『対象消失後も花の完全枯死を確認できず』


別の声。


『残留魔力あり。由来不明』


『保存対象か』


『不要。施設放棄準備を優先』


映像の奥で、警報音が鳴った。


それまでの淡々とした空気が、初めて乱れる。


足音。


叫び声。


遠くで爆発音のようなもの。


誰かが怒鳴る。


『侵入だ!』


『どこの組織だ!?』


『記録を消せ!』


『サンプルを持て!』


『撤退しろ!』


カメラが傾く。


廊下を走る足。


倒れる機材。


白い服の人間たちが逃げていく。


音声は乱れ、画面は揺れ、最後に、あの小さな部屋が一瞬だけ映った。


部屋の隅の花。


しなびているのに、枯れない花。


そこへ、何者かの影が差した。


次の瞬間、映像は切れた。


黒。


再生終了。


会議室は、静まり返っていた。


誰もすぐには話さなかった。


端末の駆動音だけが、低く鳴っている。


情報班主任は、再生終了画面を見つめたまま動けなかった。


医療班主任は、机に置いた手を強く握りしめていた。


精神保護室長は目を閉じている。


倫理監査主任は、顔色を失っていた。


副長は、ゆっくり息を吐いた。


「……局長」


ジェレミーは返事をしなかった。


黒い画面を見ていた。


そこにはもう、花畑も、少女も、装甲の人間たちも映っていない。


ただ、自分の顔が薄く反射しているだけだった。


ジェレミーは、静かに言った。


「もう一度、冒頭を出せ」


情報班主任が顔を上げる。


「冒頭、ですか」


「花畑の場面だ」


情報班主任は操作した。


画面が戻る。


花畑。


風。


綿毛。


少女が座っている。


少女は花びらに囲まれ、笑っていた。


それは、ほんの短い映像だった。


捕まる前。


知らない人間を見て、まだ笑っていた頃。


レトでもない。

ロジーでもない。

エルでもない。


けれど、箱庭の娘だった。


硝子玉の宇宙で生まれた、魔力生命体の少女。


人間に近い身体を持ち、花を好きになり、笑い、怖がり、痛み、弱り、死んだ。


ジェレミーはその映像を見ていた。


「この時点では、対象は攻撃していない」


調査班長が答える。


「はい」


「抵抗もしていない」


「はい」


「接触者に笑いかけている」


「はい」


「拘束された理由は」


情報班主任が、資料を確認する。


「記録上、明記されていません。推測される目的は、魔力生命体研究および箱庭の娘分類個体の解析です」


「つまり、研究材料として捕獲した」


誰も答えなかった。


答える必要がなかった。


ジェレミーは続けた。


「装甲の所属照合は」


調査班長が言う。


「現時点では該当なし。ただし、紋章片と術式規格から複数候補を洗っています」


「生存研究者は」


「逃走記録以降、不明です。施設放棄からかなり時間が経っています。偽装名義、資金経路、輸送記録を追跡中」


「介入した組織は」


「不明です。音声のみ。監理局の過去介入記録とは一致していません」


ジェレミーは頷いた。


「続けろ。すべて洗え」


「はい」


副長が、静かに口を開いた。


「三名には」


「見せない」


即答だった。


「ロジーが自力で到達する可能性があります」


「だからお願いした」


「それでも、揺らぎます」


「情報班主任」


呼ばれた情報班主任が姿勢を正す。


「はい」


「ロジーのそばにいろ。監視ではない。支援だ。見ないことを選び続けるのは、あいつにとって負荷が高い」


「承知しました」


「精神保護室長」


「はい」


「エルへの説明範囲を最小にしろ。死亡確認、調査中、魔法行使禁止。この三点だけでいい。映像内容は渡すな」


「分かりました」


「レトは私が見る」


副長は、少しだけジェレミーを見た。


「局長ご自身は」


ジェレミーは映像を止めた。


少女の笑顔が、画面に固定される。


花びらと綿毛に囲まれた、小さな娘。


「私は問題ない」


副長は、すぐには答えなかった。


それが事実ではないことを、全員が知っていた。


けれど、誰も否定しなかった。


ジェレミーは問題ないと言った。


それは、傷ついていないという意味ではない。


倒れないという意味だった。


ジェレミーは立ち上がった。


「この記録は最上位封鎖。閲覧権限は私、副長、指定された関係班責任者のみ。複製禁止。引用禁止。教育資料化禁止。感情的共有禁止」


倫理監査主任が頷く。


「承認手続きを即時処理します」


「それから」


ジェレミーは、停止した映像を見る。


「この個体を、検体番号で呼ぶな」


会議室の空気が、わずかに動いた。


情報班主任が、静かに聞く。


「では、記録上の呼称は」


ジェレミーは少しだけ黙った。


名前は分からない。


彼女が自分を何と呼んでいたのか。


どんな声で笑い、どんな言葉で花を好きだと言ったのか。


誰も知らない。


もう、聞けない。


「未命名箱庭個体」


ジェレミーは言った。


「仮称はつけるな。勝手に名付けるな。だが、検体とは呼ぶな」


「はい」


情報班主任の声は少し震えていた。


「記録上、未命名箱庭個体として扱います」


「死亡ではなく、殺害と記録しろ」


倫理監査主任が顔を上げる。


ジェレミーは続けた。


「研究過程で生命活動が停止した、ではない。捕獲され、拘束され、実験され、解剖され、殺害された。記録を曖昧にするな」


誰も異論を挟まなかった。


副長が、静かに頷く。


「そのように」


ジェレミーは会議室を出ようとして、足を止めた。


「花は」


調査班長が答える。


「現地で保全中です。枯死していません。微弱な魔力反応あり。危険性は現時点では確認されていません」


「移送するな」


「監理局へ持ち帰らない、ということですか」


「ああ」


ジェレミーは言った。


「そこに置け。彼女が最後に残したものだ。保全はする。解析は最低限。破壊するな。標本にするな」


医療班主任が、深く頷いた。


「了解しました」


「花畑も荒らすな」


「はい」


「小屋と地下施設は封鎖。花畑は保護区域にする。民間立入禁止。監理局管理下で環境維持」


副長が記録する。


「保護区域名は」


ジェレミーは、少しだけ考えた。


画面には、まだ少女の笑顔が映っている。


花に囲まれていた少女。


人間を見て、笑った少女。


「名称は不要だ」


ジェレミーは言った。


「地図には出すな」



会議が終わったあと、ジェレミーはしばらく一人で残った。


他の職員は退室した。


副長も、何も言わずに最後まで残り、ジェレミーが目で促すと、静かに出ていった。


第七会議室に、ジェレミーだけが残る。


黒い画面。


停止された映像。


花畑の少女。


ジェレミーは、椅子に座り直した。


もう一度だけ、映像を再生した。


冒頭だけ。


花畑。


風。


綿毛。


少女が笑う。


ジェレミーはそれを見た。


捕獲の場面に入る前に、止めた。


画面の中の少女は、まだ笑っている。


まだ何も知らない。


まだ人間を怖がっていない。


まだ花を握っている。


ジェレミーは、画面を閉じた。


完全な黒が戻る。


その黒に、自分の顔が映る。


冷たい顔だった。


機械的で、表情のない、いつもの局長の顔。


けれど、その目だけは違った。


ジェレミーは立ち上がる。


記録端末を封鎖ケースへ戻した。


ロック。


魔術封印。


物理封印。


局長認証。


最後に、手動の封印札を貼る。


そこに書かれた文字は、短い。


箱庭関連記録。最上位封鎖。


ジェレミーは、その札をしばらく見ていた。


それから、部屋を出た。


廊下には、監理局の日常があった。


遠くで職員が書類を運んでいる。

食堂の方から、食器の音がする。

誰かが小さく笑っている。

訓練室の床が、かすかに震える。


その日常の中に、レトがいた。


廊下の端。


生活班の職員に付き添われて、レトが立っていた。


淡緑の髪。

左側のワンサイドテール。

青いキューブの髪飾り。


レトはジェレミーを見つけると、ぱっと駆け寄りかけた。


けれど、途中で止まった。


「お兄さん」


「レト」


レトは不安そうにジェレミーを見上げた。


「お仕事、終わった?」


「一つ終わった」


「……こわいお仕事?」


ジェレミーは答えなかった。


答えないことが答えになった。


レトは俯いた。


「わたし、聞かない方がいい?」


「今はな」


レトの指が、服の裾を握った。


「ロジーも、聞かない方がいいって言われてる」


「ああ」


「エルも、魔法使っちゃだめって」


「ああ」


レトは、小さく頷いた。


「じゃあ、聞かない」


ジェレミーは、ほんの少しだけ目を伏せた。


「助かる」


「でも」


レトは顔を上げた。


瞳が揺れている。


「お兄さんは、大丈夫?」


ジェレミーは、すぐには答えなかった。


レトは、小さな手を伸ばした。


ジェレミーの袖を掴む。


「わたし、聞かない。でも、お兄さんがこわいなら、ここにいる」


その言葉に、ジェレミーは膝をついた。


レトと視線を合わせる。


「怖くはない」


「ほんと?」


「怒っている」


レトは瞬きした。


ジェレミーの声はいつも通りだった。


けれど、レトは分かった。


お兄さんは、怒っている。


大きな声を出さない。

顔も変えない。

でも、すごく怒っている。


レトは、少し迷ってから、ジェレミーに抱きついた。


「お兄さん」


「何だ」


「ぎゅってしていい?」


「もうしている」


「うん」


レトは、もっと強く抱きついた。


ジェレミーは、その小さな背に腕を回した。


映像の中の少女より、少し大きい身体。


温かい。


生きている。


震えている。


守らなければならない。


ジェレミーは、静かに目を閉じた。


レトは何も聞かなかった。


ジェレミーも何も言わなかった。


ただ、監理局の廊下で、しばらく二人はそのままでいた。


その頃、封鎖された第七会議室の奥では。


黒いケースの中で、古い記録端末が沈黙していた。


花畑の笑い声も。


小さな部屋の泣き声も。


研究者たちの淡々とした声も。


逃げる足音も。


すべて封じられていた。


そして、遠い惑星の花畑では。


古びた小屋の地下に続く蓋が封鎖され、その外側で、風だけが吹いていた。


花々が揺れる。


白い花。

淡い紫の花。

薄い黄色の花。


その一角。


保全結界の内側で、一輪のしなびた花が静かに置かれていた。


枯れない。


もう誰も握っていないのに。


それでも、枯れなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の活動場所です! 総合リンクです! TiktokやYouTube、lineスタンプなどの総合リンクになってます!! よかったらみに来てくださいね! 箱庭の娘たちのイラストや動画をAI生成していますっ(*´▽`*) おはなしが気に入ってくださったら、評価やリアクション、ブックマークなどしてくださると、とっても嬉しいです(≧∀≦*)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ