表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星屑の魔法ときみの名前  作者: 星恋 hosiko


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/24

星屑の魔法ときみの名前17

 「好き」って言葉は、

 魔法よりずっと危険かもしれない。


 触れるだけで、

 全部変わってしまうから。


 第17話は、

 ようやくふたりが“想いを言葉にした夜”です。


 今まで何度も近づいて、

 あと少しのところで止まっていたふたり。


 でも今回は、

 逃げなかった。


 ちゃんと目を見て、

 ちゃんと「好き」と伝えて、

 そして――初めてのキスへ進みます。


 星屑が静かに降る夜。


 ふたりの距離が、

 恋として形になる瞬間を楽しんでもらえたら嬉しいです。

 図書塔での騒ぎ以来。


 私たちは、

 学園内でちょっとした有名人になっていた。


「聞いた? 昨日また星屑暴走したらしいよ」

「しかも原因レイナ先輩たちって噂」

「絶対イチャついてたでしょ」


「してない!!」


 思わず立ち上がる。


 教室が静まり返った。


「あ」


 終わった。


 クラスメイトたちの視線が、

 一斉にこっちへ向く。


「……否定の仕方が怪しい」

「顔赤いし」

「かわい」


「うぅ……」


 机に突っ伏す。


 無理。


 耐えられない。


 「ユイ」


 聞き慣れた声。


 隣の席に、

 レイナが座る。


「朝から騒がしいわね」


「誰のせいだと思ってるの……!」


「半分くらいは星屑のせい」


「半分は自覚あるんだ」


 レイナは小さく笑う。


 最近、

 本当に機嫌がいい。


 ……いや。


 原因はわかってる。


 「ねえ」


「なに」


「今日、放課後空いてる?」


 どくん。


 妙に自然な聞き方。


 でも、

 その瞳は少しだけ真剣だった。


「……空いてるけど」


「じゃあ来て」


「どこに?」


「秘密」


 絶対ろくでもない。


 でも。


 断る気にはなれなかった。


 放課後。


 連れて来られたのは、

 学園の裏庭だった。


 ほとんど人が来ない場所。


 古い噴水と、

 夜空みたいな色の花が咲いている。


「……こんな場所あったんだ」


「私のお気に入り」


 レイナが、

 静かに星屑へ手を伸ばす。


 すると。


 ふわり、と。


 周囲の光がゆっくり浮かび上がった。


「……綺麗」


 思わず息を呑む。


 青白い星屑が、

 花の上を漂っている。


 まるで、

 夜空がそのまま降りてきたみたいだった。


 「ここなら静かだから」


 レイナが言う。


「誰にも邪魔されない」


 その言葉に、

 心臓が跳ねる。


「……また変なこと考えてない?」


「変なことって?」


「その顔」


「どんな顔」


「余裕ありそうな顔」


 くすっと笑われる。


 悔しい。


 レイナが、

 ゆっくり近づいてくる。


 一歩。


 また一歩。


「……ユイ」


「なに」


「この前の続き、覚えてる?」


 覚えてるに決まってる。


 忘れられるわけない。


「……覚えてる」


「そっか」


 静かな声。


 でも、

 どこか安心したみたいだった。


 レイナの指が、

 そっと私の頬へ触れる。


 熱い。


 たぶん、

 一瞬でバレるくらい。


「……緊張してる?」


「してない」


「嘘」


 即答。


「心臓、聞こえそう」


「っ……!」


 だめだ。


 全部見透かされる。


 「ねえ、ユイ」


「……なに」


「今日は、逃がさない」


 どくん。


 空気が変わる。


 今までみたいな、

 からかう声じゃない。


 低くて、

 甘くて、

 少し危ない声。


 指が絡む。


 ぎゅっと。


 離さないみたいに。


「……逃げないよ」


 気づけば、

 そう答えていた。


 一瞬。


 レイナの目が、

 少しだけ揺れる。


 「……ほんとに?」


「うん」


「後悔しない?」


「しない」


 静かな確認。


 静かな返事。


 でも。


 その間に流れる熱だけは、

 隠せなかった。


 ゆっくり。


 レイナが顔を近づける。


 逃げられるくらい、

 ゆっくり。


 でも私は、

 動かなかった。


 動きたくなかった。


 呼吸が重なる。


 視線が絡む。


 星屑が、

 ふたりの周りで静かに光る。


 「……ユイ」


「なに」


「好き」


 その言葉が、

 胸の奥へ落ちる。


 苦しいくらい、

 優しい声だった。


 「私も」


 返した瞬間。


 レイナが、

 少しだけ笑った。


 安心したみたいに。


 愛しいものを見るみたいに。


 そして。


 そっと。


 唇が、触れた。


 一瞬だけ。


 本当に、

 触れるだけのキス。


 でも。


 頭が真っ白になるには、

 十分だった。


 「……っ」


 離れた瞬間、

 呼吸がうまくできない。


 熱い。


 全部熱い。


 すると。


 レイナが、

 額を押さえて小さく笑った。


「……無理」


「え?」


「思ったより破壊力すごい」


「それこっちの台詞なんだけど!?」


 耳まで真っ赤なレイナ。


 珍しい。


 たぶん、

 私も同じ顔してる。


 そのとき。


 ぱあっと、

 星屑が舞い上がった。


 まるで祝福みたいに。


 青白い光が、

 ふたりを包み込む。


「……また暴走してる」


「今回は静かだからセーフ」


「そういう問題?」


 笑い声が重なる。


 そして。


 レイナが、

 もう一度私の手を握った。


「……これで、ほんとに戻れないわね」


「最初から戻る気ないでしょ」


「ええ」


 即答。


 その迷いのなさが、

 嬉しくて。


 少し照れくさくて。


 でも。


 嫌じゃなかった。


 星屑が降る。


 静かに。


 やわらかく。


 触れた唇は、

 まだ少し熱かった。


 恋はもう、

 名前だけじゃ足りない。


 この夜に、

 ちゃんと形を持ってしまった。

第17話を読んでくださってありがとうございました。


 ついに。


 ついにここまで来ました。


 レイナとユイ、

 正式に両想いです。


 ……いや、かなり前から両想いだったんですけど、

 本人たちが認めるまでが長かった。


 特にレイナ。


 余裕そうに見えて、

 実はずっと慎重でした。


 からかうのは得意。


 でも、

 本気になるほど怖くなる。


 だからこそ今回、

 ちゃんと「好き」と口にしたのは、

 かなり大きな意味があります。


 一方のユイも、

 もう最初の頃の“落ちこぼれ”じゃありません。


 魔法だけじゃなく、

 感情にもちゃんと向き合えるようになった。


 逃げずに、

 「私も」と返せた。


 その瞬間、

 ふたりの関係は完全に変わりました。


 そして初キス。


 ここはかなり大事に書きました。


 激しいキスじゃなくて、

 “触れるだけ”。


 でも、

 その一瞬で世界が変わるくらいの熱を、

 感じてもらえていたら嬉しいです。


 あと今回、

 レイナがちょっと照れてるのが個人的に好きです。


 今まで散々ユイを振り回してきたのに、

 いざキスしたら自分もダメージ受けてる。


 天才なのに恋には弱い。


 かわいい。


 そしてもちろん、

 星屑もちゃんと反応しました。


 この世界では、

 感情と魔法は深く繋がっています。


 つまり、

 ふたりの想いが強くなればなるほど、

 星屑も共鳴する。


 今回の静かな暴走は、

 まるで夜空そのものが祝福してるみたいでした。


 でも。


 恋が叶ったからって、

 物語が終わるわけじゃありません。


 むしろここから。


 “恋人になった後の距離”が始まります。


 手を繋ぐだけで照れていたふたりが、

 これからどう変わっていくのか。


 もっと甘くなるのか。


 もっと独占欲が出るのか。


 それとも、

 新しい試練が来るのか。


 星屑の夜は、

 まだ終わりません。


 また次の物語で、

 ふたりの続きを見届けてもらえたら嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ