4 町のおまわりさん
巡っていかねばならない場所はまだある。
次は治安をあずかるという名目をたててるお仕事だ。
「よう、どうした」
愛想はないが突き放す調子はない。
そんな声がヒロトシに向かう。
「仕事だよ。
あぶない事が起こりそう」
「ふーん」
気のない声を漏らしながら、しかし相手は真剣さをかもしだす。
まがりなりにも警察官として職務に励もうとしていく。
裏通りといえども完全なる無法地帯ではない。
表に問題が出てこないように政府も動いてる。
場合によっては中に踏み込んで、問題を殲滅する事も。
その最前線にいるのが、ヒロトシが会いに来た無愛想な男、警察官である。
警察の最底辺であるお巡りさんを中年になるまで続けてきた男。
起こした数々の騒動で出世は出来ないが、鎮圧した事件の数が多さが解雇を打ち消してる。
そんな危ないお巡りさんにも起こりそうな事を伝えていく。
「今度、あぶない奴らがこのあたりに来るかも」
「分かった」
返事は短い。
だが、それだけで十分だった。
「気にしておく」
「そうしてくれ」
短い言葉には様々な事がこめられている。
周りの警察官に声をかけておく事。
現場にはそれなりの人員を配置しておく事。
それ以前に、巡回を増やして周囲に警告などを伝えておく事。
最悪の場合は自分も防弾チョキを着込んで突入する事。
これまでの付き合いから、このお巡りさんがこんな事をするのがヒロトシには分かる。
暴動、騒動、様々な事件。
それらに首を突っ込み、単身乗り込んで。
首謀者と実行犯を見つけて処分する。
上層部の意向などを無視して。
おかげで出世は出来ないが、町はギリギリの治安を保っている。
こんなお巡りさんを慕う、同調する者も多い。
これらが警察署内で勢力を作り、町の治安を保っている。
やり方が物騒なのはご愛敬。
穏便な方法が通じない世の中だ。
説得よりも銃弾を撃ち込んだ方が早い。
そんなこの世の道理に沿って行動するお巡りさんだから、ヒロトシはお願いを持ち込む。
この男ならやってくれるだろうと見越して。
「使えそうなものは用意しておく。
好きなだけ使ってくれ」
「おう」
これで作業の話は終わった。
仕事の依頼ではない。
だが、自分のやりたい事をやるために動き出していく。
お巡りさんは仲間に声をかけに。
ヒロトシはまだ巡るべき相手のところに。




