余談-エルの世界
旧世代
旧世代とは、宇宙よりも前から存在している生命体群の総称。
人間や箱庭の娘たちと最も違う点は、
「名前が存在そのもの」
であること。
人間にとって名前は識別子だが、旧世代にとって名前は本質であり、生存理由であり、能力であり、運命そのもの。
例えばエルの本名、
elkore_felico
は、
「本当の幸せ」
を意味する。
だからエルは「幸せのための魔法」なら何でもできる。
逆に言えば、それ以外はできない。
旧世代は万能ではなく、
名前に縛られた存在
である。
旧世代の魔法
旧世代だけが扱える力を、
魔法(想像の魔法)
と呼ぶ。
一般的な魔術とは別物。
魔術が術式や技術によって現象を起こすのに対し、
魔法は
想像した結果がそのまま現実になる。
炎を出したいなら炎を作る工程は不要。
「燃えている結果」を願えばいい。
そのため旧世代にとって、
現実と精神の境界はほとんど存在しない。
旧世代の死
旧世代は肉体が壊れても死なない。
本当の死とは、
名前を否定されること。
存在意義を失うこと。
自分自身が名前を受け入れられなくなったとき。
あるいは名前が意味するものを失ったとき。
それが旧世代の終焉となる。
旧世代と人間
旧世代は人間より遥かに強大。
しかし、人間を支配する存在ではない。
むしろ多くの旧世代は、
人間の宇宙を守るために行動していた。
なぜなら人間は、
旧世代には持ち得ない可能性を持つから。
名前に縛られない自由な存在だから。
現実の宇宙
現実の宇宙は、
ジェレミーが生まれた本来の宇宙。
人類が存在し、
星々が存在し、
科学によって発展した世界。
監理局のある硝子玉の宇宙とは別の宇宙である。
ジェレミー
ジェレミー・クリエットは、
元々この現実宇宙の人間だった。
何らかの理由で硝子玉の宇宙へ迷い込み、
帰還できなくなった。
現在は惑星監理局局長として活動している。
つまり監理局は、
異世界から来た人間が率いている組織でもある。
現実宇宙と旧世代
旧世代は現実宇宙にも存在していた。
だがその力はあまりにも大きい。
名前に縛られた存在であるがゆえに、
宇宙そのものへ影響を及ぼす。
そのため多くの旧世代は、
自ら眠りについたり、
隔離されたり、
別宇宙へ移ったりした。
エルもその流れの延長線上にいる。
硝子玉の宇宙
エルが創った閉ざされた宇宙。
巨大な硝子玉の内部に存在する。
外側には、
本当に硝子の壁がある。
なぜ作られたのか
最大の目的は、
現実宇宙を壊さないため。
旧世代の力は強すぎる。
エルが本気で願えば、
現実宇宙そのものへ影響を与えてしまう。
だからエルは、
自分のための宇宙を創った。
それが硝子玉の宇宙。
エルの脳
硝子玉の宇宙は、
比喩ではなく、
ある意味でエル自身でもある。
エルの思考領域。
エルの精神構造。
エルの内側。
その一部を人間が住める形に整えたもの。
だからエルは、
この宇宙のあらゆる場所へ干渉できる。
それでも支配しない理由
エルは宇宙の創造者。
本来なら全てを思い通りにできる。
しかしそうしない。
なぜなら、
人間が必要だから。
エルは人間を愛している。
でも理解はできない。
だから観察する。
学ぶ。
一緒に暮らす。
人間の営みを見る。
そのために自由意思を持つ他者が必要。
全てを管理してしまったら、
観察する価値がなくなる。
生物が消えたら
硝子玉の宇宙では、
生物の営みそのものが重要。
人々が生き、
考え、
笑い、
泣き、
願う。
それが宇宙を維持する循環の一部になっている。
もし完全に生命活動が失われれば、
エルは衰弱し、
最終的には死ぬ。
そして硝子玉の宇宙も消滅する。
三者の関係
まとめると、
現実の宇宙 ↓ 人類が暮らす本来の宇宙。 ジェレミーの故郷。
旧世代 ↓ 宇宙より古い存在。 名前そのものが存在意義。 想像の魔法を使う。
硝子玉の宇宙 ↓ 旧世代エルが現実宇宙を守るために創った隔離宇宙。 現在の監理局や箱庭の娘たちが暮らす世界。
そしてエルは、
現実宇宙を壊さないために硝子玉の宇宙を作り、
人間を理解するために人間と共に暮らし、
その結果として生まれた存在が、
レトやロジーを含む
箱庭の娘たち
である。
硝子玉の宇宙は単なる異世界ではない。
それは旧世代エルが人間を愛した結果、生まれた宇宙そのものである。




