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異郷の料理

そんな事もあったけど、ワーワラ星の前に治って良かったー!


ワーワラ星はキドラの大好きな星!


陸も無く、海のようなもので覆われた、綺麗な青い色が一面に広がる星なんだ。


ワーワラ人は海深くに住んでるけど、身体が光るから暗くないんだ!


そういえば、ミノルはこそ速度のまま海底に行くと思ってたっけ。

ジニアは物理法則は超越出来ない粉々になるぞ?って突っ込んでた。

ジニアならなんとか出来ると思ったんだって。

実際は宇宙船はゆっくりと着水して、そこにはアティンダと彼女の友達の2人が迎えに来てた。地球のエイに似てて、ミノルの倍くらい大きい。


「キドラちゃん、久しぶり!。こっちのイケメンはキドラちゃんのボーイフレンド?見かけない子ね。」


ノリが私に近くて馬が合って、とっても楽しい。人を乗せるのが好きで、背中に鞍を付けてる。

ワーワラ人はルグジャ人以上に人が好きだから触られると、ちょっと嬉しそうにするんだ。

前に触ったらぬるっとしてた。


私達を上に乗せたまま海底に潜った時は、ミノルちょっと焦ってたけど、潜ってから翻訳機で息が出来るというのに、気が付いたみたい。

しかも、ワーワラ星の水は目を開けてても痛くないんだ!凄いでしょ。

こうしてワーワラ人に乗って見る海底の景色も美しくて、食事も美味しく、工芸品も豊富だから、観光地としても人気なんだ。

例えるなら竜宮城みたいな感じだね。


「地球って水が豊富なところなんでしょ?この辺そんな星がないから、案内して欲しかったなぁ。」


アティンダはちょっとふざけてミノルにそう言った。


海底には、大きな穴あきボールみたいな形の岩が何層も重なっているワーワラ人の住処がある。自然にこうなったんだって。


そこでジニアが食料を買った時は、ワーワラ人の店主が両ヒレいっぱいに商品を抱えてサービスしようとしてきたっけ。

ジニアは断ったけど、最後は根負けしてた。


アティンダが出発前にワーワラ星の海を両ヒレで掬うと綺麗な球体になったので、ミノルはびっくりしてた。

ワーワラ星の液体は表面張力が強いし、重力も小さいから、ああやって持てるんだ。アティンダはそれをそのまま宇宙船の給油口に押し付けた。

私も最初はびっくりしたけれど、そのまま燃料にもなるんだよ。海から出ても軽く払うだけで、小さな水玉がふわふわと舞い散って濡れない。


アティンダとの別れを惜しみつつ、次のコロイ星に急ぐ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


コロイ星は、正確には惑星じゃ無い。緑色の半固体の生命体の固まり。

燃料の補給くらいにしか来れない。


「ミノル、コロイ、来た。」


機械的で感情のないような声だった。どちらかというと女性っぽい。

分裂できるけど、意識は常にひとつみたい。ジニアは解ってるけど、私にはコロイ人の気持ちはよく解らないや。

それがミノルそっくりになった時はミノルが驚いてたけど、気に入った人の前ではそうするんだよってジニアは言った。

コロイ人はミノルみたいな人間が珍しくて、地球にも興味があるみたい。

でも、ミノルったらコロイの生命体の分泌物を燃料に使うって聞いてちょっと気持ち悪そうにしてたね。


次は、ジヴェル星だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「遅い…」


私達はジヴェル星の前で足止めされていた。

ジヴェル星には入星前の為の待機場所があるんだけど、宇宙船を降りてそこでひたすら番号を呼ばれるのを待っている。

ジニアは無駄な事が大嫌いだから、こういう時イライラしてる。


「他の星では待たされなかったぞ?なんでこんなに遅いんだ。」


「きっと仕事が丁寧なんだよ…」


ミノルがフォローする。


「仕事量が変わらないのに時間がかかってるのを丁寧、というのは無理があるぞミノル。

それはただ効率性を無視して、だらだらとやっているだけだ。

という事はそれだけ多くの手間をかけているということだろう、つまり間違いの確率も高くなり、さらに非効率になる。

賢明な判断とは言えない。

そもそも俺は形式に則った情報を送ってるし、情報処理の自動化も前に俺がした。何でこんなに遅いんだ?」


「う、うん。」


ミノルはちょっと困った顔をしていたけれど、

機械もやることが無いと退屈するのかな、とちょっと思った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


最後のジヴェル星だ。

まったく、俺が申請したにも関わらず、なかなか入星出来ず、足止めされた。数少ない住人の鋼の鳥は融通が聞かないし、こういう仕事が遅い。


ジヴェル人は鋼の鳥で、ミノルと同じくらいの大きさだ。


「地球の技術力?。私の星に敵うわけがないが、興味はある。」


店主のクーナルは相変わらず、声は渋くって落ち着いている。


ジヴェル星全体がジヴェル人が作った機械の固まりで、回った星の中では唯一恒星も無い。

地上に埋め込んだ電灯から恒星に似た光が出てくる。

大昔に人が増えすぎたんで、星をもう一つ作ったらしい。


キドラはこの星もアトラクションみたいで気に入ってる。星の内部は空洞で、地下の移動は球体が、サイクロイド状の道を作りながらその上を転がる。

球体の周りはほとんど透明だから他の球体が転がってる様は圧巻だ。地上でも浮かんだ丸い円盤に乗って移動する。


ツウラ星もこうだったらいいのに!とキドラは言うが、

電磁力で浮いてるから、省エネとは言えないし、俺は好きじゃない。こんな星だから食料は期待できないが、機械は優秀だ。

お目当ての、ロバ電子も手に入った。沢山の動力が生み出せる。


振り返ってみると、ルグジャ人は植物、トリッサ人は機械、ワーワラ人は水、コロイ人は人間、ジヴェル人は技術、どの星の人も地球に興味がある。


どの星の住人も異星間交流で長い付き合いだ。異星間交流に積極的だし、新しい刺激にも飢えてるって事だろう。


ようやく目的地のツウラ星だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ジヴェル星を出てしばらく経った。


お腹空いたなぁ。

もう一時だよ?腹が減ってはいくさは出来ぬって言うんでしょ?


「お昼ご飯はー?」


「あぁ…もうそんな時間か。」


ジニアはほっとくとずーっとご飯食べないからね。こっちから言ってあげなくちゃ。


「まだあんまりお腹空いてないけど、食べよっか?」


ミノルは時々だけど…お母さんみたいなところがある。

朝食は遅かったけどやっぱりちゃんと食べなくちゃ。


「よーし、じゃぁ頑張っちゃおうか。」


ミノルはいつになく張り切ってる。


「最初に緑の苦い植物、仮にルグジャゴーヤとします。」


地球には無い食材を料理するのにミノルは楽しそうだ。


「ルグジャゴーヤをおろし金ですります。」


やっぱりミノルはお料理に慣れてるなぁ。


「ボウルにルグジャゴーヤを入れて水で晒して、その間に次に行きます。この中で粘り気の多い植物は?」


表面はゴツゴツ、毛が沢山生えてて少し地球のイモに似てる。でもやっぱりカラフルなんだ。


「これー!」


ルグジャ星ではこれを生のまま食べるけれど、味が無いんだ。


「では、この植物。仮にルグジャイモとします。ルグジャイモをおろし金ですります。」


お料理苦手なんだよね。ミノルの手さばきを見てるとウットリしちゃう。


「擦り終わったら、先程水にさらしていたルグジャゴーヤの水をよく切ります。」


ミノルはルグジャゴーヤを手で取り軽く握って絞る。


「ルグジャイモをつなぎにしてルグジャゴーヤを平く成形します。」


なんだか美味しそうになってきた。


「最後に、フライパンで焼きます。」


いい匂い。ジャガイモを炒めたみたいな香ばしい香りがしてきた。


「はい、出来た。ルグジャ星のお好み焼き」


ミノルはフライパンのまま机に乗せた。お皿が無いからね。


「ミノルすごーい!これは美味しそう。」


ミノルってなんだかんだで女子力が高いと思う。私も見習わなくっちゃ。


「ほんと?作ったかいがあったよ。じゃ、いただきます」


ミノルはいつものようにしっかりと手を合わせる。


「頂きます。」


ジニアも最近はそうしている。


「いただきまーす!」


2人が言い終わる前に一口食べてみる。お腹空いたもん。


凄い。苦くなくなってる。

びっくりしちゃった。


「おいしー!」


これなら毎日食べられそう!


「ふむ、美味しくなった。」


ジニアもやっぱり美味しくないと思ってたんだね。


「うん、成功して良かった。」


そんな私達二人を見て、ミノルもほっとした表情をする。


「せっかくだし、デザートも作ろっか。」


「最初にトリッサ星の果物、表面はトゲトゲでまっ青、りんごみたいな味なので、仮にトリッサリンゴ。」


「トリッサリンゴは表面の棘を落として、くし型に切ります。」


「次にワーワラ星の果物、見た目はてんぐさみたいだけど、味はバナナそっくり。仮にワーワラバナナ」


「ワーワラバナナを食べやすい大きさにちぎってトリッサリンゴの中央に置きます。」


「最後にワーワラ星で買ったツウラ星の果物の缶詰、3つの球体が組み合わさった黄色で3色パンに似てるけど、味はももそっくり、仮にツウラもも。」


「それナショアって名前なんだよー!大好きー!」


ワーワラ星では他の星と食べ物を輸出入している。


「では、ナショアを3つに切り離し、くし型に切り、トリッサリンゴと交互になるように並べたら、完成!」


「きれー!ひまわりみたいだね!」


「食後の甘味だな。」


「甘くておいしー!」


「3つ合わせると、フルーツアラモードだね。」


「ごちそうさまー!」


キレイに食べちゃった!


地球に落ちて今日で14日。

ツウラ星時間では、7日くらいだ。

ようやくツウラ星が見えて来た。

旅ももう終わる。


パパ、ママ、待っててね。

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