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記憶喪失者 異世界へ  作者: Lariru
放穴編

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13/16

13話 限界へ

土煙が立ち込め、反逆者の魔力の塊を斬り切れず、名無し《ななし》はその一部を受けた。

しかし痛みは感じなかった。

(痛覚が……麻痺しているのか?)


そんなことを考えるな。

今、目の前にあるのは――あの狼よりも、竜よりもさらに上の“絶望”。


001に教えてもらったことを反復する。

感情の高ぶりで溢れる魔力を、全神経を使い刀身へ集めろ。

相手に悟らせるな。心は冷たく、無に。


刀身は黒く変わり、すべてを飲み込むような色になっていった。


(よくこの展開まで持ってきた。そこは褒めよう)

(やっと目覚めたのか?)

(目覚めてはいたが、少し集中していた)

(……勝てるのか、これで?)


彼の答えは沈黙のあと――

(お前の行動と経験が勝敗を分ける。今のそれを放て)


張り裂けそうな剣を反逆者へ突きつける。

剣は悲鳴を上げるようにヒビが入り、「パリンッ」と音を立てた。

真っ白な刀身がむき出しになったと同時に、ため込んだ魔力が解放され、魔力で包まれた剣先が伸び、反逆者を貫く。


「ふふふははははは!! やる! 本当にやるね、|名無し!

超越者クラスの攻撃を想定して設計したこの子に、防御態勢まで取らせたってのに……!

あと少し角度が違えば殺せたね。そこはマイナスだ。だが――その攻撃には敬意を表して最大限の攻撃を行う!」


彼の魔力が増幅する。

拳に重なる複数の多重魔法。

それらが彼自身の魔法と重なり、倍速されたような衝撃が走る。


一撃。

|名無しの身体が砕け折れるのを感じながら、ゆっくりと吹き飛んだ。


(あとは何とかする。私の席で見てろ)

そんな心地のいい声を聴きながら、意識は沈んだ。




<スレイム>

決着はいつも一瞬だ。

ななしの伸びる刺突が反逆者の胸に刺さったと思うと、

反逆者の大火力の一撃が彼に当たり、彼が倒れるのが見えた。

どうして彼の事を無理やりにでも止めなかったのであろう




<反逆者>

終わりは悲しいものだ。

だがここから、彼を蘇生し、世界を作り変える新たな一歩を踏み出すのだ――そう思った矢先。


彼から、黒いもやが溢れ出し、砕けた身体はみるみる元の戻り始めた。

だが、先ほどとは濃度が違う。

私は急ぎ魔力を練り上げ、魔砲を放った。


だが靄はすべてを屈折させ、飲み込んだ。


やがてその靄の中心で、誰かが立ち上がる。

空中に浮かびながら、ゆっくりとこちらを見た。

魔力は黒く、そこに鮮血のような赤が混ざっている。

片目が黒く、奥には赤が輝いていた。


「さあ、リベンジマッチだよ」


静かに呟いたその声は――名無しの声であるが名無しのものではない、とても冷めた一言であった。

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