3 インターネットの探索とゴミ拾い
「なるほどね」
2件目はなじみのネットワーカー。
インターネットという通信網に頭から突っ込んでる者。
裏通りで出会った貴重な人材だ。
そんな彼も有無を言わずに協力してくれる。
「調べてはみるよ。
ただ、情報が出てくるかは分からないけど」
「かまわないよ。
何もなくてもしかたない」
ヒロトシとて確信があるわけじゃない。
探して何が見つかれば儲けもの。
そうそう貴重な情報などみつかるものではないと割り切ってる。
「ただ、妙な動きが少しでも見つかればいいなってね」
「ここにいるのは妙なやつばかりだよ」
ネットワーカーは笑いながら接続コードをつないでいく。
後頭部から飛び出してる接続端子に。
これがコンピュータにつながれば、頭の中にインターネットの情報が流れ込んでくる事になる。
体と機械を接続する技術の一つだ。
「それじゃ、行ってくる」
「気をつけてな」
「はいよ。
脳が焼かれないようにがんばるさ」
そう言ってネットワーカーはコンピューターを起動していく。
「それと、いつも通りでいいのか?」
「ああ。
見つけた情報は渡す。
ついでに見つけたものはこっちのもの。
それでいいんだろ?」
「そうしてくれ」
これがヒロトシがネットワーカーとの間の約束事だった。
ヒロトシが見つけた何かの裏をネットワーカーがネットで探る。
そのついでに見つかった情報などはネットワーカーのもの。
これがあるからネットワーカーはヒロトシの願いを聞き入れている。
金はもらえないが、頼みを聞いて探りを入れると、いろいろなものが見つかる。
それはそれで金になるので、ネットワーカーの収入になる。
そしてヒロトシのお願いは、たいていこうしたおまけが付いてくる。
ヒロトシがもってくるお願いは、たいていは危険が絡む。
本来なら厄介なものだが、得るものも大きい。
危ない事に絡んでくる奴らを探るのだ、いろいろな情報を手に入れる事も多い。
そんな情報が金にある。
危険を覚悟で突っ込む価値はある。
なにより。
危険でない仕事などこの界隈に存在しない。
ならばまだしも儲かる可能性がある事に挑んだ方がいい。
でなければ飢え死にするしかないのだから。
「何か出てきたら目を通してね」
「はいはい」
いよいよネットに入る直前の声に、ヒロトシはいい加減に頷いた。
それもまたいつもの事だから。
ネットワーカーが見つけてきた情報。
それらの多くは断片的なものだ。
それだけでは何の役にも立たない。
だが、それらから共通点や違和感を見つけ、加工していく。
そうする事で断片が情報になる。
場合によっては機密にも。
この加工作業をヒロトシが行っている。
そのまま使える情報はネットワーカーが持って行くが。
そんなゴミをあさってお宝を見つけ、再生して商品にする。
まず滅多に使える情報にはならないが。
それでも、たまに見つかる貴重な何かがヒロトシの力になってくれる。
なによりも。
どんなものでも情報は情報。
これに触れられるだけでもありがたい。
知らないことは分析出来ないのだから。
だから、たとえ細切れの塵芥であってもありがたくいただく。
データベースを作るために。




