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甘くとろけるキスをしたくて  作者: ちぃたろう


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12/24

第12話:眠りの傍で ― 触れたい理由 ―



夜。

小屋の中には、火のはぜる音だけが響いていた。

レイはベッドに横たわり、包帯を巻かれた肩をわずかに動かす。


「……痛まないですか?」

リアは椅子に座り、静かに問いかけた。

レイは目を閉じたまま、短く答える。

「大したことねぇ」


その声が少しかすれている。

無理しているのが、すぐにわかる。

リアは濡れ布を取り替えながら、そっと彼の額に手を伸ばした。


「熱い……やっぱり、無理してる」

「俺は平気だって言ってるだろ」

「嘘です。顔が赤いです」

「それは……」


一瞬、レイの声が途切れた。

彼は目を開け、じっとリアを見上げた。

金色の瞳に、焔の光が映り込む。


「……お前、近い」

「だって、おでこを冷やさないと……」

「……そういうことじゃねぇ」


リアの手を掴むレイ。

その力は強くもなく、でも確かに引き寄せるような熱を帯びていた。

リアの心臓が跳ね、息が詰まる。


「……リア」

名前を呼ばれただけで、体の奥が熱くなる。

「な、なんですか……?」

「お前、危なっかしいんだよ」

「え……?」

「俺が守ってやらなきゃって、そう思わせる。……だから、困る」


その言葉が胸の奥にじんわりと広がる。

リアは答えられず、ただ小さくうなずいた。


「……ごめんなさい。私、いつも……」

「謝んな」

レイは短く言い、力を緩める。

その手がリアの指先を離れていく瞬間、少しだけ名残惜しさが残った。


「……寝ろ」

「はい。でも、レイさんが眠るまでは……」

「……そんなことしてたら、お前が倒れるぞ」

「それでも、今はそばにいたいんです」


一瞬、沈黙。

レイは小さく息を吐いて、目を閉じた。

「……勝手にしろ」


リアは微笑み、静かに頷く。

彼の寝息が次第に落ち着いていくのを聞きながら、

その横顔をそっと見つめる。


強くて、不器用で、誰よりも優しい人。

その人に触れたくて、心が疼く。

触れたら壊れそうで、でも触れずにはいられない。


リアは火の光の中で、そっと小さく囁いた。

「……私、レイさんのことが好きなのかもしれない」


その声は、炎の音にかき消され、誰にも届かなかった。

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