2 声がけ、お仕事へのおさそい
手に入れたものの一つは、廃棄されたビルの中にいる。
所有者も定かではないそこには、なじみとなった者達がたむろしている。
そこに向かい、建物の前に座り込んでる見張りに声をかける。
「話がある」
その声で見張りはすぐに中に入っていった。
「今度はなにさ」
ビルを不法占拠してる連中の主が尋ねてくる。
期待を込めた顔をしてるのはこれまでの実績があるから。
中に招かれたヒロトシは、そんな主に自分の予想を伝えていった。
「数日以内にこのあたりに何かがくると思う」
あらかじめ出されていた地図の一部を指す。
「このあたりに来る可能性がある」
「いつも通りだな」
主の方も慣れたものである。
「それで、何がくる?」
「分からない」
正直に答えていく。
下手や予想を伝えても仕方ない。
「たぶん、いつもと同じ。
5人か6人くらいの小さな集団。
適当な武器と埋め込んだ機械を持ってる。
荒事にも慣れてるはず」
このあたりでは珍しくもない連中だ。
金のために暴力を売りにする。
その暴力を求める連中がいる。
真面な仕事が極端に少ないこの世界では、こんな稼ぎ方もよくある商売の一つになっている。
(ファンタジーRPGの冒険者そのものだな)
かつてはそう思ったものだ。
ファンタジーというには科学的で暴力的がすぎるけど。
そんな世界をあらわしたような連中の影を、ヒロトシは感じ取っていた。
「それで、そいつらが来たらどうすりゃいいんだ?」
「いつも通りに。
あぶない奴らなら撃退して、部品にして売ればいい」
「それ以外は?」
「いつも通りに」
「その時次第か?」
「そういう事」
問いかけにヒロトシはそう応えるしかなかった。
想定外の事態の全てを思いつくわけもないんだから。
「でも、お行儀のいい奴がこんな所に来るわけがない」
こう締めくくってヒロトシは質問への答えを締めくくった。
物騒なこの近隣に不穏な連中が来てやる事などしれたものだ。
おとなしくしてるわけがない。
「おかげで儲かるけど」
それもまた貴重な収入源になる。
こうしてまず一つ目の伝手をあたり、次へと向かって行く。
あと何カ所か声をかけておきたい者達がいる。
それらの所に向けて足を動かしていく。
仕事のために。




